4月21〜25日で開催された体操の『欧州選手権』で、ドイツの女子選手が足を全て出す“レオタード”ではなく、足首まで覆った“ボディースーツ”を着用して競技。この革新的な取り組みが全世界で大きな話題となっている。

 国際体操連盟(FIG)の規定によれば、競技者はエレガントなデザインであれば、「ヒップから足首までの長さのレオタード」を着用することが許可されているにも関わらず、これまで女子体操界ではレオタードが主流で、宗教的な理由を除けば足首まで覆うユニフォームを着る選手はいなかった。

 露出度が高いことで性的な目で見られ、被害に遭ったケースは多数存在する。アメリカでは、リオ五輪金メダリストのシモーン・バイルスをはじめとする代表選手に性的暴行を加えたとして、元医師のラリー・ナサール氏に最低40年、最高175年の禁固刑の判決が下されている。同様にイギリスでも代表監督が性的暴行の疑惑が浮上。他にも試合中に性的な意図で写真や動画が撮影され、インターネットを通して拡散される被害が相次いでいる。

 今回はそのような性的対象として扱われていることへの抗議として、ドイツの21歳サラ・フォスが自らの考えで“ボディースーツ”姿で競技を行なった。英放送局『BBC』によれば、フォスは「自分が性的対象になったわけではないが、若い選手のロールモデルであり、それぞれ自分の身を守ることを勧めたい」と主張しているという。
  独紙『南ドイツ新聞』では、フォスにならってボディースーツで競技した同郷のエリザベト・ザイツのコメントを掲載。「全員が肌を見せないようにすべきと言っているのではない。好きなものを着ることで快適に出来るのではないか」と選択肢は選手にあると主張する。

 またドイツ放送局『Hessenschau』では、元体操選手の選手目線での意見を取り上げている。ナオミ・ファン・ダイク氏は前例のないフォスの取り組みを見て、「すぐに凄いことをしたと思った」と称賛。続けて、現役時代を振り返り「私たちは試合中、数えきれないほど写真を撮られている。これらは使用用途が不明で選手は不安な気持ちになる。これで自分たちの身が守られるわね」とコメントしている。

 今後の女子体操界では、この事例がロールモデルとなるだろうか。全てはアスリートファーストであることを願うばかりだ。

構成●THE DIGEST編集部

Sarah Voss 🇩🇪 averages 13.516 on vault at #Basel2021 qualifications pic.twitter.com/mDjG8jXAnS

— European Gymnastics (@UEGymnastics) April 21, 2021