F1第16戦のトルコ・グランプリで、スクーデリア・アルファタウリの角田裕毅は決勝レースで9番手からスタートしたが、単独スピンで順位を落とし、14位でのフィニッシュとなった。

 目標のポイント獲得はならず、「ガッカリしています」と失望を隠さなかった21歳のルーキーだが、フリー走行では3回目に8番手となる好タイムを出し、予選では7戦ぶりのQ3進出。そして決勝ではスタートから間もなく、予選首位ながらパワーユニット交換によって10グリッド降格となったルイス・ハミルトン(メルセデス)に迫られるも、巧みなライン取りで8周にわたってフェアに抑え続け、さらにカルロス・サインツ(フェラーリ)に対しても好ディフェンスを披露するなど、多くの見せ場を作ってみせた。

 これに対し、各国の専門メディアは、結果を出せなかったということでかなり厳しい採点を付けたが、寸評においては上記の点においてポジティブな記述が多く見られた。そして、ハミルトンとのバトル、それに対する角田の「マックス(・フェルスタッペン/レッドブル)にタイトルを獲得してほしくて、できるだけ長くルイスを後ろに置いておこうとした。彼を20周は抑え込みたかった。8周では十分ではなかった」とのコメントを、多くのメディアが取り上げている。
  専門サイトの『F1i.com』は「マックスの“味方”である角田は、ハミルトンを遅らせるために特別な努力をした」と題した記事で、「日本人ドライバーは8周にわたって強力なディフェンスを見せた。これに対し、王者はターン3でアウトから大胆な仕掛けを見せてパスした」と報じた。

 オランダの『F1MAXIMAAL.NL』は、角田がハミルトンを抑え込むというプランは、レッドブルのヘルムート・マルコ顧問が立てたものであるとして、レース後の彼の「ユウキはよくやった!」「彼は入賞圏内をキープすることができなかったが、レッドブル・ファミリーの中では明らかにポイントを獲得した」との賛辞を紹介している。
  また、かつてミナルディ、レッドブルでF1に参戦したロバート・ドーンボスもこの記事の中で、「トルコGPにおいて、ツノダはレッドブルに多くの友人を作り出した」とコメント。この守備的な仕事がレッドブルにとっての良い結末と結果に繋がったとして、「ツノダはハミルトンを抑え込むために、やれることを全てやった。とても良い仕事だった」と、こちらもルーキーを称賛した。

 一方、英国の『THE RACE』は、角田との接近戦についてハミルトンが「うまくバランスを取りながら走行した。コース上のドライバーがそれぞれ戦っているものが違う中で、十分なスペースをとる必要がある。敬意を持って臨み、トラブルは避けようと努めた」と語ったことを紹介している。

 このバトルにおける、角田の優秀さを示すエピソードとして、ハミルトンがこの日本人を8周目でようやく抜いた後、その前を走っていたピエール・ガスリー、セバスティアン・ヴェッテル、ランス・ストロール、ランド・ノリスをあっさりパスしたことが挙げられるが、ハミルトンを簡単に先行させたストロールは、「ルイスはとても速かった。僕は防御することで無駄な時間を費やしたくはなかった」と語っている。
  実際、角田はこの最初の8周によってタイヤを傷めて後のレースを厳しいものとしてしまっており(これでミラーも汚れたことが、後のスピンの遠因ともなっている)、まさにこれこそ「自己犠牲」であり、それはハミルトンとのバトルを避けた他のドライバーにはないものだという。

 しかし、同メディアは、アルファタウリの車のポテンシャルを考えれば、角田がこれで十分な働きを果たしたとは見ておらず、チャンピオンシップ5位争いのライバルであるアルピーヌに肉迫するチャンスを逃したと厳しく記述。レッドブルの援護だけでなく、アルファタウリへのポイントでの貢献も今後は求められると、改めて指摘している。

構成●THE DIGEST編集部