米女子ツアー『ロッテ選手権』最終日、渋野日向子が6バーディ、4ボギーと出入りの激しいゴルフながら、2アンダーの「70」で回り、通算13アンダーでフィニッシュ。海外では今年初めて4日間を戦い抜き、33位タイで大会を終えた。

「むちゃくちゃなゴルフだったのにアンダーパーで回れたので、今は頭の中がこんがらがっている感じです」とラウンド後の第一声を発した渋野。その理由は突如乱れたショットにある。

 スタートの1番パー4からティショットを左に曲げて池ポチャに。前日まではティショットが安定し、42ホール(パー3を除いた3日間のホール数)中37ホールでフェアウェイをとらえていた。実に88.1%という高いキープ率を誇り、パーオン率でも84.7%とショットに関しては好調だった。

 ところが、この日は1番の池ポチャが影響したわけではないだろうが、フェアウェイキープ率は57.1%、パーオン率は61.1%と大会を通じてどちらのも自己最低の数字だった。流れ的にいえば、明らかにオーバーパーでもおかしくないのに上がってみれば2アンダー。単にアプローチとパットがカバーしてくれたからだが、頭の中が混乱するほど自分のショットに納得いかなったのだろう。
  しかし、4日間全体を通じて見た場合、「いろんなことが知れたし、この1週間はいい1週間でした」と本人がいうようにこの試合で得た収穫は大きかったのではないか。

 ティショットに関しては、今回の平均飛距離が268.0ヤードで、フェアウェイキープ率は80.4%と、どちらもそれほど悪くない。「多少振ってもブレなくなりました」と自信を得たことは大きい。ただ、スイング軌道がややフラット気味なので、最終日の1番のように緊張したり、力が入るような場面では、左へ引っかける怖さがあることも改めて把握できた。

 アイアンショットに関しては、パーオン率が示すようにかなり精度が上がってきたように見える。特に、ショートアイアンではピンに絡むことが多く、スピンコントロールもできている。このオフに集中的に行なったという100ヤード以下を練習した成果が徐々に表れ始めているのではないか。
  そして、ショートゲームだ。3日目は積極的にピンを攻めたことで、グリーンを外したときには難しいアプローチを残すことが多かった。それでもすべて1パット圏内に寄せ、ノーボギーでホールアウトできたことは大きい。

 パッティングに関しても、スタンスを大きく開いた以前のようなスタイルで構えたり、いろいろな工夫をしていた。さらに、恐々と打つことがなく、思い切りのいいストロークが多く見られ、渋野らしさを感じさせた。3日目、最終日の26パットという数字は決して悪くない。

 予選落ちした『ANAインスピレーション』で見つけた課題を、その後の1週間でうまく修正することができたのだろう。
  今大会はバーディ合戦的なところはあったにせよ、渋野が2ケタアンダーをマークしたのは、2019年の『大王製紙エリエールレディス』以来である。海外の試合に限ると、19年の『AIG全英女子オープン』以来だ。その意味では確実に自分が求める理想のゴルフへと近づいているのかもしれない。

 次の大会は2週後にシンガポールで開催される『HSBC女子チャンピオンズ』となるが、この1週間でさらにどのような調整をしてくるのか大いに楽しみではある。

「予選カットがないので初日からイケイケゴーゴーでいけたらいいかな」と本人もやる気満々だ。初めての地での試合が続くが、マイペースながらも試合を重ねる度に進化を遂げていることは間違いない。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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