NBAの世界には、2世選手として父をも上回る実績を残す選手たちがいる。現役ではデル・カリー(元シャーロット・ホーネッツほか)を父に持つステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、マイカル・トンプソン(元ポートランド・トレイルブレイザーズほか)の息子クレイ・トンプソン(ウォリアーズ)、スタン・ラブ(元ロサンゼルス・レイカーズほか)の息子ケビン・ラブ(クリーブランド・キャバリアーズ)はその筆頭と言えよう。

 特にカリー親子は、父デルが通算1万2670得点(平均11.7点)、ステフも4月24日(日本時間25日、日付は以下同)終了時点で通算1万8039得点(平均24.0点)をマークしており、その合計は3万709得点。これは親子による通算得点でNBA歴代2位の記録で、この上をいくのは父ジョー・ブライアント(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)、息子コビー・ブライアント(元レイカーズ)の計3万8895得点となっている。
  その一方、リーグ有数のシャープシューターとして活躍したグレン・ライス(元ホーネッツほか)の息子グレン・ライスJr.や、リーグトップクラスのポイントガード(PG)として1990年代から2000年代中盤にかけて活躍したゲイリー・ペイトン(元シアトル・スーパーソニックスほか)の息子ゲイリー・ペイトン二世は、なかなかNBAに定着できていない。

 NBAキャリア17シーズンで平均16.3点、3.9リバウンド、6.7アシスト、1.8スティールという成績を残し、2013年に殿堂入りしているペイトンは、先日出演した『NBC Sports Bay Area』の『Dubs Talk』の番組内で、現在ウォリアーズと2度目の10日間契約を結んでいる息子についてこう語っている。

「彼は今、とてもオールドスクールなプレーをしている。だが、多くのチームが彼の本当の価値をわかっていない。彼はディフェンスが好きであり、皆を巻き込んでプレーすることを好んでいるんだ。彼はそう、10(得点)、10(リバウンド)、10(アシスト)できるような選手になりたいのさ。今でもワークアウトし、努力していることを嬉しく思っているよ」
  ペイトン二世は2016年のドラフトで指名漏れするも、2016−17シーズンにミルウォーキー・バックスの一員としてNBAデビュー。その後、バックス、レイカーズ、ワシントン・ウィザーズを経て、今年4月8日にウォリアーズと10日間契約を締結した。

 今季の主戦場となっていたトロント・ラプターズ傘下のGリーグチーム、ラプターズ905では平均10.8点、5.7リバウンド、2.5アシスト、2.5スティールをマークし、最優秀守備選手賞を獲得。NBAでの今季3試合目となった14日のオクラホマシティ・サンダー戦では、9分14秒のプレータイムで10得点、3リバウンド、4スティール、1ブロックと、攻守で活躍し勝利に貢献した。

「今はゴールデンステイトが彼にチャンスを与えてくれている。スティーブ・カー(ヘッドコーチ)は彼がどんなことを持ち込めるのかをわかっているんだと俺は思っているよ」と、ペイトンは息子の現状について語っていた。
  28歳のペイトン二世は、190cm・86kgとPGとして十分通用する肉体を持っている。しかしここまでのキャリアスタッツは、平均11.4分の出場時間で3.3点、2.1リバウンド、1.2アシストと鳴かず飛ばず。3ポイント全盛の現代において、通算3ポイント成功率が25.9%と、シュート力不足がその原因となっている可能性はありそうだ。

 それでも、サンダー戦終了後、カーHCは「アシスタントコーチ陣が彼をコートに入れている時に言ってきたんだ。『私たちは彼をコートから外すつもりはありません。彼のディフェンスは素晴らしい』とね」とコメント。ペイトン二世のディフェンス力に一目置いているのは間違いない。

 ウォリアーズにはカリー、トンプソンと歴代最高クラスのシュート力を誇る選手が複数いる。ペイトン二世が今の環境下で優れた先輩からスキルを吸収し、課題であるシュート力を磨いてNBAに定着できるか注目していきたい。

文●秋山裕之(フリーライター)

【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!