今冬にビジャレアルからヘタフェに“編入”した久保建英だが、その前途には暗雲が垂れ込めているようだ……。

 新天地デビュー戦となったエルチェ戦ではいきなり得点に絡み、続くウエスカ戦でも高度なプレーを見せて連勝に貢献。ここまでは良かったが、アスレティック・ビルバオ戦で1-5の大敗を喫すると、アラベス戦ではほとんど存在感を示せず、セビージャ戦では大部分の時間帯で守備に追われ、早々に交代となった。

 カルレス・アレニャとともに救世主として迎え入れられ、マルク・ククレジャを加えたバルセロナ下部組織出身者によるテクニカルなパスワークなどを持ち込んで、フィジカルと堅実さをウリにしていたホセ・ボルダラス監督のチームに革命をもたらしたと称賛されたのも束の間、ビルバオ戦の大敗が指揮官に“原点回帰”させ、“改革”は頓挫してしまった。

 4-2-3-1から5-4-1へのシステム変更などにより、攻撃に割かれる人数も減り、「ラ・マシア」のトリオも機能しなくなった中で、久保も試合から消えてしまうこととなり、期待からは程遠い状態に陥っている。
  冬の補強を機に目標である欧州カップ出場圏内(6位以上)への急上昇を狙っていたのが、いまだ降格圏(18位以下)から勝点4差の13位にとどまっているヘタフェについて、スペインの各メディアが一斉に「久保とアレニャの効果は消えた」と報じた。

 マドリードのスポーツ紙『AS』は「2人の加入によって生み出された全ての幻影は、短期間で消え去った」と綴り、「得点力不足の問題は解決しておらず、守備は以前よりも脆弱になった」と指摘する。

「エルチェ戦とウエスカ戦での2人のパフォーマンスは際立っており、ボルダラス監督はチーム浮上の手段を見つけたかに思われたが、ビルバオ戦で全てがバラバラになり始めた。セビージャ戦では、久保もアレニャも良いレベルでプレーできなかった」

 バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』も同じ論調で、「『アレニャ・久保効果』は薄れ、負のスパイラルに入った」「この先の日程(9日レアル・マドリー戦、14日ソシエダ戦、19日ベティス戦、28日バレンシア戦)も非常に厳しく、この苦境から抜け出すのは簡単ではない」と、今後の見方も悲観的だ。
  さらにサッカー専門メディア『BESOCCER』も、「ヘタフェが“再発”」と題した記事で「久保とアレニャによって別の空気を取り込んで2連勝したが、ボルダラスのチームは以前の状態に戻った」「理想の状態は急激に去り、3戦未勝利となって、新たなスターたちの影は薄くなった」と報じ、「リーグ最少得点(17点)で失点は26を記録しているチームは、有効な策を見いだせないまま戦いを続けていく」とネガティブに綴っている。

 一方でマドリー専門メディア『REAL LIVE』は、味方の退場により59分での交代を余儀なくされたセビージャ戦での久保のパフォーマンスを数字で振り返り、「試合は0-3で落としたにもかかわらず、ヘタフェで最高の数値で印象を残した」とポジティブに評価した。
  ボールタッチ数23、キーパス1本、ドリブル3回(成功2回)、空中戦勝利1回、デュエル7回(勝利5回)、タックル2回(成功2回)、インターセプト1回という成績を、納得のいくものだと評価し、退場がなければパフォーマンスはより良くなったかもしれないという。

『AS』紙も前半のパフォーマンスについては、「輝きを放った」と評価したものの、一方で採点は「0」であり、チームへの貢献度は低かったことがここからも窺える。

 ヘタフェ移籍は正しかったのか? という議論が再燃しそうな状況だが、久保が所有元のマドリーに主力として戻るには、ここで結果を出すしかない。守備に忙殺される状況でも、攻撃で光る部分を見せ続ける必要があるだろう。ボルダラス監督が常に語る「久保とアレニャにはチームを変えてほしい」という期待に、19歳の日本人はどのような形で応えるのか。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】久保建英が4試合連続で先発出場したセビージャ×ヘタフェのハイライト