サウジアラビア戦、オーストラリア戦というカタール・ワールドカップアジア最終予選の重要な連戦を迎える日本代表に招集された南野拓実。先月の代表戦では左大腿部の違和感によって途中離脱を余儀なくされただけに、今回はより気合いが入っていることだろう。

 リバプールでは、プレシーズンで結果を残したものの、シーズン開幕後は長くベンチを温め続け、さらに前述の負傷がその期間を長くすることとなってしまったが、9月21日に行なわれたカラバオ・カップ3回戦ノリッジ戦でスタメンとしてようやく初出場を果たすと、いきなりの2ゴールとMVP級の活躍。その後のプレーは29日のチャンピオンズ・リーグ・ポルト戦の交代出場のみに止まるも、ここでも精力的な動きで及第点以上の評価を与えられており、良い状態で重要な代表戦に臨めそうだ。

 リバプールの地元紙『Liverpool Echo』は、「レッズ」での現在の彼について「これまでは瞬間的な輝きしか放てずにいたが、南野は今、かつてチームメイトたちがレッドブル・ザルツブルクの彼を獲得するべきだと考えたことが正しかったと証明し始めている」とポジティブに評しており、また彼が加入するにあたっていかに高い期待を寄せられていたかを、改めて紹介している。 
  周知の通り、リバプールがこの日本人アタッカーの獲得を決めた決定的な一戦は、2019年10月2日の本拠地アンフィールドでのザルツブルク戦だ。序盤から互いに攻め合ったこの一戦、ホームチームは36分までに3点を先取して楽勝かと思われたが、ここからオーストリアのチームは猛反撃。その中で南野は攻撃の核として、2点目を鮮やかなダイレクトボレーで決め、さらにアーリング・ハーランドの同点ゴールを右からのクロスでお膳立てしてみせた(試合はリバプールが4-3で勝利)。

 相手のライン間でうまくボールを運んだ他、好位置で29回ボールを受けて25回のパスを成功させ、左右での惜しいシュートでもホームチームに脅威を与えた南野はまた、守備ではノック・ムウェプ(現ブライトン)に次ぐ34回のプレッシング、そしてファイナルサードでも11回のプレッシングを実践するなど、攻守で効果的なプレーを披露した。

 抜群の存在感を示した日本人選手に対し、リバプールの選手たちは彼の獲得をチームに強く求めたという。しかし、クラブは選手よりもずっと以前から南野に注目していたと同メディアは明かした。それは彼がティーンエージャーだった2013年からだったという。
  加入後は、すぐにコロナ禍に見舞われてチームに慣れるのに時間がかかるなどの不運もあり、ここまでのプレー時間の総計は859分(9試合半に相当)に止まるも、その間での6ゴール2アシストという数字は決して悪いものではないと主張する同メディアはまた、90分でのプレッシングの平均回数はチームで最多だったことも紹介した。

 リバプールといえば、モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノが今季も好調で結果を出し続けており、ゆえに南野の出番も限られることとなっているわけだが、「ビッグ4」の一角を占めているディオゴ・ジョッタに対しては、同メディアが「南野とディボック・オリギがプレッシャーを高めており、ポルトガル代表FWも気が抜けないでいる」として、これまでとは状況が異なることを示している。
  他のメディアも、南野を評価しており、スポーツ専門メディア『SPORTbible』は「今、大阪・泉佐野出身の青年にとって、物事ははるかにバラ色に見えているだろう。彼は2ゴールを挙げたノリッジ戦で、どちらのサイドでもプレーできることを証明し、ビッグ4に取って代われる存在として、地位を確立した」、リバプール専門メディア『ANFIELD INDEX』は「南野は得点、チャンスメイク、スペースの使い方に長け、さらにもっと多くのことができるかもしれない贅沢な選手」と賛辞を贈っている。

 ただ、後者は南野のポジション適正について中盤が最適と見ており、「リバプールが起用法を明確にしない限り、彼は決まった役割を持たず、“カメオ出演”で時折見る者に感銘を与えるだけの存在になってしまう」とも指摘する。

 いずれにせよ、一時の「戦力外」「売却確定」といった見方からは一転、現地メディアからはリバプールの有用な戦力として捉えられるようになった南野。この先、「レッズ」においてどのようなキャリアが待ち受けているのかが非常に興味深い。

構成●THE DIGEST編集部