今年1月にビジャレアルからヘタフェにレンタル先を変更した久保建英。最初の2試合では好パフォーマンスを披露して勝利に貢献したが、以降はチームの戦術の変更などもあって鳴りを潜めるようになり、ついにはスタメン落ちの憂き目に遭うこととなった。

 ラ・リーガ第23節のレアル・ソシエダ戦は、久々にキレのあるプレーでチャンスを創出するなど、その能力の高さを垣間見せたものの、それ以上にレアル・マドリー戦に続くベンチスタートとなったことの方が、現地メディアの関心を集めた。

「久保効果が薄まった」といった表現で、チーム内での重要度が低下していることを指摘されている19歳の日本人。しかし、彼の別の“力”は全く衰えていないと、スペインのスポーツビジネス専門メディア『PALCO23』が報じている。

 バルセロナの下部組織で才能を磨くも、クラブの違反によるペナルティで18歳まで公式戦出場を禁じられた結果、いったん日本に帰国してプロデビューした後、2019年に再びスペインに戻ってきた久保は、レアル・マドリーと契約を交わし、以降はマジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェでレンタル選手としてキャリアを重ねている。
  この移動において、久保が各クラブに多大な経済効果を与えたと主張する同メディアは、彼の影響力を一番分かりやすく実感できるのは、各クラブのSNSのフォロワー数だという。同じスポーツビジネス専門メディア『Iquii Sport』のデータを引用し、久保加入決定後のヘタフェのSNS(Facebook、Twitter、Instagram、YouTube)のフォロワー数が一気に5%もアップし、逆にビジャレアルはすぐに1.1%のフォロワーを失ったと紹介している。

 なかでも、Twitterは10.12%、YouTubeは7.97%と大きく上昇。ヘタフェは合計48万3000人のフォロワーを獲得し、カディスとアラベスを抜いたという。なお、ビジャレアルはYouTubeで8.17%、Twitterで2.05%のダウンを記録した。

 久保を獲得するにあたって、ヘタフェはレンタルフィーとして125万ユーロ(約1億5000万円)という小規模クラブにとっては決して安くない額を費やしたが、その効果は十分にあり、ピッチ上で彼が苦しんでいる現在でも、クラブは放映権料やグッズ収入などで利益を上げ続けているという。

 とはいえ、久保が活躍した方が、利益が飛躍的にアップにするのは、マジョルカ時代に証明されている。
  2019-20シーズン、プロとしての欧州1年目ということで興味や期待が高かった上に、シーズン途中からはハイレベルなプレーで不可欠な存在となったことで、マーケティングにおいてもその力を最大限に発揮。マジョルカ対ビジャレアル戦が、日本ではクラシコよりも多くの視聴者数を記録したニュースは、現地で驚きをもって迎えられた。

 SNSの数値でいえば、昨年6月のマジョルカ公式チャンネルのYouTube視聴回数は240万回で、これはバルサ、マドリーに次ぐ3位。また、Facebook、Twitter、Instagramにおける一投稿あたりの平均インタラクション数は3500で、これ以上の数字を記録したのはバルサ、マドリー、アトレティコ・マドリーだけだった。
  同メディアは、ラ・リーガ国際部門でアジアオフィスのディレクターを務めるイバン・コディーナ氏の言葉を引用し、日本が成熟した市場であり、この国のサッカーファンがスペインという“ブランド”に熱い思いを抱いていることを紹介し、また日本人選手がクラブに新たなスポンサーをもたらす可能性も指摘している。

 スタメンの座奪回に躍起であろう久保にとっては、マーティングの側面は与り知らぬものであるかもしれないが、ピッチ上でのパフォーマンスがクラブの利益をより高め、結果的に選手自身の価値を上昇させることになる。そういった正の相乗効果が再びこの日本人選手にもたらされることを、期待したい。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】久保建英がフェイントで見せる!ソシエダ戦のハイライト