テニスの四大大会「全米オープン」(8月30日〜9月12日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート/グランドスラム)に出場する男子世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が大会開幕前の記者会見に出席し、優勝への意気込みを語った。

 今季のジョコビッチは、全豪オープン、全仏オープン、ウインブルドンで優勝。ところが、男子テニス史上初の『年間ゴールデンスラム』(1年で四大大会とオリンピックを制覇)へ大きな期待がかかっていた中、迎えた東京五輪ではシングルス準決勝でアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ/4位)に逆転で敗退。その後、パブロ・カレノブスタ(スペイン/12位)との3位決定戦でも敗れ、メダル獲得を逃した。

 だが、東京五輪で味わった苦い経験もいたってポジティブに捉えているようだ。「東京でメダルを獲得できなかったのは残念だったけど、オリンピックに参加した経験は何物にも代えがたいものだ。他の選手から多くのことを学び、大きな自信を得ることもできた」と世界王者らしい前向きな言葉を口にした。

 年間ゴールデンスラムの可能性は消滅したものの、依然としてジョコビッチには全米でロッド・レーバー氏以来男子テニスでは2人目となる『年間グランドスラム』(1年ですべての四大大会を制覇)の偉業達成がかかっている。

 これについて記者から問われると「もちろん、それ(年間グランドスラム)は僕のキャリアの中で最大の成果となるだろう。この大会(全米)は大好きだし、これまでも素晴らしいパフォーマンスをしてきた。やる気も十分だ。夢の実現に近づいていること、歴史的な機会に直面していること、そして自分の試合にまつわるすべてのプレッシャーや期待に対処しなければならないことを自覚している。僕はテニスが大好きで、この機会に歴史を作りたいと思っている」と抱負を語った。
  一方で、ジョコビッチは約15年にわたり共にテニス界を牽引してきたロジャー・フェデラー(スイス/9位)、ラファエル・ナダル(スペイン/5位)が全米の欠場を発表したことにも言及。「テニス界のレジェンドがケガでこの大会に出場できないことは残念だ」と2人を気遣う言葉を送った上で、「僕たちも歳をとったし、出場する大会を厳選しなければならない。痛みを克服することはスポーツの一部だけど、バランスを取らなければいけないね」とコメントした。

 なお、今大会に第1シードとして出場するジョコビッチは、1回戦で予選勝者と対戦する。テニス界における新たな歴史の1ページを刻むためにも、まずは幸先の良いスタートを切りたいところだろう。東京オリンピック以来の公式戦となるだけに、実戦感覚の点は懸念されるが、ジョコビッチらしい安定感のあるテニスを見せてもらいたい。

文●中村光佑

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