F1第6戦のアゼルバイジャン・グランプリは6月5日に予選が行なわれ、スクーデリア・アルファタウリの角田裕毅は初のQ3進出で8番手のタイムを計測、後に他ドライバーのペナルティによる降格で7位に繰り上げとなった。

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 第2戦以降は満足のいく結果を残せず、苦戦の色が窺えた角田だが、この初体験の市街地コースでは、初日のFP2でトップ10(10位)に入るなど幸先のスタートを切り、FP3でも8番手につけて期待を持たせた。迎えた予選では、Q1で赤旗中断が続き、なかなかタイムを出せずにやきもきしたが、2度のアタックで11番手のタイム。Q2では2度目のアタックでトップのマックス・フェルスタッペンから1000分の29秒遅れの好タイムで4番手に浮上し、F1で6戦目にして初めてQ3進出を果たした。

 目標のひとつを達成したルーキーは、1分42秒211で8番手につけ、さらなるタイム更新を狙って最終アタックに臨んだが、ターン3で曲がり切れずにバリアへ突っ込み、さらに背後を走っていたカルロス・サインツもクラッシュしたことで、予選は赤旗中断、そのまま終了となった。
  2日目を終えた角田はチームの公式サイトを通して、「本当に複雑な気分」と正直な心情を吐露。「少しプッシュし過ぎてしまい、思い通りの予選になりませんでした。とても残念に思っていますし、チームに対しても本当に申し訳なく感じています」と反省の意を示した。

とはいえ、ここまでのパフォーマンスについては「週末を通して進歩を見せられていることはとてもポジティブだし、初めてQ3に進出できました」と前向きに捉え、クラッシュについても、「もっと前のポジションでレースをスタートできるポテンシャルがあった」という確信ゆえに、生じたアクシデントだったという。

 予選直後にはメディアに対し、「コーナーの手前で十分に止まれると思いましたが、フロントタイヤがロックしてしまい、チャンスはありませんでした」とクラッシュシーンを振り返り、「もっと上の順位を得られるだけのペースを車は持っていた」と悔いた角田は、気持ちを切り替えて、「このコースは、モナコよりはるかにオーバーテイクがしやすいので、タイヤ戦略をうまく機能させれば、僕たちにとって良いレースになると思います」と語っている。
  車の修理に追われることとなったチームも、やはり思いは複雑なようで、チーフ・レースエンジニアのジョナサン・エッドルスは「ユウキはQ2で素晴らしいラップを刻み、初のQ3では8位につけたが、残念なことにハードにプッシュし過ぎた」とコメント。しかし、「これも学習体験の一部であり、彼は今週末、ペースを上げ、非常に良いパフォーマンスを発揮した」と擁護するとともに、今GPでの進歩を称賛した。

 また、ホンダのパワーユニットを積んだ4台がいずれもトップ10入りしたことに満足感を示したホンダ・レーシングの田辺豊治テクニカルディレクターも、Q3進出を達成した角田を「良い走りをしている」と評価する一方で、「マックス・フェルスタッペン選手、セルジオ・ペレス選手、ピエール・ガスリー選手が赤旗中断(終了)によってタイム更新できなかったことにはフラストレーションを感じます。そして、角田選手のクラッシュがその赤旗の原因となったことは残念です」とも語っている。

 結果的に角田のクラッシュによって、各ドライバーの最後のアタックがフイになったことで、彼に対して厳しい目を向ける現地メディアも少なくなく、オランダの『RN365』は「意図せずフェルスタッペンを妨害」、英国の『planetf1』は「自信を持った角田の後味が悪いラストアタック。運転ミスで自らを悩ます」と綴り、メキシコの『MedioTiempo』はSNSに寄せられたペレスファンの角田への不満や怒りを表わした投稿をまとめて紹介した。
  しかし、これらのメディアでさえも、Q3進出を果たした角田のパフォーマンスが向上したことは認めており、『planetf1』は「印象的な予選でのペース。彼の走りには明らかな改善が見られた」と記述。また、イタリアの『MOTORIONLINE』は「並外れたパフォーマンスでF1キャリア初のQ3進出。高層ビルの合間のコースで、優れたドライビングによって巧妙な戦略を成立させるとともに、チームメイトにも好影響を与えた。最終アタックでは、彼も『キラーカーブ』の犠牲となった」と賛辞を贈っている。

 結果の面でも進化を見せた21歳の日本人ドライバー。Q2での全てをうまくまとめ上げてのベストラップは、彼の限界を攻める積極性が初めて良い形で表われたものだと言えよう。最後のクラッシュについては議論を巻き起こしているが、決勝でも良い部分を活かしながら、ベストな結果を残せるか要注目だ。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】赤旗で予選終了!ターン3で曲がり切れず最後はクラッシュした角田