今季、期待と注目を集めながらF1デビューを飾り、ここまで9レースを戦ってきた角田裕毅。開幕戦バーレーン・グランプリでいきなり9位入賞を飾るなど才能の片鱗を見せた一方で、不必要なミスでチャンスを逃したりと、ルーキーらしい未熟さも垣間見せている。

 アルファタウリのフランツ・トスト代表やレッドブル・グループのヘルムート・マルコ顧問はシーズン前や開幕直後、この日本人ルーキーの速さやタイヤマネジメント、そしてレース運びを絶賛し、早期での勝利も望めると語っていたが、シーズンの中盤に差し掛かった今、首脳陣たちはいかなる印象を角田に抱いているのだろうか。

 この疑問に対し、トスト代表がオーストリアGPの前に行なわれたオランダの放送局『NOS』のインタビューの中で回答。このGPで15勝目を挙げたレッドブルのマックス・フェルスタッペンと角田の類似性について訊ねられたチーム代表は、以下のように語っている。
 「確かに、似たところがある。それは、生まれ持っての才能だ。2人ともすぐに速さを見せつけ、ブレーキングをうまく習得した。そして、学習速度が非常に高い。ただ、角田に比べてマックスは、デビュー時の成熟度が少し高かった」

 この要因については、「父親の存在が大きい」という。マックスの父親ヨスといえば元F1ドライバーであり、1994年にJJ・レートの代わりにミハエル・シューマッハーのチームメイトとしてベネトンでデビューし、同年に2度表彰台に上がり、以降は5つものチームを渡り歩いて出走回数は107を数えた。97年に生まれた息子マックスに対しては、幼少期からプロのドライバーになるための訓練を施したことが知られている。

「ヨスの功績を認めなければならない。彼はマックスにとって、理想的な教師だった。その点、ユウキにはF1の経験を持つ父親がいないことで、ガイダンスや知識は不足している。したがって今年、彼のデビューイヤーは少しばかり厳しいものとなっているが、我々はここまでの彼にはとても満足している」
  角田も父親の手厚いサポートを受け、カート時代にはドライビングの基本を学んだことが知られているが、やはり最高峰レースの世界を知るヨスから全てを叩き込まれたマックスは、17歳でトロロッソ(アルファタウリの前身チーム)でF1デビューしてからすぐに“違い”を見せ、その才能を発揮することができたようだ。

 角田は今季ここまで、苦戦する時間の方が長くなっているが、トスト代表にとってはそれも計算の内であるようだ。ある程度の時間を費やせば、角田がさらに学習を重ねて高いレベルに達することできると考えており、「ユウキはF1の財産だ」と断言するほど、今でもその資質を高く評価している。

 もっとも、彼がマックスに肩を並べられるかどうかは「まだ分からない」と正直に語り、「今後の学習によるだろう。マックスの場合は、急激な上昇曲線を描いた」として、これから正念場を迎えることを強調した。
  角田がミスを犯すと、その去就に関する話題が多く浮上するのは、ドライバーに対するプレッシャーが厳しいことで知られるレッドブル・グループでは当然のことだと考えられている節があるが、以前に話題となったイタリア移住の件も含め、トスト代表の言葉からは、じっくり逸材を育成するプロジェクトが進んでいることを感じさせる(マルコ顧問が同じ考えを持っているかは不明だが……)。

 角田はデビュー前、「レッドブルでマックスのチームメイトになること」を目標のひとつに挙げたが、先日のレッドブル公式サイトに公開されたインタビューでも、「チームメイトを選べるならマックス」と語っている。モナコで「美味しいジントニックの作り方を教えてくれた」という23歳のワールドチャンピオン候補筆頭に近づき、首脳陣の見立てが間違っていなかったことを証明したいところだ。

構成●THE DIGEST編集部

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