2020年ドラフトで指名されたルーキーたちのなかで、最も将来性があるのはどの選手なのか?2020−21シーズンも佳境に差し掛かるなか、『ESPN』でNBAドラフトに関するアナリストを務め、『DraftExpress』にも寄稿するマイク・シュミッツ記者と、同じく『ESPN』のライターであるケビン・ペルトン記者が、今季の新人たち“スターポテンシャル”を査定した。

 まず、両氏が選定したルーキーの“スターポテンシャルランキング”は以下の通り。(チーム名はフランチャイズ部分省略)

▶シュミッツ記者
1位 ラメロ・ボール(ホーネッツ)
2位 アンソニー・エドワーズ(ウルブズ)
3位 タイリース・ハリバートン(キングス)
4位 パトリック・ウィリアムズ(ブルズ)
5位 デニ・アブディヤ(ウィザーズ)
6位 アイザック・オコロ(キャバリアーズ)
7位 サディーク・ベイ(ピストンズ)
8位 オニエカ・オコング(ホークス)
9位 ジェームズ・ワイズマン(ウォリアーズ)
10位 アイザイア・スチュワート(ピストンズ)
 ▶ペルトン記者
1位 ラメロ・ボール(ホーネッツ)
2位 タイリース・ハリバートン(キングス)
3位 アンソニー・エドワーズ(ウルブズ)
4位 サディーク・ベイ(ピストンズ)
5位 イマニュエル・クイックリー(ニックス)
6位 デビン・ヴァッセル(スパーズ)
7位 アイザイア・スチュワート(ピストンズ)
8位 デズモンド・ベイン(グリズリーズ)
9位 チュマ・オキキ(マジック)
10位 オニエカ・オコング(ホークス)

 両氏とも1位に挙げたのが、今季の新人王筆頭候補のボール。ただ、このディベートではボールが優れた才能を持っているのは大前提とした上で、“その能力をさらなる高みへと押し上げるにはどこを改善すべきか”という点に重きが置かれた。シュミッツ記者が最優先課題として挙げたのが「リング周りでのフィニッシュ力」だ。

「ペイント内で力強さがなく、無意味に左手を使ったり、ファウルを避けようとして多くの得点機会を失っている。エリートディフェンダーを相手に高確率で得点する能力は、まだ安定して見られない。パス能力が彼の強みであることは言うまでもないが、この部分を改善できるかが、彼がルカ・ドンチッチ(マーベリックス)やザイオン・ウィリアムソン(ペリカンズ)、ジェイソン・テイタム(セルティックス)といった若手スターと肩を並べ、プレーオフチームのベストプレーヤーとなれるかのカギとなるだろう。彼が試合終盤にチームの得点源となるには、アウトサイドのプレーに磨きをかけつつ、ドライブの威力も高める必要がある」
  また、オンボールディフェンダーとしてのフィジカルの強さや、ボールを持ってからの一貫性にも課題があると指摘したシュミッツ記者。そしてもうひとつ重要な課題に“ケガへの耐久性”を挙げた。

「最も重要なことは、ボールがキャリアのなかでどれだけの耐久性を発揮できるかという点だ。オーストラリアでの足のケガなど、NBA入り前はシーズンを最後までやり遂げることができないと知られていたため、シーズン82試合をコンスタントにこなせるかどうかは疑問が残る。しかし、彼はスキルを売り物にしたプレーをしているので、その部分は健康を維持するのに役立つはずだ」

 今季は3月末に右手首を骨折し、1か月以上の戦線離脱を強いられたボール。健康体を維持することもスターの必須条件だけに、今後はケガなくシーズンを全うしてほしいところだ。
  続いて2位以下を見ていくと、2、3位は順位こそ逆だが同じ選手がランクインしている。シュミッツ記者はドラ1のエドワーズが「間違いなくNo.2」と主張した。

「今季を観た限り、今後何年にもわたってリーグのトップスコアラーになるチャンスがあるだろう。あの体格であれほどのフットワークとアジリティがある選手はなかなかいない。試合を経るごとにシュート成功率やアシスト/ターンオーバー比率もプラスになっており、効率性という点ではいい方向に向かっている。ディフェンスと状況判断は向上が必要だが、パサーとしてはむしろ過小評価されているくらいで、このまま成長すれば長くオールスター選手に君臨できる能力があるだろう」

 一方でペルトン記者は、エドワーズのTS%(True Shooting Percentage。シュートの効率性を計る数値)が50.7%で、リーグの平均値を12.3%も下回っていることから得点効率の悪さを指摘。また、現在のウルブズの状況が、エドワーズに“悪い癖”をつける可能性があると心配しているという。

「カール・アンソニー・タウンズが戦線を離れている間、彼は好きなだけ出場時間を得て自由にプレーし、成功率30.6%と精度の低いプルアップジャンパーを多投する傾向にある。そして、彼のディフェンス意識は低い。ミネソタは、エドワーズのオフコート時の被ファーストブレイクポイントが100ポゼッションあたり10.9点だが、彼のオンコート時は15.9点に悪化し、リーグワーストの値になっている」
  とはいえ、エドワーズがシーズン後半に見事なパフォーマンスを披露している点については賛同したペルトン記者。ブラッドリー・ビール(ウィザーズ)とデビン・ブッカー(サンズ)が、彼がロールモデルにすべき選手であると話した。

 そんなペルトン記者が2位に据えたのがハリバートン。さほど評価の高くなかった大学1年時から彼を追っていたという観点から、次のように評価した。

「彼のNBAでのパフォーマンスは、シューターとしての正確さと、巧みなピック&ロールでディフェンスを瓦解させるという点で私を驚かせている。エドワーズのようなスター性はないかもしれないが、健康体ならば今後数年にわたってチームのスターターとして活躍できるのは間違いないだろう。そして、ここまで期待した以上の活躍を見せていることからも、今後の可能性に天井を設けるべきではないと感じるね」
  これに対しシュミッツ記者は同意しつつ、大学時代のハリバートンの印象と、NBA入り後の長所&短所について語った。

「私は、彼が大学1年目のシーズンに見せたような効率的なプレーを、ボールを長く保持する役割を担っても同様に行なえるか少し疑問視していた。しかし、(2019年に)ギリシャで開催されたU19の大会で、ほかのプロスペクトたちと比較した時、ハリバートンがNBAでもスターターとして長く活躍し、それ以上に成長する可能性を秘めていることがはっきりとわかった。その後、ドラフト前にラスベガスで彼を観た時、その考えが確信に変わったんだ」

「彼の才能は否定しようがないが、本当のスターになれるかはオフェンス、ディフェンスの両サイドで安定して影響力を発揮できるかにかかっているだろう。攻守でまだフィジカルにプレーしなかったり、ファウルをもらいにいかないなどの懸念もある。ただ、ディアロン・フォックスとの相性は抜群だ。また、数字に残らない部分の貢献や魅力的な個性などでも、サクラメントの文化を変えた。絶賛の声しか聞かないよ」
  そのほかの選手では、ベイとスチュワートのピストンズ勢と、ホークスのオコングを両氏ともトップ10にランクした。ベイについてペルトン記者は「3&Dとして良いロールプレーヤーになると予想したが、自らショットチャンスを作り出すなどポテンシャルを高めている」と評価。一方シュミッツ記者は「シューターとして期待を上回る活躍を見せている」としながらも「効率的なプレーと優れた個性を持っているが、NBAで最悪のチームのひとつに所属し、究極の自由を手に入れてやっているという事実は考慮されるべき」と話した。

 オコングに関しては、両氏ともその潜在能力を高く評価。「センターとしては小柄だが、それでも2ポイントシュートを63%の高確率で成功させ、ブロックも平均以上。いずれ貢献できる選手になるはず」(ペルトン記者)、「ケガで出遅れ、プレーオフ争いを繰り広げるチームのなかで安定して役割を果たすことはできなかった。だが、サイズ不足のためインサイドでのプレーに制限があるとはいえ、コート上で垣間見せるリムプロテクトや守備的な勘は印象的。経験上、彼のような身体能力が並みの、頭脳的なビッグマンは、NBAのゲームを理解するのに時間がかかりそう」(シュミッツ記者)と寸評した。
  そのオコングを、大学時代の直接対決時にスチュワートが圧倒したことを引き合いに出したシュミッツ記者は「もしオコングがデトロイトにいたら、スチュワートと同じような成績を残したと思う。ただ、スチュワートのエネルギッシュなプレーやフィジカル、愚直なスタイルは愛されて然るべき。そして将来は3ポイントを安定して決められるようになるだろう。今季の各選手の状況を考えると、彼がこれまでのようなプレーを続けられれば、オコングやワイズマンよりも良いビッグマンになれるはずだ」とスチュワートについてコメント。ペルトン記者も「スキルを向上させれば、メイソン・プラムリーに代わって先発センターになれる」と賛辞を送った。

 はたしてこのなかから何人のオールスター選手が誕生し、また次世代のリーグの顔となるプレーヤーは現われるのか。Part2では、どちらか一方のランキングにのみ選定されたルーキーたちを見ていきたい。

構成●ダンクシュート編集部

【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!