5月9日、春の3歳マイル王決定戦で、スピード自慢の優駿たちが一堂に会するNHKマイルカップ(G1、東京・芝1600m)が行なわれる。

 今年のメンバーの特徴は、なんと言っても逃げ・先行脚質の馬に人気が集中している点だ。ここでは上位人気が予想される5頭の脚質と成績を挙げてみる。

 昨年の朝日杯フューチュリティステークス(G1)を制したグレナディアガーズ(牡3歳/栗東・中内田充正厩舎)は前走、ファルコンステークス(G2、中京・芝1400m)で先行して2着に終わった。

 また、弥生賞ディープインパクト記念(G2、中山・芝2000m)で先行し、2着を確保したのがシュネルマイスター(牡3歳/美浦・手塚貴久厩舎)。このときの勝ち馬はのちの皐月賞(G1)で2着に入るタイトルホルダーである。

 重賞初挑戦となったニュージーランドトロフィー(G2、中山・芝1600m)を絶妙なペースでレースを引っ張ったバスラットレオン(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)は、直線で後続を突き放して2着に5馬身(0秒9)もの差を付け、逃げ切り勝ちを収めた。

 ホウオウアマゾン(牡3歳/栗東・矢作芳人厩舎)は、重馬場となったアーリントンカップ(G3、芝1600m)を2番手から抜け出して快勝。いかにも競馬センスの良さそうなレースぶりが印象的だった。
  1月のシンザン記念(G3、中京・芝1600m)をラクに逃げ切ったピクシーナイト(牡3歳/栗東・音無秀孝厩舎)は、次走のアーリントンカップでも逃げ勝ったホウオウアマゾンから0秒4差の4着に粘っている。

 このように、上位人気を占めるであろう馬たちが揃いも揃って「逃げ」と「先行」脚質の馬ばかりになるのも珍しいケースだろう。

 古い常識でいえば、逃げ・先行が揃ったレースは差し・追い込みに有利と言いたくなるところだが、そう簡単に割り切れないのが現代競馬である。調教技術の進歩などによって馬の操縦性は格段に高まっているため、逃げて勝ったことがある馬でも、2番手以下に控えてレースを進めることも珍しくない。

 実際、バスラットレオンの矢作調教師は、「逃げたときのほうが成績はいいので、悩ましいところですが、実際に逃げるかどうかは分かりません」とコメントし、スローならば積極的に逃げ、複数頭が先頭を奪い合ってハイペースになりそうであれば控えていく、そんなプランを描いている様子だ。展開の読みについては各陣営も頭を悩ませているだろうが、馬券的に見ると、まずここがポイントになる。
  弥生賞の2着で皐月賞への優先出走権を得ながらそれを回避し、マイル路線へと舵を切ったシュネルマイスターを本命と見たい。

 東京のマイル戦は、距離適性がマイルよりも中距離寄りにシフトした馬が良績を残しているのはよく知られているが、それにぴったりなのがこの馬。ゆったりとレース間隔を取り、ここまでわずか3戦と、今後に向けて大きな“伸びしろ”を持っているのも魅力的だ。また脚質的にも、どの馬が逃げるにしろ、それを目標にしながらレースを進められるのも有利に働くと見る。

 シュネルマイスターとはほとんど差のない2番手には、G1ウィナーに敬意を表して、グレナディアガーズを取り上げたい。

 昨秋、朝日杯フューチュリティステークス(G1)を制したあとは、いったん休養。ことしの初戦となったファルコンステークス(G3、中京・芝1400m)には、他馬より1kg重い57kgの斤量を背負って出走した。逃げるルークズネスト(牡3歳/栗東・浜田多実雄厩舎)にアタマ差競り負けたが、目標へ向けてのステップとしては上々の内容だった。あとは東京への初の長距離輸送がカギとなる。
  他の有力馬としては、ホウオウアマゾン、バスラットレオンの“矢作厩舎勢”と、アーリントンカップで3着に入ったレイモンドバローズ(牡3歳/栗東・上村洋行厩舎)をピックアップ。ただし、バスラットレオンとレイモンドバローズについては、ことしすでに3戦しているハードなローテーションが気になるため、やや評価を下げたい。

 最後に筆者が大穴狙いで注目している1頭を挙げておく。ロードマックス(牡3歳/栗東・藤原英昭厩舎)は、新馬戦を勝ち、京王杯2歳ステークス(G2、芝1400m)で2着に入っている“東京巧者”。大敗が続いているが、そこはリカバリーが巧みな藤原厩舎のこと。調子を取り戻して、後方から一気に追い込んでくるシーンを期待したい。

文●三好達彦