2020−21シーズンのNBAは、ミルウォーキー・バックスの優勝で幕を閉じた。球団史上50年ぶりのリーグ制覇を成し遂げたわけだが、その原動力となったのが、ファイナルMVPに輝いたヤニス・アデトクンボであることは間違いない。

 2013年のNBAドラフトで15位指名を受けてバックスに入団した際、ヤニスはそこまで注目されたプレーヤーではなかった。しかし毎年着実に成長を続け、キャリア4年目の2016−17シーズンにMIPに輝くと、その後は2度のシーズンMVPに5度のオールスター出場、5度のオールNBAチーム選出に4度のオールディフェンシブチーム選出、さらには最優秀守備選手賞の獲得など、数々の個人タイトルを受賞。そして今回の優勝により、名実ともにリーグの顔と呼べる存在にまで上り詰めたと言っていい。
  そんなヤニスの飛躍を後押ししたのが、2014年から3シーズン半にわたりバックスの指揮を執ったジェイソン・キッド(現ダラス・マーベリックス・ヘッドコーチ)の存在だ。当時のヤニスは現役時代のキッドを知らず、指導方針に不満を抱いたものの、歴代最高クラスの司令塔として君臨していたことを知り心酔。2017−18シーズン途中にキッドが解任された際には、フロントに抗議しようとしたほどだった。

 まさしく“師弟関係”にあると言っていい2人。そんななか、8月10日(日本時間11日)に発売された、スポーツライターのミリン・フェイダーによるヤニスの伝記『Giannis: The Improbable Rise of an NBA MVP』のなかで、キッドのコーチングスタイルに疑問を呈するような記述があることが判明。それによれば、バックスが勝てる試合を落とした後、キッドがクリスマスにもかかわらず選手たちに練習を強制したことが記されている。

 ただ、これはヤニス本人が書いたものではなく、あくまでスポーツライターの著書。それはキッドも当然わかっていて、記者に「あの本は読んだか?」と問われると、「ヤニスが書いたのか?」と聞き返し、こう続けた。
 「私はヤニスが執筆する日を待っているんだ。(本については)知っているけど、ヤニスが書いていないならまったく気にしないね。なんとも思わないよ」

 本については知っているものの、第三者が書いたものなら注目に値しないと話したキッド。さらに、2人の関係性についてはこう話した。
 「私とヤニスの関係性は、バスケットボールを超えたクールなものなんだ。私はヤニスに息子が誕生した後、数時間も彼と話し込んだんだよ。“マーベリック”、良い名前だ。ほら、みんなそのことを知らなかったよね。それくらい私たちは親しいということさ」

 2人の師弟関係について、知られざるエピソードを用いて言及したキッド。今季はバックスのエースとマーベリックスのヘッドコーチ、敵として相見える2人。どのような戦いを繰り広げるのか注目だ。

構成●ダンクシュート編集部

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