昨季のヒューストン・ロケッツはワシントン・ウィザーズからジョン・ウォール、デトロイト・ピストンズからクリスチャン・ウッド、元オールスターセンターのデマーカス・カズンズの獲得に成功した。

 ただ、ゼネラルマネージャー(GM)のダリル・モーリー、ヘッドコーチ(HC)のマイク・ダントーニがチームを離れ、新GMにはラファエル・ストーン、新指揮官にスティーブン・サイラスが就任するなど、フロントやコーチ陣の変化も顕著だった。

 その人事に納得がいかなかったジェームズ・ハーデンはトレーニングキャンプへの合流が遅れ、今年1月にブルックリン・ネッツへ。3月下旬にはPJ・タッカーをミルウォーキー・バックスへ放出した。

 ウッドが平均21.0点、9.6リバウンド、1.2ブロック、ウォールが20.6点、6.9アシストを残すも、両選手はケガのため30試合以上を欠場。途中加入のケリー・オリニクやケビン・ポーターJr.が奮戦するも、2月〜3月に20連敗を喫するなど黒星先行となり、リーグワーストの17勝55敗(勝率23.6%)に終わった。

 そうしたなか、ドラフト外で加入したジャイショーン・タイトの活躍は嬉しいサプライズとなった。193㎝のフォワードはチーム最多の70試合に出場して平均11.3点、5.3リバウンド、2.5アシスト、1.2スティール、フィールドゴール50.6%をマーク。ロケッツの選手としては07−08シーズンのルイス・スコラ以来となる、オールルーキー1stチームに選出された。
  オハイオ州大で4年間プレーしたフォワードは、18年のドラフトから漏れ、19−20シーズンはオーストラリアのNBLに所属するシドニー・キングスでプレーしていた。

 今思えば、そこでプレーしたことがタイトにとってNBA入りへのターニングポイントとなった。当時そのチームを指揮していたのはウィル・ウィーバーで、彼は昨秋にオクラホマシティ・サンダーの新HC候補にも挙がっていた。

 その後ウィーバーはサイラスHCのコーチングスタッフへ就任し、タイトが昨年11月にロケッツと正式に契約を結んだことでNBLデュオがヒューストンの地で形成された。

 先日ロケッツの公式YouTubeチャンネルへ登場したタイトは当時をこう振り返る。

「あの時、ヒューストンが一番興味を示してくれたんだ。彼らは僕を欲しがっているように感じた。それがチャンスになっていったんだ。僕は彼らのプレースタイルにフィットすると思ったのさ」

「そこでウィルが(コーチング)スタッフに加わったから、喜びもひとしおだった。これで『やった。(僕のことを)知っている人とまた一緒にできるんだ』って感じだったよ」

 タイトは昨季、オールスターブレイク後に先発に定着。球宴前の平均27.5分、9.9点、5.3リバウンド、1.7アシストだったが、球宴後は同30.8分、12.8点、5.4リバウンド、3.4アシストと、チームに不可欠な選手となっていた。
  その要因はウィーバー・アシスタントコーチとのミーティングにあったという。

「オールスターブレイク後にコーチ・ウィルとシーズン前半戦を解析した。そこで僕らはもっと向上できることがあると話し、いくつかゴールを設定したんだ」

「(オールスター)ブレイクの期間中、僕はこれまでを振り返ってみて、自分が成長してきた過程を見ていた。そこでシドニーでプレーしていた時と比べて、(NBAの)最初の試合から成長し続けていると実感することができたよ」
  ウィーバー・コーチとの“二人三脚”で貴重な戦力となったタイト。しかし、チームは今年のドラフト1巡目でジェイレン・グリーン(2位)、アルペレン・シェングン(16位)、ウスマン・ガルーバ(23位)、ジョシュ・クリストファー(24位)の4人を指名。グリーンとシェングンは早速ローテーション入りできる即戦力として期待されている。

 2年目の今季は昨季以上にポジション争いが激しくなりそうだが、ハードワークを身上とするタイトには是非ともローテーションの座を死守してほしいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)