ブルックリン・ネッツのカイリー・アービングは、現役屈指のポイントガードであると同時に、歯に衣着せぬ物言いや奔放な行動でたびたび波紋を呼ぶ“問題児”としても知られる。そして今回は、自身がトレードに出された場合は、現役を引退するという発言で周囲を驚かせている。

 2011年のドラフト全体1位でNBA入りしたアービングは、クリーブランド・キャバリアーズで6年、ボストン・セルティックスで2年プレー。19年7月に4年総額1億3650万ドル(約150億円)でネッツに加入すると、所属2年目の昨季は、右足アキレス腱断裂から復活したケビン・デュラント、シーズン途中にトレードで電撃加入したジェームズ・ハーデンと“ビッグ3”を結成。リーグ9位の平均26.9点、フィールドゴール成功率50%、3ポイント成功率40%、フリースロー成功率90%以上の成績でイースタン・カンファレンスの第2シード(48勝24敗)獲得に貢献した。

 だがミルウォーキー・バックスとのプレーオフ・カンファレンス準決勝で右足首を捻挫し、最後の3試合を欠場。チームも第7戦にもつれる激闘の末に敗れ、来たる新シーズンはリベンジを期す1年となる。
  ネッツは今年8月、デュラントと4年総額1億9800万ドル(約218億円)のMAX額で延長契約を締結。ショーン・マークス・ゼネラルマネージャーは、アービングとハーデンともトレーニングキャンプ開始前に契約延長で合意したい意向を示していた。

 そんななか、米放送局『Fox Sports』で番組ホストを務めるニック・ライト氏は、アービングがある状況に直面した場合、NBAの舞台から退く可能性があると伝えた。

「ネッツにとって、意味を成す可能性を秘めるカイリーのトレードがないわけじゃない。しかし、カイリーの代理人は、ネッツが彼をトレードする場合、カイリーは『NBAから引退する』と知らせた」

 2018年に、「俺は30代前半から中盤までプレーしたい」と発言していたアービングだけに、29歳と脂の乗った全盛期に表舞台から退くことはにわかに信じがたい。一方で、会見のボイコットや、意味深なSNS投稿など、周囲には理解できない行動が多いのも事実だ。

 ネッツの本も出版しているスポーツジャーナリストのマット・サリバン氏が、ポッドキャスト『Celtics Lab』で、「ネッツがコントロールする以上に、彼がチームをコントロールしている」と語っている通り、トレード拒否を示唆する“引退宣言”も全否定はできないだろう。
  一方、米スポーツネットワーク『ESPN』のブライアン・ウィンドホースト記者は同局の番組『The Jump』で、今季終了後にフリーエージェントになれる権利を保有するアービングについて、「フルマックスに近い額は得られるだろうが、満額は手にできない」と予想している。
 「カワイ・レナードがクリッパーズと結んだ契約(4年総額1億7630万ドル=約194億円)に近い額が保証されている。ただ、カイリーが34、35、36歳まで自分をひとつの場所にとどめておくとも思えない。彼にとってバスケットボールは常にトッププライオリティじゃない。そのなかで、ネッツが引き留めたい場合は、フルマックスよりは下がる条件になるだろう」

 はたして、アービングはネッツに骨をうずめるのか。自ら移籍を決断、あるいはトレードを受け入れずにNBAの舞台から身を引くのか。今後の動向から目が離せない。

構成●ダンクシュート編集部