今季よりF1デビューを飾ったスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅。デビュー戦となったバーレーン・グランプリでは、予選Q1で2番手につけ、決勝では歴代王者相手に次々にオーバーテイクを見せて9位入賞を果たすなど、いきなり主役に躍り出たが、続くエミリア・ロマーニャGPではフリー走行、予選、決勝と無理な仕掛けでコースアウトしてチャンスを潰し、自信を喪失(本人談)すると、そこからは浮き沈みのキャリアが続いている。

 その能力の高さを時折披露しているものの、ネガティブな評価が先行する最大の理由は、チームメイトであるピエール・ガスリーとの大きな差だろう。ポイント獲得数だけで比較しても、角田の18に対してガスリーは74。キャリア5年目に突入したドライバーとの比較はフェアではないとも言えるが、角田は開幕前の今季を「チームメイトを負かすシーズンにしたい」と目標を語り、彼のF2時代の監督は「欧州ラウンドに入る頃にはガスリーに肩を並べるだろう」と予測していたことを考えると、現実はかなり厳しかったということだろう。

 これについて、英国のモータースポーツ専門メディア『THE RACE』は「ガスリーは2019年にマックス・フェルスタッペンにされたことを、今、角田に対して行なっている」と題した記事の中で、2年前のレッドブルにおけるドライバー間の状況の違いが、現在のアルファタウリにも表われているという。
  同メディアはまず、ドライコンディションの予選におけるガスリーと角田の平均タイム差が0.57%(仮にガスリーのラップタイムが1分30秒の場合、角田は0.513秒遅れ)、そして角田の獲得ポイントはガスリーの24%と、かなりの差があることを強調。ちなみに2年前のガスリーはフェルスタッペンに対し、平均タイム差では0.456%遅く、獲得ポイントは35%であり、こちらもやはり大きな差があった。

 この2つのドライバー間の差に共通するのは、「片方のドライバーが最大限にポテンシャルを引き出せる車に、もう片方のドライバーが適応できないということ」だとのことで、直近のトルコGPで角田が唯一ソフトタイヤを使用してQ3に進出するも、車のフィーリングや自身のドライビングに不満を漏らしたのに対し、インターミディエイトで好タイムを出したガスリーは「セッティングに多くの変更を加えたことで、車がはるかに生き生きとしていた」と真逆の感想を述べたことを、象徴的な事象として挙げている。
  ガスリーはオーバーステアの状態を好み、ターンイン時に一気にリアを回転させてコントロールし、コーナーの中で早めに加速できているのに対し、角田は前述のイモラでのレース以降はリアを安定させることを望み、加速についても慎重になっている。彼がたびたび、車のグリップ不足を訴えるにもかかわらず、一方でガスリーが好タイムを出し続けているのは、この違いにあるのだという。

 同じセットアップで片方のドライバーだけが満足する状況は、2年前のレッドブルも同じということだが、ともに車の好みが似ていながらも、フェルスタッペンが様々な特性の車を巧みにコントロールする驚異的な能力を備えていることで、セットアップが安定しなかった当時のレッドブルの車を乗りこなせたのに対し、ガスリーは終始これに苦しむこととなった。
  角田はかつてガスリーが味わった苦しみを今、経験しているが、それでもここ数戦では「可能性を発揮するための最大の鍵」である自信を取り戻しつつあると語っている。そして同メディアは、「ツノダは、2019年のガスリーにはなかったものを持っている。それは、力強いパフォーマンスを発揮しているチームメイトと対抗するための足場を築く、12戦以上のレース経験だ」と記述。ガスリーは2年前、12戦でレッドブルのシートを奪われた……。

「今季中に完全にデビュー時のような自信を取り戻せば、来季は最初から高い評価を得られるドライバーになれるだろう」とのポジティブな展望で、記事は締められている。

 アルファタウリが公開している様々な動画では、兄弟のように仲の良いところを見せている日仏のドライバーコンビ。チームとしては2人が近い位置(もちろん可能な限り前のポジションで)で切磋琢磨することを望んでいるのは間違いないが、果たして残りのシーズン、そして来季、これまでとは異なる彼らの関係が見られるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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