8月31日、プレミアリーグの夏の移籍市場に終了した。注目を集めたリバプールは最終日も、主将ジョーダン・ヘンダーソンと新たに4年契約を結んだ以外に大きな動きもなく、移籍の噂も囁かれていた南野拓実やディボック・オリギらFWのバックアッパーも残留が決まった。
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 リバプールでの3シーズン目を迎える南野。開幕前のプレシーズンマッチでは、ゴールを決めるなど出色のパフォーマンスを披露し、「今季の秘密兵器だ」と期待する現地メディアもあった。だが、いざリーグが開幕すると、ここまでモハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ、ディオゴ・ジョッタの「ビッグ4」の牙城を崩せず。3試合連続で90分間をベンチで過ごした。

 このビッグ4の破壊力は高い一方で、バックアップの層が薄いため、南野をある意味、貴重な人材だと捉える向きもある。また、年明けにはアフリカネーションズ・リーグでサラー、マネが長期離脱する可能性もあるため、いずれ確実に日本代表FWに出番は訪れると見られている。

 しかし、開幕3戦で1分のプレーも許されない状況は、選手にとって好ましいものではない。さらにコロナ禍でクラブの財政事情が厳しいなかでは、ビッグネームを獲得するための資金調達として、南野ら控え選手を売却すべきとの声も少なくなかった。
  ゆえに、土壇場での動きがある可能性も皆無ではなかったが、結局は残留。オリギはともかく、南野は残留が濃厚とされていたために驚きはないが、彼は今後も厳しいポジション争いに(少なくとも来年1月までは)身を投じるかたちとなった。

 今夏のリバプールは早々にRBライプツィヒのCBイブライマ・コナテを3600ユーロ(約54億円)で獲得。それ以降は余剰人員の整理に舵を切り、ハリー・ウィルソン(→フラム)、マルコ・グルイッチ(→ポルト)、タイウォ・アウォニィ(→ウニオン・ベルリン)、ジェルダン・シャキリ(→リヨン)、ジョルジニオ・ヴァイナルダム(→パリ・サンジェルマン※フリー)の放出で3800万ポンド(計57億円)の利益を得ている。

 ライバルのチェルシー、マンチェスター勢が例年通りの派手な補強を行なったのとは対照的な控えめな動きについて、英国のスポーツ専門チャンネル『Sky Sports』は、コナテの獲得を評価する一方で、前線の駒の少なさを指摘。シャキリの移籍でバックアッパーが南野とオリギだけになった点には、「南野は2020年1月の加入以降、リーグで1度しかゴールを決めておらず、オリギも昨季は無得点。こういった選手が、ピッチに立たざるを得ない状況は、チームにとって良い兆候ではない」と警鐘を鳴らした。 また同メディアは、アタッカーの獲得を進言したリバプールのOBで、現在はコメンテーターを務めるジェイミー・キャラガーのコメントも紹介した。

「チェルシーとマンチェスターのクラブが1億ポンドの選手を獲得し、ユナイテッドがクリスチアーノ・ロナウドを迎え入れたのを見れば、リバプールが移籍市場に参加していないことにファンが不満を抱くことは当然理解できる。リバプールは今、選手補強ではなく、所属する選手のサラリーに資金を費やしている」

 リバプールの専門メディア『LIVERPOOL.COM』もこの点に言及。フィルミーノが3節チェルシー戦で負傷したためのバックアッパー不足を「差し迫った問題」とし、南野については、こう論じた。
 「チェルシー戦にも出場しておらず、ユルゲン・クロップ監督から明確な信頼を得ているようには見えない」

 そして、英スポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』も「マンチェスター・Cがジャック・グリーリッシュを獲得した一方で、リバプールは南野やオリギをまだ残している」とネガティブに報道。一方でサポーターのクラブ所有会社「FSG(フェンウェイ・スポーツ・グループ)」への批判には、同局のホストであるサイモン・ジョーダン氏が「馬鹿げている」と、逆に苦言を呈した。

 こういった見方からも、南野がまだ絶対的な信頼を勝ち取っていないことは明らかだが、決して多くないであろうチャンスを活かし、ビッグ4に割って入れるか。今季の挑戦に注目したい。

構成●THE DIGEST編集部