昨年12月に行われた12球団合同トライアウトには、15年ぶりの現役復帰を目指す新庄剛志が参加した。14年ぶりの新庄劇場が話題を集めたその舞台で光ったのが、東大出身の宮台康平である。宮台は三者三振を奪い見事にヤクルトへの入団切符を勝ち取った。

■3年春に東大記録の1試合13奪三振を記録するもサヨナラ負け

 宮台の出身高校は神奈川県トップクラスの学力を誇る湘南高校だった。同校は、戦後まもない1949年夏の甲子園で当時1年生だった佐々木信也(元大毎ほか)を擁し、神奈川県勢で初めて大優勝旗を持ち帰った学校としても知られている。

 しかし、夏の甲子園出場はその1回のみ。春の甲子園も1954年を最後に遠ざかっており、強豪校ではなかった。宮台自身も甲子園はおろか関東大会にも縁がない。3年時にプロ志望届は出さず、東大へと進学することになる。

 東大では1年春に代打としてリーグ戦デビューをはたす。この打席では三振だったものの4年間で打率.239(71打数17安打)とまずまずの成績を残している。3年間実戦から遠ざかっているとはいえ、DH制のないセ・リーグでも打撃面が大きな不安にはならなさそうだ。
  本職の投手としては1年秋に初登板。2年秋に初勝利をあげると、3年春には2勝し白星を積み上げていく。3年春の早大戦では、東大における1試合最多となる13奪三振も記録した。この試合では早稲田打線を8回まで0点に抑えていたものの、東大打線も大竹耕太郎(現ソフトバンク)と小島和哉(現ロッテ)の前に封じ込められ、結局9回に1点を失い0対1でサヨナラ負けを喫している。

 その後、故障がありながらも、通算38試合の登板で6勝13敗、防御率4.26の結果を残した。そして2017年ドラフト会議で日本ハムから7位で指名を受け、2004年の松家卓弘(横浜9巡)以来13年ぶり、史上6人目の東大出身のNPBプレーヤーとなった。
 ■3年間で一軍登録はわずか1日

 日本ハム入団後はほとんどが二軍暮らしだった。一軍では1年目となる2018年8月23日のソフトバンク戦で4.2回2失点、被安打4、与四死球6、奪三振3という記録が残っている。勝ち負けはついていない。一軍に登録されたのも、3年間でこの1日だけである。

 二軍では通算で43試合に登板し140.1回を投げ、7勝8敗1セーブ、防御率5.58の成績を残した。大卒3年目となった昨年は14試合(先発7試合)で39.2回を投げ、0勝4敗、防御率7.71と奮わなかった。ドラフト下位指名の大卒投手が3年間で結果を残せず、二軍でも結果が出ていないとなれば構想外となるのも無理はない。

 戦力外通告を受けた後、宮台は日本ハムからも育成契約の打診を受けていたという。しかしそのまま育成での再契約することなく、12球団合同トライアウトを受験。寒空の神宮球場ではストレート、チェンジアップ、スライダーと各球種が冴え渡った。カウント1ボール1ストライクからとはいえ、三者連続三振という最高の結果を残しアピールに成功。ヤクルトとの支配下契約を勝ちとった。
 ■二軍スタートも先発、中継ぎともにチャンスあり

 2月7日時点で高津臣吾監督は宮台の起用法を明らかにしていない。本人も入団会見の場で、「役割については、チームから言われることだと思うので、僕はそこにフィットするように全力でやるだけだと思っています」と語っており先発、中継ぎのこだわりはない。

 この春季キャンプでは二軍スタートとなったが、これまでに他投手と同様の練習を行いながらブルペンにも入っている。故障などのアクシデントによる措置ではなさそうだ。
  チームの左投手事情を見ると、先発ローテーション候補はベテランの石川雅規を筆頭に高橋奎二、ルーキーの山野太一、先発再転向となる寺島成輝と続くが、確約されている選手は不在。右腕を含めてもエースの小川泰弘をのぞくと、当確ランプが灯る選手はひとりもいない。

 中継ぎもキャンプで一軍スタートとなっている左腕は長谷川宙輝ただひとり。先発ローテーション、チームとして重要な左の中継ぎともに枠は空いているのが実情だ。

 二軍スタートとはいえ、宮台にもチャンスは十分にある。日本ハム時代に二軍ではあるが、先発と中継ぎの両役割をこなしていた強みがある分、役割にこだわらなければ一軍昇格への道は大きく広がりそうだ。まずは、二軍キャンプでともに汗を流している同じ左腕の久保拓眞、坂本光士郎、中尾輝との争いを制することが求められる。
  東大時代そしてトライアウトでも宮台は、神宮球場のマウンドで結果を残し、道を切り拓いてきた。しかしプロ入り後に一・二軍の公式戦で神宮球場のマウンドに立ったことはない。心機一転となった今年、一軍の戦力として、神宮球場のマウンドに戻ってくることが大目標となる。

取材・文●勝田聡

【著者プロフィール】
かつた・さとし/1979年生まれ、東京都出身。人材派遣業界、食品業界で従事し30代後半で独立。プロ野球、独立リーグ、MLBなど年間100試合ほど現地観戦を行っている。2016年から神宮球場でのヤクルト戦を全試合観戦中。

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