約1年間に及ぶ長丁場となった2019−20シーズンが幕を下ろし、NBAはオフシーズンに突入した。今後は11月18日(日本時間19日、日付は以下同)にドラフト、12月上旬に移籍市場が解禁される予定となっている。

 今年のFA戦線にはロサンゼルス・レイカーズの優勝に大きく貢献したアンソニー・デイビス(プレーヤーオプション)、そのデイビスと交換で昨夏にニューオリンズ・ペリカンズに移籍したブランドン・イングラム(制限付きFA)、サンアントニオ・スパーズのデマー・デローザン(プレーヤーオプション)といったオールスター選手がいるものの、デイビスとイングラムは残留するというのが大方の予想で、超大物がFA市場に出回る可能性は低い。

 アダム・シルバー・コミッショナーは来季の開幕時期について「早くても来年の1月」と語っており、少なくとも年末まではオフシーズンになることが確実視されている。

 そこで注目を集めているのは2021年のFA市場だ。この年はレイカーズのレブロン・ジェームズ、ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボ、ロサンゼルス・クリッパーズのカワイ・レナードとポール・ジョージ、オクラホマシティ・サンダーのクリス・ポール、インディアナ・ペイサーズのヴィクター・オラディポといったスーパースターがマーケットに参戦することが予想される。
  そのなかで一番の注目株はアデトクンボだろう。バックスの万能戦士は2年連続でMVPに輝き、今季は最優秀守備選手賞も受賞。25歳にしてレブロンと並ぶリーグの顔となっている。

 しかし、バックスは今年のプレーオフでカンファレンス・セミファイナルでマイアミ・ヒートに1勝4敗で惨敗。期待を大きく裏切ったことで、アデトクンボにトレードの噂が挙がるようになった。

 本人はオフの移籍の可能性について「それは絶対にない。なかには壁にぶつかって(新たな方向へ)向かう人もいる。でも俺はその壁を切り開いて進む。俺たちはチームとして向上しなきゃいけない。個人としても、次のシーズンに向けて戻ってみせる」とコメント。もし今オフにアデトクンボがバックスと5年約2億5400万ドル(約266億7000万円)というスーパーMAX契約を結べば、来年のFAリストから外れることになる。

 だが『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者は21年にマイアミ・ヒートがアデトクンボとオラディポの獲得を狙っていると発言しており、トロント・ラプターズやゴールデンステイト・ウォリアーズも水面下で動いているという情報もある。
  さらに、『ESPN』のブライアン・ウィンドホースト記者は“The Jump”に出演した際、「ダラス・マーベリックスはヤニス争奪戦の先頭に立つことになるだろう。あのチームは3人目のスター獲得を狙っている」と、ヤニス争奪戦に加わっていると語った。

 ルカ・ドンチッチ、クリスタプス・ポルジンギスという2枚看板を擁するマブズは、来季終了後にキャップスペースに大きな空きができる。オーナーのマーク・キューバンはマブズが優勝するためならば、ラグジュアリータックス(贅沢税)の支払いも厭わないだろう。

 もっとも、マブズは今年のプレーオフ1回戦でクリッパーズに敗れたものの、ポルジンギスは右ヒザのケガのため3試合を欠場、センターのドワイト・パウエルやガードのジェイレン・ブランソンも欠場するなどベストメンバーではなかった。
  そのため、来季は現有戦力で戦い抜くのもひとつの手段。「私は今年、あのチームが有力なFAを加えるとは思えないね。彼らは来年まで待っているんだから」とウインドホースト記者が話したように、ロースターに大幅なメスを入れるのは来季終了後でもいいだろう。

 はたして、アデトクンボは今オフにバックスと延長契約を結ぶのか。もしバックス残留を決めないとなれば、来季一杯は“グリーク・フリーク”の去就が多方面で報じられることになるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

【PHOTO】並外れた身体能力とド迫力のダンクでスター街道を驀進!“グリーク・フリーク”ヤニス・アデトクンボの厳選ショット集!