女子テニス世界ランク43位のシェルビー・ロジャース(アメリカ)が、SNS上での自身への誹謗中傷に対する懸念を訴えている。

 ロジャースは、現地9月6日に行なわれた全米オープン女子シングルス4回戦で、18歳のエマ・ラドゥカヌ(イギリス/150位)に2−6、1−6と完敗。これを受けて、彼女は自身に対して心ない言葉が多数寄せられる可能性を危惧。試合後の記者会見で「今日負けたことで900万人から死の脅迫メッセージが寄せられるだろう」とコメントした。

 さらに、「私のキャリアの現時点では、それ(誹謗中傷)に慣れていると言っても過言ではないけど、『ソーシャルメディアが存在しなければいいのに』と思うこともある。そのようなひどい言葉は本当に残念なことで、時には頭にくることもある。どんなスポーツにも付き物の残念な一面だ」と以前から抱えている苦悩を語った。

 だが、その一方でロジャースは「SNSはマーケティングの主要部分で、契約上、特定のことは投稿しないといけない。それは仕方のないこと」とも語り、ソーシャルメディアがスポーツと世界中のファンを結び付ける重要な役割を担っていると認識しているという。
  今大会で誹謗中傷問題に言及したのはロジャースだけではない。同郷で2017年の全米覇者である世界66位のスローン・スティーブンス(アメリカ)も3回戦でアンジェリーク・ケルバー(ドイツ/17位)に逆転で敗れた直後に、2000件を超える侮辱的なメッセージを受け取ったことを自身のインスタグラムのストーリーで告白。

 その中でスティーブンスは「お前を見つけ出して二度と歩けなくなるくらいに足を破壊してやる。今日はコートでの最後の瞬間を楽しめたか?」と、実際に送られてきたという脅迫メッセージを公開。「私だって人間なのよ。このようなメッセージを読むのはとてもつらいこと。こういう憎しみのある言葉にはエネルギーを吸い取られるし、やむことがない。こういうトピックが十分に議論されていないのが残念に思う」と怒りをあらわにしていた。

 ネット上で誹謗中傷を受ける選手が増加している状況を考慮し、WTAは公式声明で「ソーシャルメディアのプラットフォームと協力する形で、必要に応じてアカウントを停止し、場合によっては地元当局に通知する」と対応策を発表。

 また「WTAは数年前からこの誹謗中傷問題について選手の教育や相談に取り組んできた。なぜなら、影響を受ける選手の数は増加し続けており、これは私たちが非常に真剣に受け止めている重要なトピックだからだ」と報告した。

 SNSは人と容易につながれる一方で、悪意のある内容を匿名で投稿できるという負の側面もある。テニスに限らず、スポーツ界全体で誹謗中傷への対策を強化する必要があるだろう。

文●中村光佑

【PHOTO】ロジャース、ラドゥカヌら全米オープン2021で活躍する女子選手たち