3月下旬のブラジル・グランプリで幕を開ける2021年F1。10チーム、20人のドライバーが最速を賭けて争うレースの最高峰の舞台には、様々な興味点が含まれているが、ミック・シューマッハー、ニキータ・マゼピン(いずれもハース)とともにデビューを飾るアルファタウリの角田裕毅の存在もそのひとつだ。

 日本人10人目のフルタイムドライバーという側面だけでなく、レッドブル・ジュニアチームの一員として各カテゴリーで高い評価を受け、大きな期待を背にF1での挑戦を開始する未来のチャンピオン候補としても、世界中から多くの注目を集めている。

 そんな彼が所属するアルファタウリは昨年、ピエール・ガスリーとダニール・クビアトを擁してコンストラクターランキングで前年(6位)を下回る7位に終わったが、獲得ポイントは初めて3ケタに達し(107)、ガスリーが波乱のイタリアGPで初優勝を飾るなど、進化を感じさせた。
  新シーズンで飛躍を誓うイタリア国籍のチームにおいて、角田は新たな一歩を踏み出すわけだが、この20歳の日本人ルーキーがチームで果たす役割は小さくないと、英国の専門メディア『Planet F1』は報じている。

 2021年の各チームのプレビュー記事において、同メディアはアルファタウリが昨季、背後から脅かされることのない強さを持つ反面、中段争いを勝ち抜くほどの力はなく、「孤独なレース」を展開することが多かったとして、レッドブルの「ジュニアチーム」から「姉妹チーム」へレベルアップするためには、ギャップを埋める必要があると指摘する。

 そのための手段として、アルファタウリが採るのはドライバーの最大活用であるとし、昨季75ポイントを挙げてドライバーランキング10位につけ、その実力と可能性を示したガスリーだけでなく、「32ポイントしか獲れなかった」クビアトからシートを奪った角田もまた、「うまくやらなければならい」と同メディアは綴っている。
 「ルーキーイヤーから高い要求を与えられるかもしれないが、レッドブル首脳のヘルムート・マルコは角田を高く評価しており、これに応えられるものと期待している」というが、そのために「チームはシーズン開幕までに、彼が落ち着いてレースができるよう準備を整える必要がある」と主張する。

 ガスリーについては、2022年はチームを離脱する可能性があり、それゆえに角田に“優先権”を与えるべきという考えもあるが、「これは間違い」であり、ライバルチームがいずれも経験豊富なドライバーを擁していることから、ガスリーの存在は不可欠であり、角田とともに公平な扱いが必要であるとも綴っている。
  最後に記事は「チームとして大事なのは、バランスをとること。角田を成長させながら、ガスリーの勢いを妨げない――これができれば、アルファタウリ(トロロッソ時代を含めて)はこれまででベストなシーズンを送る可能性がある」と締めている。

 角田には初年度から大きな責任がかかってくることを示唆する記事だが、彼の能力と、ガスリーの経験、マシンのポテンシャル、チームの的確な働きが融合した時に、いかなる結果がもたらされるのか。アルファタウリがグランプリをより活性化させられるか、角田のドライビング同様に楽しみである。

構成●THE DIGEST編集部