F1第17戦のアメリカ・グランプリで9位入賞を飾ったスクーデリア・アルファタウリの角田裕毅。6戦ぶりのポイント獲得という結果もさることながら、そのパフォーマンスも各方面から高く評価されている。

 フリー走行ではペース不足に苦労していたのが、チームとともに車を改善して予選では見事にQ3進出を果たし、不利といわれたソフトタイヤでの決勝スタートも、タイヤの特性を活かして順位を上げ、その後もランス・ストロールに対する鋭いオーバーテイクやキミ・ライコネン、フェルナンド・アロンソら歴代王者とのバトルなど、各セッションで多くの見せ場を作ってみせた。

 なかでも称賛されたのが、メルセデスのヴァルテリ・ボッタスをスタートでかわし、ピットインするまで抑え込んだことだ。的確な走行ラインを辿りながら、フェアにチャンピオンチームのドライバーの追い越しを阻止したルーキーは、その2週間前のトルコGPでは同じメルセデスの絶対王者ルイス・ハミルトンに対しても、8周にわたって絶妙なディフェンスを披露している。
  自動車専門誌『CAR AND DRIVER』のスペイン版サイトは、この2戦連続でのパフォーマンスに注目し、「メルセデスの主な頭痛の種、ツノダ」と題した記事で「予選Q3に2戦連続進出した若いアルファタウリのドライバーにより、メルセデスのドライバーたちは貴重なトラックタイムを失うことになった」と報じた。

「トルコGPでの日本人ドライバーは、7度の世界王者ハミルトンを楽にさせることはなかった。そして2週間後、非常に戦闘的なツノダは、(テキサス州)オースティンで再びF1を支配しているチームをトラブルに巻き込み、今度はボッタスに仕掛けた」

 この2つの「逸話的な決闘」の後、メルセデスが自身に不満を抱いていると疑った角田が、「彼らは怒っているに違いないと思いますが、僕は普通に正しいと思うことをしただけです」と語ったこと、また序盤のバトルでタイヤにダメージを負いながらも「それでも楽しかったです」と満足気だったことを紹介している。
  同メディアは「チームメイトのピエール・ガスリーが14回、予選Q3に進出しているのに対し、ツノダのそれは5回だが、そのうちの2回のレースで、F1最強のチームと戦えることを示した。次のグランプリでも、コース上でより多くのスペクタクルを彼が提供できるかどうかを確認したい」と綴り、21歳の日本人に期待を寄せた。

 またF1公式サイトも、「大評判の日本人レーサーの台頭」と題した記事で、このルーキーを特集。「ツノダはスターになる可能性を秘めており、それをレッドブル、ホンダ、アルファタウリは信じている」と綴り、F4からの彼の歩みを振り返りながら、その間に関わった多くのキーパーソンのコメントを引用して、角田の非凡さを紹介している。

 ホンダの山本雅史マネージングディレクター、レッドブル・グループのヘルムート・マルコ顧問、イェンツァー・モータースポーツ(角田のF3での所属チーム)のアンドレアス・イェンツァー、カーリン・モータースポーツ(F2での所属チーム)のトレバー・カーリン、そしてアルファタウリのフランツ・トスト代表が、いずれも角田のドライビングを見て、すぐに強い感銘を受け、「他に類を見ないドライバー」との印象を持ったという。
  同メディアはまた、角田が間違いを恐れず、常に速くありたいと考えているが、F1でミスを犯したり、スピンしたり、バリアに突っ込んだりするたびに、世界の目が彼に向けられ、プレッシャーが強まっていると記述。しかし、それでも彼はラップ数を重ねるごとに、前進するための方法を見つけているのだという。

 また、アルファタウリにとっても、角田との仕事は大きな喜びであるとし、ガスリーとは素晴らしい関係を構築していると紹介、さらに「今やマルコ顧問とトスト代表も、ツノダのファンである」と綴っている。そして、彼の適応のパターンが形成され、トルコ、米国GPがキャリアのターニングポイントとなった可能性も示唆。最後に「レッドブル、ホンダ、日本からの大きな期待に応えること。何より重要なのは、与えられた機会を最大限活用し、安定して目標を達成すること」を課題に挙げ、今後に期待を寄せた。

 つい最近まで世界中から厳しい目が向けられ、来季に向けてシートが危ぶまれたりもしていた角田に対し、称賛や期待が寄せられている。まさに、F1が結果の世界であることの証明とも言えるが、チーム(グループ)の全面的なサポートを受けながら、焦らず着実なアプローチで成長を遂げるスタイルで、角田がこの先、どれほどの高みにまで到達できるのか、非常に楽しみである。

構成●THE DIGEST編集部