ATP(男子プロテニス協会)は、公式ホームページで2020年のグランドスラムのベストカムバックマッチの1〜5位を発表した。1位に選ばれたのは全米オープン決勝、ドミニク・ティーム(オーストリア)対アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)の一戦だ。ティームはこの試合でグランドスラム初タイトルを獲得。さらに、オープン化以降の全米オープン決勝で、2セットダウンから逆転勝利を収めた最初のプレーヤーにもなった。この興奮の一戦を振り返ろう。

1位 ドミニク・ティームdef. アレクサンダー・ズベレフ
2020年9月13日 全米オープン 決勝 2-6, 4-6, 6-4, 6-3, 7-6(6)

 決勝を前にして、ティームのファンは彼が6年ぶりのメジャー新チャンピオンになることを信じていた。ティームはそれまでの6試合で、失セットわずか1と非常に好調だったからだ。しかし、試合の序盤にシャープな動きをしていたのはズベレフのほうで、ティームはむしろ調子を崩しているように見えた。

 第2セットの後半になると、徐々に調子を取り戻しはじめたティームだったが、このセットもズベレフに奪われて大きくリードを許してしまう。それでも、痙攣により動きが鈍りはじめたズベレフの隙をついて、第3、第4セットを奪取した。

 かつてボリス・ベッカーは「最終セットはテニスではなく、精神力の問題だ」と語っていたが、この試合では彼の格言がぴったりと当てはまる。お互い肉体的にギリギリの状態の中、一進一退の攻防が続いた。
  そして迎えたタイブレーク。ストローク戦を避けてか、度々ネットに詰めるズベレフに対し、ティームは強烈なパッシングショットで対応。6−6になった場面でも、鋭いフォアハンドでズベレフの脇を抜き去りマッチポイントを握る。最後には、低く滑るティームのスライスショットをクロスに引っ張ろうとしたズベレフのバックハンドがサイドラインを割り、激闘が幕を閉じた。

「僕たち2人ともが優勝に値する試合だった。僕は人生の目標を、何年も何年も前から持っていた夢を達成したんだ」。試合後、ティームは感慨深げに語った。一方のズベレフは「難しいよね。いつかトロフィーを持ち帰れる日が来ることを願っているよ」と、目に涙を浮かべながら雪辱を誓った。

 グランドスラムベストカムバックマッチ2位〜5位は以下の通り。

2位 ロジャー・フェデラー(スイス) def. テニズ・サングレン(アメリカ)
2020年1月28日 全豪オープン 準々決勝 6-3 2-6 2-6 7-6(8) 6-3

3位 アンドレイ・ルブレフ(ロシア) def. サム・クエリー( アメリカ)
2020年9月29日 全仏オープン 1回戦 6-7(5), 6-7(4), 7-5, 6-4, 6-3

4位 アンディ・マリー(イギリス) def. 西岡良仁(ミキハウス)
2020年9月1日 全米オープン 1回戦 4-6, 4-6, 7-6 (5), 7-6 (4), 6-4

5位 ファビオ・フォニーニ(イタリア) def. ライリー・オペルカ(アメリカ)
2020年1月21日 全豪オープン 1回戦 3-6, 6-7(3), 6-4, 6-3, 7-6(10-5)

文●酒井朋子

【PHOTO】攻守一体のプレーが魅力!逆転勝利でグランドスラム初優勝を果たしたドミニク・ティーム!