前編に引き続いてお届けするのは、皐月賞(G1、中山・芝2000m)に出走する有力馬の戦力分析だ。今回は、人気上位2頭の牙城を脅かす伏兵について見ていく。

 単穴候補は道悪巧者のヴィクティファルス、ステラヴェローチェ、ヨーホーレイクの3頭だろう。とくにヴィクティファルス(牡3歳/栗東・池添学厩舎)は週末の天候悪化の予報を受けて、注目を集めるようになっている。 

 昨年11月末の新馬戦(阪神・芝1800m)を快勝したあと2か月ほどの休養を経て共同通信杯(G3、東京・芝1800m)に出走すると、勝ったエフフォーリアには突き放されたものの、2着に健闘。続くスプリングステークス(G2、中山・芝1800m)でも「重」発表のタフな馬場コンディションをものともせず、大外一気の追い込みを決めて重賞初制覇を達成。この重馬場での目の覚めるような走りが評価の急上昇につながった。 

 手綱を取る池添謙一騎手は池添学調教師の実兄。兄弟コンビでのG1初制覇という夢を叶えられるかにも注目が集まる。 

 ソダシで桜花賞を制したジョッキー(吉田隼人騎手)とトレーナーのコンビで臨むステラヴェローチェ(牡3歳/栗東・須貝尚介厩舎)は名うての道悪巧者だ。不良馬場で行なわれた昨年10月のサウジアラビアロイヤルカップ(G3、東京・芝1600m)では、最後方から豪脚を繰り出して突き抜けると、2着を3馬身も千切って捨てた。 
  その後、朝日杯フューチュリティステークス(G1、阪神・芝1600m)は2着としたが、今年初戦の共同通信杯で差のある5着に敗れて評価を下げた。しかし、このレースはスローペースによる前残りの競馬だった点が敗因とも考えられ、自身も上がり3ハロン33秒6という確かな末脚を使っている。本番前のひと叩き、と割り切ってみることも可能だろう。 

 バゴの産駒には、“道悪の鬼”とも言えるクロノジェネシスがおり、本馬もその血を受け継いでいるのは確実。馬場が予想より悪化すれば、人気上位の一角を崩しても驚けない。17日の昼時点で8番人気(オッズは約15倍)という人気薄だけに、馬券的な妙味も十分にある。 

 ホープフルステークス(G1、中山・芝2000m)3着、きさらぎ賞(G3、中京・芝2000m)2着のヨーホーレイク(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)は、ディープインパクト産駒には珍しく道悪も上手にこなす。稍重の新馬戦(阪神・芝1800m)、重馬場の紫菊賞(1勝クラス、京都・芝2000m)を勝っているのも強みで、前記の2重賞を含めて全4レースで最速の上がり時計を叩き出しているように、末脚も確かだ。

 陣営は日本ダービーを春の最大目標としているが、予想以上の成長の早さに目を細めているという。極端な馬場悪化は割引材料となるが、こちらは土曜の昼現在で12番人気と支持率が極めて低く、馬券圏内に突っ込めば高配当が見込める。
  その他には若葉ステークス(L、阪神・芝2000m)を1分59秒5の好時計で勝ったアドマイヤハダル(牡3歳/栗東・大久保龍志厩舎)、スローペースになった弥生賞(G2、中山・芝2000m)で展開の利を生かして逃げ切ったタイトルホルダー(牡3歳/美浦・栗田徹厩舎)、きさらぎ賞(G3、中京・芝2000m)でヨーホーレイクを降しているラーゴム(牡3歳/栗東・斉藤崇史厩舎)が上位を窺う存在として挙げられる。 

 そして、ここに“特注”の穴馬として加えておきたいのが、エポカドーロで2018年の皐月賞を制したトレーナーが送り出すレッドベルオーブ(牡3歳/栗東・藤原英昭厩舎)。朝日杯フューチュリティステークスを3着としたあとは休養に充て、皐月賞は4か月ぶりの実戦となるが、休ませた効果からだろう。馬体の成長がひと際目立っている。

 馬場の悪化は歓迎できないが、継続騎乗する福永祐一騎手は追い切りのあと、「時計は遅めでも、反応はすごく良かった。体のキレも言うことがないし、いい状態に仕上がった」と高評価を与えている。馬場状態があまり悪化しなければ、“一発”があるかもしれない。 
  馬券は、まず人気上位2頭のダノンザキッド、エフフォーリアを軸に据えた3連複、3連単の2頭軸マルチで、道悪巧者に流すのを本道としたい。後編で挙げたなかには人気薄の馬が多いので、軸に上位人気を据えても高配当が望める。 

 もし馬場が思いのほか悪化した場合には、単穴以下に挙げた馬のなかから1頭を選んで軸に取り、馬連で幅広く流すのも面白い。 

 天候、馬場状態に対する慎重な判断が必要な一戦。本命サイドの決着か、波乱が起こるのか。まずは一冠目の行方を楽しみに見守りたい。

文●三好達彦