例年、春に行なわれる「関東学生テニストーナメント」が、半年遅れで開催。11月9日に早大東伏見コート(西東京市)で各種目の決勝が行なわれた。今年の大学テニスは、大学王座決定試合や各地域のリーグ戦など多くの大会が中止になる中、全日本学生選手権(インカレ)は辛うじて今月中旬に実施される。関東学生はその予選を兼ねた大会で、無観客、セルフジャッジ、1セットオール・マッチタイブレークなどの規制を設け、何とか開催にこぎつけた。

 男子シングルスは第1シードの田形諒平(筑波大3年)が熊坂拓哉(亜細亜大4年)をフルセットで破って優勝。厚い当たりのフォアハンドで攻め立てる田形と、スピンの利いたボールを深く送る熊坂のテニスががっぷりと組み合い、見応えのあるラリーの応酬となったが、要所で積極性を見せたのは田形だった。
 「このところ戦術の幅が広がり、自分の中で攻めに自信がついてきた」と言う通り、隙あらば前に入ってたたき、果敢にネットプレーに結び付ける。「今までも前には入っていたが、その精度が上がり、しっかりミートして相手にダメージを与えられるようになった」と自身の成長した部分を分析。その攻撃力が、7−5、5−7で迎えたマッチタイブレークで生き、熊坂を10−7で突き放した。

 学生大会で初のシングルス優勝を飾った田形。次の目標は「ジュニア時代から全国タイトルを取れていないので、全日本学生を取りたい」と、間近に迫ったインカレに照準を合わせる。

 女子シングルス決勝は、4年生の倉持美穂(早稲田大)と1年生の山崎郁美(亜細亜大)の対戦。伸びのあるスピンを左右に散らすルーキー山崎に対し、ポジションを上げてその上がりばなをフラットで叩く倉持のテニスが上回り、第1セットは6−2で倉持が先取する。

 第2セットはギアを上げてコーナーを突く山崎が主導権を握る場面もあったが、経験でまさる倉持は「受け身ではなく、自分から取りに行こう」と攻めの姿勢を崩さず、一層早いタイミングで強打し、6−4でそのまま押し切った。
  倉持も初の学生タイトル獲得。去年までは勝ちたいところで勝ち切れなかったというが、「今までより勝ちたい気持ちを強く持つようになった。そのために必要な体力とか精神面がついてきた」と、メンタル面の成長を今大会の勝因に挙げる。

 卒業後は就職せず、プロを目指すという倉持。これまで学生テニスの中でも目立った戦績はなかったが、ここへきて急成長を遂げ、自分の可能性にチャレンジする。
  なお、男子ダブルス決勝は、熊坂拓哉/堀内竜輔(亜細亜大)が川島颯/佐々木健吾(慶應義塾大)に6−4、4−6、10−6で競り勝ち、学生大会で初優勝。女子ダブルス決勝は、第1シードの下地奈緒/吉岡希紗(早稲田大)が第2シードの望月菜々子/大村千乃を7−6(10)、6−2で下し、昨年夏の関東学生に続いてタイトルを手にした。

 関東学生を終え、いよいよ11月17日から24日には全日本学生テニス選手権が三重県・四日市テニスセンターで行なわれる。これも無観客試合だが、全日本学生テニス連盟ではオンラインでの中継や動画配信を行なう予定だ。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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