6月28日からウインブルドンが開幕します。今大会の注目はやはりフェデラーでしょう。世界中が活躍を願っているのではないでしょうか。テニスが芝に合っているのは自他ともに認めるところで、もう1度優勝する可能性があるとすれば、やはりウインブルドンです。

 ただ、現実は厳しいと思います。体力的にも簡単ではありません。試合に出続けている時の体力と、試合数が減っている時の体力では違いがあります。オンコートに勝るトレーニングはないと思っています。

 もちろん、オフコートのトレーニングをした上でのことですが、オンコートで当たり前のように試合をこなしていないと、フィジカルのレベルが落ちてきます。その影響は年齢が上がるほど歴然と出てしまうというのは、私も感じたことです。

 それでも、フェデラーならやってくれるのではないか、奇跡が起きるのではないかと、思わせてくれる選手です。
  女子の注目選手を挙げるのは本当に難しいです。全部のサーフェスに対応できる確固たる女王がいません。男子のビッグ3は、それぞれ得意不得意なサーフェスはあっても、全部のサーフェスに対応できますからね。

 ぜひ女王が出てきてほしいですし、理想はライバル関係となる2人の選手がいることです。良い時代は必ずライバルが存在します。ボルグとマッケンロー、エバートとナブラチロワなど。お互いが刺激し合って、その2人を追いかける選手が出てくるのが理想的です。

 現在の女子上位選手で、その2人になれる選手はいません。今から急にメンタルが強くなるとか、テニスが激変することありませんから。可能性があるのは若手です。ガウフやシフィオンテクが時代を変えてくれるかもしれません。

 女王という意味では大坂なおみ選手にも可能性はあります。ただ、短期間で色々と変わり過ぎて、彼女の求めるものがどこにあるのかなと思います。オンコートのテニスだけではなく、エネルギーを注いでいる範囲が、発展途上の段階で広すぎると感じます。もっとテニスだけにエネルギーを注ぐようにすると、当然ですが考え方も違うものになっていきます。

 彼女がテニスを通してどういう生き方を求めているかでしょう。今の方向で行くとなると、確固たる女王になるのは難しいと思います。その生き方が悪いわけではありません。ただ、ビッグ3が成し遂げたようなことを求めるとなると、ちょっと厳しいですね。そんなに簡単なことではありませんから。彼らも色々なことをしていますが、コートに立ってテニスで表現するという、絶対的な軸はズレてはいないんです。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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