今夏の移籍市場最終日にイタリアのボローニャからイングランドのアーセナルに加入した冨安健洋。開幕3連敗でのプレミアリーグ単独最下位という悲惨な状況にあったチームにおいて、4節ノリッジ戦で新天地デビューを飾ると、ここまでリーグ8戦連続で先発出場を飾り、無敗に貢献に貢献している。

 自身が加入してから、「ガナーズ」は6勝2分けという好成績を挙げ、順位も最下位から5位という急浮上ぶり。その中で、不動の右SBとして守備では圧倒的な強さと安定感で相手攻撃陣の前に立ちはだかり、的確な攻撃参加でもチームに貢献してきた日本代表DFは、試合ごとに評価を高めてきた。

 8試合中5試合で無失点という堅守を支えている彼については、多くの現地メディアが賛辞を贈っているが、日刊紙『Daily Mirror』は「アーセナルの運命を好転させた選手トップ5」と題した記事において、エミール・スミス・ロウ、アーロン・ラムズデイル、ガブリエウ・マガリャンイス、ベン・ホワイトとともに、冨安を選出。その理由については、以下のように綴られている。
 「トミヤスはプレミアリーグに容易く適応した。彼は『自分はトッテナムに行くものだと思っていましたが、移籍市場の最終日に破談となり、アーセナルからの話が来てすぐに加入が決まりました』と語っている。この瞬間がどれほど重要なものとなるかは、まだ確認の途中だが、彼がすぐにインパクトを与えたのは明らかだ。ミケル・アルテタ監督は、この日本代表選手の多様性(守備的ポジションならどこでもプレー可能)に惹かれたが、ここまでは全て右SBを務めている」

 この記事で名前が挙がったスミス・ロウは、先週末に行なわれた11節ワトフォード戦で唯一のゴールを挙げて最高殊勲者となったが、この21歳のMFは、クリーンシートを達成した冨安、ホワイト、ガブリエウ、ヌーノ・タバレスの最終ラインを「この大きな功績は4人のものだ。彼らは練習でも全力でプレーし、それは試合でも変わらない。無失点に抑えられたことは、本当に嬉しい」と称賛している(スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』より)。
  また、アーセナルの専門メディア『PAIN IN THE ARSENAL』は「ガナーズは守備の問題に取り組んだことで、状況は好転し始めた」と指摘。現在の最終ラインの顔ぶれは、2003-04シーズンに無敗優勝を飾った際のアシュリー・コール、ソル・キャンベル、コロ・トゥーレ、ローレン以来、「敵のゴールを許さない」という強い自信に満ちていると評し、冨安に対しては「移籍市場最終日に到着し、すぐに信頼できるスターターとなった」と言及した。
  世界最高峰リーグといわれるプレミアリーグで、絶大な存在感を示している日本代表DFについては、11月11日にカタール・ワールドカップ・アジア最終予選で対戦するベトナムのメディアも注目。ニュースサイト『24h.com』は冨安の活躍ぶりをデータもまじえて紹介するとともに、自国のFW選手グエン・コン・フォン、グエン・ティエン・リンとの対峙を「アーセナルで飛躍する日本のスターに対しては、チャンスはほとんどない。ゴールを決めることは2人にとっては大きな挑戦だ」と悲観的に見ている。

 ワトフォード戦後には、左膝をアイシングしているところが目撃されたことで、怪我の可能性も囁かれた冨安。すでにベトナム入国を果たして日本代表に合流している23歳は、万全のコンディションで重要な一戦に臨むことができるか。そしてアーセナルでは今後もその価値を高め続けられるかも、要注目である。

構成●THE DIGEST編集部