全12球団の主力選手の2020年シーズンを5段階の通信簿形式で振り返っていく。評価は各選手のこれまでの実績や期待値も踏まえて査定した。

※評価:よくできました(A)、まずまずです(B)、可もなく不可もなく(C)、がんばりましょう(D)、ガッカリです(E)

【投手】
★投のMVP★
●千賀滉大
[試合]18 [勝敗]11-6 [防御率]2.16
[投球回]121.0 [奪三振]149
評価:よくできました(A)
右腕の故障で出遅れるも、7月7日の復帰戦では161キロを計時するなど圧巻の投球。序盤戦は打ち込まれる試合もあったが、最終5試合は39イニングで自責点0と敵なし。ギリギリ規定投球回にも到達し、防御率・勝利・奪三振の三冠に輝いた。

●東浜巨
[試合]19 [勝敗]9-2 [防御率]2.34
[投球回]119.0 [奪三振]102
評価:よくできました(A)
自身初の開幕投手に抜擢。規定投球回には1イニング足りなかったが、防御率2.34と好投した。10月10日に、勝率わずか1厘差のロッテとの首位攻防戦を8回1失点で制し、3年ぶりのリーグ優勝の原動力となった。

●石川柊太
[試合]18 [勝敗]11-3 [防御率]2.42
[投球回]111.2 [奪三振]103
評価:よくできました(A)
ダルビッシュ有(カブス)からスラッターを習って復活。7月1日の日本ハム戦で実に650日ぶりの勝ち星を挙げると、そこから5連勝。8月1日の西武戦では13三振を奪う1安打完封を演じた。規定投球回未満ながらも、勝利数と勝率はリーグトップだった。

●和田毅
[試合]16 [勝敗]8-1 [防御率]2.94
[投球回]85.2 [奪三振]75
評価:まずますです(B)
39歳の年齢もあってか、100球以上投げたのは2試合だけと長いイニングは投げられず。とはいえ16先発で自責点4以上はたった1試合と安定感は抜群で、チームがリーグ優勝を決めた試合でも勝利投手になった。

●ムーア
[試合]13 [勝敗]6-3 [防御率]2.65
[投球回]78.0 [奪三振]89
評価:まずますです(B)
4億近い年俸で加入したメジャー通算54勝右腕。左ふくらはぎを痛めて夏場に2ヵ月も戦列離脱したが、復帰後の11試合は防御率2.38と好投。ライナーを素手でつかむなどガッツも見せた。日本シリーズ第3戦は7回無安打の快投を見せ、優秀選手賞に選ばれた。

●笠谷俊介
[試合]20 [勝敗]4-4 [防御率]2.84
[投球回]57.0 [奪三振]67
評価:よくできました(A)
ムーアの故障を受けて急遽プロ初先発となった7月8日は2回7失点と打ち込まれたが、だがショートスターターとして11試合に先発。最終3先発は計16回で3失点と好投した。10月13日のオリックス戦では、5回1安打無失点の好投で山本由伸にも投げ勝った。
 ●二保旭
[試合]12 [勝敗]4-5  [防御率]4.92 
[投球回]56.2 [奪三振]28
評価:可も不なく不可もなく(C)
6月21日の今季初登板は、まさかの初球危険球で即退場。投球回は12年目にして自己最多だったが、防御率は5点近く、12先発でQSは5回だけと内容的にはいまひとつだった。

●森唯斗
[試合]52 [勝敗]1-1 [セーブ] 32
[防御率]2.28 [投球回]51.1 [奪三振]40
評価:まずまずです(B)
8月20日に通算100ホールド、10月11日には100セーブにも到達し、史上6人目の100ホールド&セーブを達成。1セーブ足りずタイトルは逃したが、守護神の名に恥じない働きだった。

●高橋礼
[試合]52 [勝敗]4-2 [ホールド] 23
[防御率]2.65 [投球回]51.0 [奪三振]29
評価:まずますです(B)
昨年はオール先発で12勝を挙げて新人王となったが、今季はキャンプ中に左太もも裏を痛めた影響でリリーフ起用に。チーム最多の52試合に投げて、23ホールドはリーグ3位。右打者は被打率.202に封じた。

●モイネロ
[試合]50 [勝敗]2-3 [ホールド] 38
[防御率]1.69 [投球回]48.0 [奪三振]77
評価:よくできました(A)
球速が158キロまで上昇し、奪三振率14.44、被打率.164、被本塁打は浅村栄斗(楽天)に打たれた1本のみと、とにかく驚異的な数字が並ぶ。リーグ最多の38ホールドを挙げて最優秀中継ぎ投手に輝き、MVPに推す声もあった。

●泉圭輔
[試合]40 [勝敗]0-1 [ホールド] 8
[防御率]2.08 [投球回]34.2 [奪三振]28
評価:まずますです(B)
最速153kmの速球+ツーシームで中継ぎとして開花、40試合に登板して被本塁打は1本のみ。日本ハム、オリックスの2球団に対しては、計14イニングに投げて1点も取られなかった。

●嘉弥真新也
[試合]50 [勝敗]3-1 [ホールド] 18
[防御率]2.10 [投球回]30.0 [奪三振]33
評価:よくできました(A)
4年連続の50試合以上&防御率2点台をクリア。来るとわかっていても対応できないスライダーで打者を翻弄し、左打者に対しては被打率.153を記録した。K/BB3.30はモイネロや森以上の数字だった。
 【野手】
●甲斐拓也
[試合]104 [打数]289 [打率].211
[本塁打]11 [打点]33 [OPS].694 [盗塁]4
評価:まずまずです(B)
盗塁阻止率こそ前年より下がった(34.2%→32.8%)ものの、104試合でマスクをかぶりわずか3失策、2捕逸の安定感で4年連続のゴールデン・グラブを受賞。日本シリーズでも投手陣を巧みにリードして巨人打線を完璧に封じ、打っても2本塁打と活躍した。

●松田宣浩
[試合]116 [打数]395 [打率].228
[本塁打]13 [打点]46 [OPS].668 [盗塁]1
評価:がんばりましょう(D)
打撃の調子が上がらず、9月10日に現役最長の連続試合出場記録が815試合でストップ。打率とOPSはレギュラー定着後でワーストの数字だったが、それでもリーダーとしてチームを鼓舞した姿勢はさすがだった。

●中村晃
[試合]100 [打数]362 [打率].271
[本塁打]6 [打点]50 [OPS].709 [盗塁]0
評価:まずまずです(B)
序盤は両ヒザの痛みで開幕一軍は逃したが、7月の昇格後には初の4番に起用されたり、1試合5打点を記録したりと活躍。8月26日のオリックス戦では13年目で初のサヨナラ打を放ち、ポストシーズンでも好調を維持した。

●周東佑京
[試合]103 [打数]307 [打率].270
[本塁打]1 [打点]27 [OPS].677 [盗塁]50
評価:よくできました(A)
打率を.270まで上げて1番・二塁にて定着出塁回数が増えたこともあり育成出身選手では史上初の盗塁王を獲得。13試合連続盗塁の「世界記録」も樹立する大躍進の年となった。

●牧原大成
[試合]77 [打数]170 [打率].241
[本塁打]1 [打点]8 [OPS].579 [盗塁]6
評価:がんばりましょう(D)
6〜8月には24試合に出場して打率.125と不振に陥り、周東に二塁の定位置を明け渡してしまった。だが、9月以降の53試合は.286と調子を取り戻し、日本シリーズでも全4試合に出場した。

●今宮健太
[試合]43 [打数]164 [打率].268
[本塁打]6 [打点]22 [OPS].730 [盗塁]2
評価:がんばりましょう(D)
フルイニング出場を目標に掲げて臨んだが、故障が相次いで一軍定着後では最少の43試合出場に終わった。ただ、出場すれば美技連発と存在感は発揮した。7月4日の日本ハム戦で史上最年少での通算300犠打達成。

●川瀬晃
[試合]70 [打数]141 [打率].191
[本塁打]0 [打点]10  [OPS].501 [盗塁]2
評価:まずまずです(B)
故障した今宮の代役として出場機会が急増。打撃では打率2割にも満たずと力不足の感は否めなかったが、守備では62試合で3失策のみと堅実なフィールディングで貢献した。

★打のMVP★
●柳田悠岐
[試合]119 [打数]427 [打率].342
[本塁打]29 [打点]86  [OPS]1.071 [盗塁]7
評価:よくできました(A)
打率リーグ2位、本塁打と打点は3位と打撃三冠のタイトルは逃したが、OPSはリーグでただ一人1.000を超え、当然のMVP受賞。京セラドーム天井直撃弾や、右手一本でのPayPayドームのテラス席まで運ぶなど、化け物ぶりに拍車がかかった。
 ●栗原陵矢
[試合]118 [打数]440 [打率].243
[本塁打]17 [打点]73  [OPS].727 [盗塁]5
評価:よくできました(A)
期待の若手が6年目で待望のブレイク。開幕スタメンを勝ち取ると、いきなりサヨナラ打で抜擢に応えた。得点圏打率.333(5位)の勝負強さが光り、日本シリーズでも14打数7安打4打点の猛打でMVPに輝いた。

●グラシアル
[試合]69 [打数]256 [打率].277
[本塁打]10 [打点]35  [OPS].767 [盗塁]2
評価:可もなく不可もなく(C)
新型コロナウイルス感染拡大の影響でキューバから出国できず、戦線復帰は8月にずれ込んだ。そのせいかOPS.767は前年より200ポイント近くも低かったが、10月は絶好調でシーズン終盤のラストスパートに大きく貢献した。

●上林誠知
[試合]69 [打数]160 [打率].181
[本塁打]6 [打点]20  [OPS].581 [盗塁]8
評価:ガッカリです(E)
オープン戦では打ちまくっていたが、シーズンでは打率.194に終わった昨年以上の大不振。特に本拠地PayPayドームでは打率.103とまったく打てず、守備や走塁でもミスを連発して9月に二軍降格といいところがなかった。

●デスパイネ
[試合]25 [打数]85 [打率].224
[本塁打]6 [打点]12  [OPS].767 [盗塁]0
評価:がんばりましょう(D)
来日自体も遅れた上に、相次ぐ故障に見舞われて成績もさっぱりだった。ただし、クライマックスシリーズでは打率5割、日本シリーズでは球団史上初となる満塁本塁打を含む1試合6打点とポストシーズンでは復活した。

●バレンティン
[試合]60 [打数]191 [打率].168
[本塁打]9 [打点]22  [OPS].607 [盗塁]0
評価:ガッカリです(E)
日本人扱いとなって最初のシーズンは、昨年まで4年連続30本塁打の打者とは思えぬ大不振で、ポストシーズンでは出場機会すら与えられず。ヤクルト復帰を望むかのようなSNSへの“意味深投稿”が物議を醸すなど散々な一年だった。

【監督】
工藤公康
73勝42敗5分 勝率.635(1位) 得失点差+142(1位)
評価:まずまずです(B)
V9巨人の川上哲治監督以来となる4年連続日本一を達成し、ほぼ最優秀監督賞と化している正力賞も3年連続で受賞。昨年までは批判の多かったブルペン運用も改善された。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB――“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。