F1でのデビュー戦となったバーレーン・グランプリで9位入賞を果たしたことで、スクーデリア・アルファタウリの角田裕毅に対する評価は飛躍的に上昇し、今や最高峰レースにおける主役のひとりとなっている。
 
 アルファタウリだけでなく、レッドブル・グループにおいても、ますます存在感を強めた20歳の日本人。前者のチームプリンシパルであるフランツ・トストは、早い段階での勝利も可能であると、その力に太鼓判を押し、後者の顧問ヘルムート・マルコは、この「ダイヤの原石」を大切に育てていくことを名言した。
 
 このように「角田フィーバー」と言えるような状況の中で、バーレーンGPでは予選で5位につけながらも決勝では序盤の接触で下位に沈み、最終的にリタイヤに終わったチームメイトであるピエール・ガスリーの影が薄くなっているという指摘もあるようだが、ドイツの専門メディア『MOTORSPORT-TOTAL.COM』は、このフランス人ドライバーの存在は、アルファタウリにとって、これまで以上に重要になると主張している。

 その根拠として、同メディアはアルファタウリのテクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントンの「今季の車(AT02)は昨季の車(AT01)進化系であり、ガスリーとその担当メカニックたちは、昨季の車のパフォーマンスを知っている」というコメントを引用する。
  角田が昨年12月に実施されたヤングドライバーテストでしかAT01を経験していないのに対し、年間を通してこの車を駆り、イタリアGPでは波乱の展開の末に初優勝を飾ったガスリーはチームに対し、重要なフィードバックを与えられているということだ。そしてその恩恵は、角田の車に何かが起きた際、彼にももたらされるという。

 エギントンTDによれば、他のチームは経験のあるドライバーを揃えているが、それゆえにそれぞれが異なるセットアップで、異なるシナリオを描くことになるが、アルファタウリの場合は勝手が違うという。

 ガスリーが昨季との比較で良い部分と悪い部分をしっかりと炙り出す一方で、角田はルーキーとしての新鮮な感覚によって多くの疑問を投げかける。それらをミックスすることで、チームとしての「最適解」が弾き出されるということであり、エギントンTDはこれをベストな形だと見ている。

 チームメイトでありながら、最大のライバルとして、互いに秘密主義を貫く形もF1では珍しくないが、チームとしての飛躍を誓うアルファタウリは、全てを共有することで全体の力を高めようとしている。今季、これがチームに、そして角田とガスリーの両ドライバーにどのような結果をもたらすのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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