F1第15戦ロシア・グランプリの決勝レースでは、ハースのニキータ・マゼピンがスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅に対して危険な幅寄せをしたことで、スチュワードから警告を受けている。

 ターン12で後方の角田がDRSを使ってオーバーテイクしようとした際、マゼピンは頻繁に走行ラインを変えて妨害。前を塞がれた角田は急ブレーキをかけて何とか難を逃れたものの、無線でFワードをまじえて不満をぶちまけ、アルファタウリはスチュワードにこの件を報告した。

 これに対し、マゼピンは「警告を受けた場面のことは、よく分からない。僕は一度コースを変えたけど、あそこはストレートであって、ストレートではないようなものだから……。もう一度確認してから話したい」と言葉を濁している(専門メディア『THE RACE』より)。
  しかし、レースディレクターのマイケル・マシは、これが危険な行為であると断言。「角田がDRSを使って抜こうとしたが、ニキータは明らかに遅いタイミングで走行ラインを変えた。こうした動きが危険な状況を生み出してしまうことを、我々は以前から指摘し、警告していた。だから、マゼピンは(スポーツマンシップに反する行為の際に振られる)黒白旗の対象となった。彼の行為は、容認できるようなものではなかった」と語った。

 もっとも、レース中はペナルティーが下されることはなかったが、今GPではウィリアムズのニコラス・ラティフィもマゼピンの危険な走行の被害者となっており、「ニキータはいつも、ギリギリになってラインを変えてくる。それが彼のスタイルなんだ」と、半ば呆れている……。

 マゼピンといえば、バーレーンGPでのF1デビュー以降、幾度となく他車の走行の妨害で物議を醸しており、最近ではチームメイトのミック・シューマッハーとも険悪な関係にあると伝えられているが、マシはこのロシア人ルーキーに対して、「ドライバーにはそれぞれ、特定のドライビングスタイルがある。20人いれば、それぞれ微妙にやり方は変わるはずである」として、現時点では個別の聞き取り調査などを行なう予定はないという(過去に行なわれたことは認めている)。
  母国レースで、スタート時には一時的に順位を上げたマゼピン。レースを重ねるごとに、進歩も見せ、最近ではチームメイトを上回るパフォーマンスを発揮することもあるが、ハースのギュンター・シュタイナー代表は、このロシア人ドライバーが今後、ペナルティーによる出場停止処分を受ける可能性も考慮して、ベテランのリザーブドライバーを新たに雇い入れるプランを立てたと、『Diariomotor』など複数のメディアが報じている。
  これには、来季以降、マシンの競争力が高まることが望める一方で、F1の経験が乏しいドライバー同士ということで、マシン開発に不安が生じるという問題をカバーする意味もあるという。シュタイナー代表は、まずミックとマゼピンによって、どれだけ改善されるか様子を見るとしているが、「我々には見本にすべきものがない。それは経験豊富なドライバーがもたらすものだ。現在、我々はどのように作業を進めるべきか、正確に分かっていない」とも語っており、経験の重要性を強調する。

 チーム力を上げるためには適当な手段と考えられるが、マシン開発のために「第3のドライバー」を走行させることで、2人の若いドライバーからただでさえ少ないドライビングの機会を奪うという“矛盾”を生み出す危険性もあるとの指摘もあり、このアメリカ国籍のチームがどのような解決策を見出すかが注目される。

構成●THE DIGEST編集部

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