来年1月に開催されるテニス四大大会のひとつ全豪オープン。会場のあるメルボルンのビクトリア州では当初、「新型コロナウイルスのワクチン接種を済ませた者だけに入国を許可する」としていたが、ここにき「ワクチン未接種者でも隔離期間を経れば大会出場可能」とする内部文書が漏洩するなど情報が錯そうしている。

 ただ、いずれにしてもワクチンを接種しているほうが全豪オープンで優遇されることは確かなようで、他競技と比べてワクチン接種率が低いとされるテニス選手も全豪参戦を見据えて動き出している。

 その一人が昨年の全米オープン覇者で世界9位のドミニク・ティーム(オーストリア)である。

「僕はノババックス社のワクチンを待っているところ。なぜなら主治医から同社のワクチンが良いだろうと言われているから」と自国メディアに現状を明かすティームは、「11月の終わりまでには接種をすませようと考えている。希望するワクチンが入手できなければ他社のワクチンでも接種するつもりだ」と語った。

 今年6月の右手首負傷によって8月には今季終了を発表していたティームだが、10月に入って本格的な練習を再開。その視線の先には、来年1月の全豪が復活ロードのスタート地点と位置づけられている。それだけにワクチン接種に関してはあまり積極的でなかったものの、ここにきて年内の駆け込み接種を決断したとみられる。
  ただ一方で「ワクチンを接種するかは個人の選択で決めるべきだ」と主張し、「全豪に出るかは分からない」と考えるノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界1位)のような選手がいるのも事実。「ワクチン接種の有無により人々の間に不和が生じることに失望しているし、それが差別につながるとしたらひどいことだ」と全豪3連覇中の王者は眉をひそめる。

 シーズン最初のメジャー大会出場を視野にワクチンを接種すべきか、あるいは自身の考えを曲げずにワクチン非接種を貫くのか。10月上旬に開催された「BNPパリバ・オープン」(アメリカ・インディアンウェルズ)では接種の有無による出場制限はなかったが、現在オーストリアのウィーンで開催されている「エルステ・バンク・オープン」(10月25日〜31日/ATP500)では、予防接種を受けていない選手の参戦は禁止されている。

 大会が開催される国や地域によって出場条件が変わるのは仕方ないが、ワクチン接種を悩んでいる選手にとっては頭の痛い問題である。

構成●スマッシュ編集部

【PHOTO】強じんな下半身でパワーを生み出す、D・ティームのサービス連続写真