■新人に与えられる番号をNBA入り後も着用したガソル

 これまでNBAで16番を着用した選手は116人。10番台では19(99人)に次いで少ないが、その割に永久欠番は4人もいる。

 ただ、その中で近年のファンに馴染みのある名前はペジャ・ストヤコビッチくらいだろう。クロアチア出身の名シューターは、通算3ポイント成功数1760本で史上21位。2002、03年の3ポイントコンテストでは2年連続で優勝している。サクラメント・キングスをはじめ5球団に在籍し、16番以外は1度もつけなかった。

 残り3人の欠番選手が活躍したのは1960〜70年代。“サッチ”ことトム・サンダースは、60年代に黄金時代を築いたボストン・セルティックスのスターティングフォワード。派手さはなかったが、主にディフェンス面でチームを支え、73年に16番の欠番第1号になった。引退後はHCに転身、ハーバード大や古巣のセルティックスでも指揮を執った。

 アル・アトルズはゴールデンステイト・ウォリアーズがフィラデルフィアを本拠とした時代からチーム一筋にプレーした司令塔で、現役最後の2年間は選手とHCを兼任。その後HCに専念し、75年のファイナルでは圧倒的不利を予想されながら、ワシントン・ブレッツ(現ウィザーズ)をスウィープする番狂わせを演じた。ボブ・レイニアーはデトロイト・ピストンズとミルウォーキー・バックスでエースを張った万能型センター。72年から8年連続で平均20点以上を稼ぎ、両球団で欠番になっている。
  ニューヨーク・ニックスの指揮官として積み重ねた勝利数(613)が欠番扱いとなっているレッド・ホルツマンは、現役時代にロチェスター・ロイヤルズ(現キングス)で16番を背負った。52〜54年にニックスで16番だったアル・マグワイアは、選手としては大成しなかったものの、コーチとしてマーケット大を77年のNCAA王者に導き、92年に殿堂入り。ニックス時代のチームメイトで、背番号15が同球団の欠番になっている兄ディックより1年早い栄誉だった。

 パウ・ガソルはオールスターに6回出場し、ロサンゼルス・レイカーズ時代に2度の優勝を経験。スペイン代表としても2006年の世界選手権(現ワールドカップ)でチームを優勝に導き、大会MVPに輝いている。ただ、この欧州屈指のビッグマンもメンフィス・グリズリーズ時代はチーム成績が振るわず、レイカーズではコビー・ブライアントに次ぐ2番手だったため、欠番となるかどうかは微妙かもしれない。母国での16番は、プロに転身したばかりの新人に与えられる習慣の番号だったが、名選手になってからも着用し続けた。違う番号を使ったのは、バックスに在籍した19年(17番)のみだ。

 現役の16番は6人だけで、スター級は皆無。ベン・マクレモアは、キングスでプロ入りした際は16番だったが、前述の通りストヤコビッチの欠番となったため23番に変更。ヒューストン・ロケッツに移籍した20年、6年ぶりに昔の番号に戻った。同様にジェームズ・ジョンソン(ダラス・マーベリックス)もプロ入り時は16番、その後他の番号を経て元に戻した。
  スター級で欠番入りしていない選手としては、50年代に活躍したクリフ・ヘイガンとラリー・ファウストが挙げられる。ヘイガンは56年にビル・ラッセルの交換要員として、セルティックスからセントルイス(現アトランタ)・ホークスへ移籍したことで有名。58年のプレーオフで平均27.7点をあげるなど実力も折り紙つきだった。ファウストはピストンズ初期のセンターで、プロ入りから5年続けて得点とリバウンドでダブルダブルを叩き出している。

 欠番選手を含め、16番で最大の大物はジェリー・ルーカスだろう。オハイオ州大時代に年間最優秀選手に2度選ばれ、60年のローマ五輪で金メダルを獲得。ニックス時代は背番号32で2度の優勝に貢献したが、最初に入団したロイヤルズでは16番をつけた。リバウンドに無類の強さを発揮しただけでなく得点力も優れ、65、66年は2年連続で平均20点&20リバウンド。多芸多才な人物で、記憶術に関する本も執筆している。
  46年にトロント・ハスキーズで16番だったジョージ・ノストランドは、同年11月1日に行なわれたNBA(当時はBAA)最初の試合に出場。アリーナ前に彼より身長(203㎝)が高ければ入場無料という張り紙が貼られたのは有名なエピソードだ。レッド・ロチャは2人しかいないハワイ出身の選手(もう一人はセドリック・セバロス)。細身のセンターで、シラキューズ・ナショナルズ(現フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)在籍時の52年にオールスターに出場した。

 01年にマブズでデビューを飾り、中国人NBA選手のパイオニア的存在になったワン・ジジも16番。代表チームでは15番だったが、NBAではさらに上を目指したいと考えて選んだものだった。

文●出野哲也
※ダンクシュート2014年12月号原稿に加筆・修正

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