1997年のG2格上げから、夏のG1戦線や、欧州遠征(特に凱旋門賞)を狙うトップホースの参戦が増え、”スーパーG2”のポジションが明確になっている札幌記念(G2、札幌・芝2000メートル)。ことしも4頭のG1ホースがエントリーしているが、なかでも注目されるのは2頭の牝馬である。

 1頭は、桜花賞(G1、阪神・芝1600メートル)を制して競馬シーンの話題をさらった白毛馬のソダシ(牝3歳/栗東・須貝尚介厩舎)。そして、もう1頭は、今春を海外遠征にあて、ドバイシーマクラシック(G1、メイダン・芝2410メートル)で僅差の3着に入ると、続くクイーンエリザベス2世ステークス(G1、シャティン・芝2000メートル)を制したラヴズオンリーユー(牝5歳/栗東・矢作芳人厩舎)。新旧女王の激突だ。

 今回はこの2頭を中心に、能力や適性を見ていこう。
  まず、”推し”的な支持も含めて1番人気が濃厚なソダシだ。デビューから5連勝となった桜花賞のレースは見事だったが、続いて臨んだオークスは、道中での不利があったものの、ラストは伸びあぐねて8着。初めての黒星を喫し、はからずも「クロフネの産駒は2000メートル以上の重賞を勝っていない」というデータが証明されてしまったかたちだ。

 ソダシが勝った最長距離レースは、新馬戦(函館)と札幌2歳ステークス(G3)の1800メートル。元来、パワー型の馬が多いクロフネ産駒らしくタフさが要求される洋芝をこなしているのは心強いが、距離適性に関しての不安が消えたわけではない。

 オークスのあとは放牧休養を経て函館競馬場に入厩。精力的に調教を積んでおり、仕上がりに不安はないが、どうしても距離不安を拭い去るのは難しい。

 斤量(52キロ)がラヴズオンリユー(55キロ)より3キロ軽い好材料を活かしてどこまで迫れるか(もしくは「2000メートルの距離を我慢できるか」)にかかっている、というのが妥当な評価だと考え、筆者はソダシを「押さえ」にとどめたい。

 ラヴズオンリーユーは、古馬になってからに絞って見ても、1600メートルから2500メートルのレースに出走しているように距離の融通性は高いが、前走のクイーンエリザベス2世ステークスを制したことからも分かるように、ベストは2000メートルだろう。
  北海道シリーズへの参戦は初めてで、やや時計を要する香港のシャティン競馬場(走破時計は芝2000メートルを2分01秒2)で勝っているように、洋芝コースを苦にすることはないはずだ。

 気になるのは今回が海外遠征以来、約4か月ぶりの出走となることだろう。

 だが、毎年のように海外遠征を敢行し、経験値の高さにかけては比肩するものがない矢作芳人調教師のこと。目標はさらに先にあるだろうが、遠征のダメージリカバリー→仕上げの流れに関して不安材料にはなるまい。事実、19年にはリスグラシュー(牝、引退)を、宝塚記念→コックスプレート(豪・ムーニーバレー)→有馬記念と、日豪を行き来しながらG1レースを3連勝させている。

 もちろん個体差はあるだろうが、遠征明けの調整に関する”厩舎力”を信じて、筆者はラヴズオンリーユーを「本命」としたい。

 では、レースの「対抗」「穴」候補となる馬はどれか。注目しているのは2頭だ。

 1頭目は、5月の目黒記念(G2、東京・芝2500メートル)で重賞初制覇を成し遂げたウインキートス(牝4歳/美浦・宗像義忠厩舎)。出世に時間はかかったが、重賞挑戦2度目として一気にブレイクスルーした勢いは侮れない。

 札幌の戦績が2戦1勝、2着1回というコース適性の高さも魅力的で、先行・差しと脚質的な自在性の高さも評価した点。目黒記念の勝利が52キロという軽いハンデに恵まれたのは確かでも(今回は55キロ)、買う気をそそる要素は満載だ。
  もう1頭には、前走の七夕賞(G3、福島・芝2000メートル)で初の重賞タイトルを手に入れたトーラスジェミニ(牡5歳/美浦・小桧山悟厩舎)を挙げたい。

 先行力を活かしたしぶといレースぶりが特徴で、小回りのストロングポイントがより生きる札幌コースは絶好の舞台。ちなみに昨年は洋芝コースの函館に参戦し、巴賞(OP)を逃げ切りで優勝、函館記念(G3、芝2000メートル)でも4着に健闘している。

 すでに50勝を超え、夏競馬に入っても好調を持続している横山和生騎手が手綱をとるのも楽しみな要素だ。

 その他では、G1ホースのブラストワンピース(牡6歳/美浦・手塚貴久厩舎)、重賞3勝のステイフーリッシュ(牡6歳/栗東・矢作芳人厩舎)、鞍上にクリストフ・ルメール騎手を配してきたサトノセシル(牝5歳/美浦・堀宣行厩舎)、札幌コースで3戦2着1回、3着1回とコース適性が高いマイネルウィルトス(牡5歳/栗東・宮徹厩舎)までをマークしておきたい。

文●三好達彦

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