数多の猛者たちが激闘を繰り広げてきたボクシング史のなかでも、屈指といえる衝撃的な大戦だった。去る10月9日、アメリカのラスベガスで開催されたタイソン・フューリー(イギリス)とデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)によるボクシングのWBC世界ヘビー級タイトルマッチだ。
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 昨年2月以来、通算3度目の直接対決となった両雄は、序盤から激しい攻防を展開。ラスベガスのみならず、世界中のファンも熱狂させた一戦は、11回にロープ際でたたみかけ、最後に渾身の右フックを浴びせたフューリーが劇的な勝利を飾った。

 試合後、「世界最強は俺だ」と勝ち誇った王者。かたや敗者となって「何が起こったのかわかってない」と語ったワイルダーは病院に直行。右拳の骨折が判明し、全治6か月と見られるダメージを負ったのだった。

 1年前の直接対決でも敗れていたワイルダーは2連敗。そのショックさは計り知れない。ゆえに一部では心身的なダメージを理由に引退するのではないかとも囁かれている。しかし、35歳の現状について、「今のところ健康だ」と話す共同マネージャーのシェリー・フィンケル氏は、米スポーツ専門局『ESPN』でこう語った。

「ワイルダーは以前のように元気だ。手の回復具合は経過を見なければならないが、少なくとも来年の春か夏には次の戦いをしているはずだ」
  巷の噂を真っ向から否定したフィンケル氏は、間近でワイルダーを見ていたからこそ感じる“敗因”についても論じている。

「彼は途中からずっと手に痛みを感じていたし、3回をすぎた時から耳の裏から血を流し始めていた。あれが致命的なダメージになってしまった。あのあたりから彼の平衡感覚は崩れ、普通の状態ではなくなっていたんだ。

 彼は本当に一所懸命に努力を重ねてきた。これはフューリーを馬鹿にするつもりは全くないんだが、手の怪我と平衡感覚を乱したことで、全くと言っていいほどまともに戦えなくなっていた」

 苦戦の続くワイルダーは、この先どのようなキャリアを歩むのか。フィンケル氏は「負けはしたが多くの尊敬は集めた。ここで辞めるつもりはない」と語っているが、はたして――。

構成●THE DIGEST編集部