10月21日(日本時間22日、日付は以下同)、ロサンゼルス・クリッパーズはタロン・ルーのヘッドコーチ(HC)就任会見を行なった。

 クリッパーズは今季、カワイ・レナードとポール・ジョージというリーグ指折りのスターを加え、優勝候補の一角と目されていたが、プレーオフではウエスタン・カンファレンスのセミファイナルでデンバー・ナゲッツに3勝1敗から3連敗を喫して敗退。

 するとチームは7シーズン指揮を執ったドック・リバースHCを解任。リバースの下でアシスタントコーチ(AC)を務めてきたルーを後任に抜擢した。

 現役時代に7球団で11シーズンをプレーしたルーは、キャリアを通じて平均8.5点、1.7リバウンド、3.1アシストを記録。選手としてはロールプレーヤーの域を出なかったが、ロサンゼルス・レイカーズ時代の2001年にはチャンピオンリングを獲得している。
  オーランド・マジック在籍時の2003−04シーズンには、当時指揮官を務めていたリバースHCからACとして起用することを進言されたという。もっとも、キャリアのピークにあった当時のルーは、このシーズンから4シーズン連続で平均2桁得点を記録していた。

 09年に現役を引退すると、翌シーズンからリバースHCの下、ボストン・セルティックスの選手育成ディレクターに就任。11−12シーズンからはセルティックスのACとなり、リバースがクリッパーズへ移籍した13年にはルーもクリッパーズのACに就いた。

「ドックは私がリーグでプレーしてからというもの、ずっとメンター(助言者)でした。そしてコーチとしても、私に最初のチャンスを与えてくれた人です。彼がいなければ、今の私はなかったでしょう」

 会見でリバースについてそう語ったルーは、14−15シーズンにクリーブランド・キャバリアーズでトップACを務め、デイビッド・ブラットHC解任を機に15−16シーズン途中からHCへと昇格。するとレブロン・ジェームズ(現レイカーズ)、カイリー・アービング(現ブルックリン・ネッツ)らを率いて、1年目から優勝という結果を出して見せた。
  成績不振により昨季序盤にキャブズのHCを解任されると、今季は再びリバースの下でACを務め、来季からは恩師の後を継いで再び指揮官を務めることとなった。ルーは感謝を語りつつ、来季への意気込みを述べた。

「私はドックから多くのことを学んできました。ほかにもたくさんのコーチから学んできました。リーグにいるコーチたちを見て、私は常に勉強しています。エリック・スポールストラ(マイアミ・ヒートHC)やブラッド・スティーブンス(セルティックスHC)もそうですし、昨年はニック・ナース(トロント・ラプターズHC)がボックス&ワン、トライアングルツーのディフェンスをNBAに持ち込んだことも見ていました。もし学ぶことをやめてしまえば、成功を掴むことはできません」

 コミュニケーション能力に定評があるルーは、会見で挙げたコーチ陣のほかにも、グレッグ・ポポビッチHC(サンアントニオ・スパーズ)やフィル・ジャクソンHC(元レイカーズほか)、スタン・ヴァン・ガンディHC(ニューオリンズ・ペリカンズHC)、スコット・スカイルズHC(元バックスほか)からも学んできたという。
  優勝を期待されるクリッパーズの指揮官に就任したことで、キャブズ時代と同等、あるいはそれ以上のプレッシャーがかかることは容易に想像できるものの、ルーは意に介していない。

「プレッシャーについて話す時というのは、勝利する状況にいるということ。それこそ私が望んでいたことです。私は素晴らしいコーチの1人になりたい。偉大なコーチになりたいんです」

 新たに舵取り役を託された43歳の指揮官は、チームをどのようにまとめ、ケミストリーを形成していくのか。リーグ有数の戦力を誇るクリッパーズを初の頂点へ導くことができれば、ルーの評価は確固たるものとなるに違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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