F1第20戦のカタール・グランプリ決勝、スクーデリア・アルファタウリはピエール・ガスリー(11位)、角田裕毅(13位)の両ドライバーが5戦ぶりのノーポイントに終わった。

 スターティンググリッドは角田が8番手、ガスリーにいたってはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、ヴァルテリ・ボッタス(メルセデス)がペナルティーによるグリッド降格を科せられたことでフロントロー(2番手)を手に入れたことで、ダブルポイントの期待も高まったが(もちろんガスリーは表彰台も)、予選までのパフォーマンスとは打って変わってのペースの悪さに両者ともに苦しみ、みるみる順位を下げていった。

 一方、アルピーヌは、予選こそフェルナンド・アロンソ、エステバン・オコンの両ドライバーがアルファタウリの後塵を拝したものの、後者はスタート時に角田の前に出て、前者も安定したドライビングで上位を維持。終わってみれば、アロンソがフェラーリ時代の2014年以来となる表彰台(3位)に立ち、オコンも5位入賞を飾ったことで、2人合わせて25ポイントを獲得した。
  メキシコGPでガスリーが4位入賞を果たしてアルファタウリがポイントでアルピーヌに追いついてから、続くサンパウロGPでも両チームが6ポイント追加で並び、カタールでは予選グリッドからアルファタウリがアルピーヌを追い抜くチャンスが到来したと見られていたが、終わってみれば真逆の結果となり、イタリア・ファエンツァのチームは非常に厳しい状況に追い詰められた。

 角田は「アルピーヌはとても力強いレースをしていました」、ガスリーは「我々はアルピーヌの2台よりも前でスタートしたのに、彼らは3位と5位でフィニッシュ。とても速くて、我々にできることは何もなかった」とともに白旗を上げ、テクニカルディレクターのジョディ・エギントンは「我々が2台ともペースの悪さとタイヤのデグラデーションに苦労したのに対し、アルピーヌはうまくソフトタイヤを機能させたことで、厳しい戦いの中で違いを生み出した」と、敗因を分析している。
  一方、アルピーヌ側は喜びに溢れ、チームはSNSなどで「チーム全体の勝利」を強調。ローラン・ロッシCEOは「全ての要素が適切に機能したことによる当然の結果だ。フェルナンドを祝福したい。彼はそれに値する。また、5位でフィニッシュしたエステバンの素晴らしいドライビングも忘れてはならない。彼は素晴らしいスタートも見せてくれた」と勝因を語るとともに、見事なレースを披露したドライバーを称賛・祝福した。

 残り2レースでの25ポイント差についたことで、両チームが目標としてきたコンストラクターズ・ランキング5位をめぐる争いに決着がついたと見る向きも多く、モータースポーツ専門メディア『THE RACE』も「アルファタウリの5位のチャンスは、おそらく一挙に“蒸発”した」と綴っている。一方、『MOTORSPORT-TOTAL.COM』は「5位争いは明らかにアルピーヌにアドバンテージがあるが、アルファタウリがこれを逆転するには、『残り2レースで強さを取り戻す必要がある』」と、角田のコメントを引用した。
  ガスリーは「アルピーヌは我々より良い仕事を果たした。おめでとうと言わなければならない」と語る一方で、「我々は最後の2レースで可能な限りのことをするよう努める」と全力を尽くすことを宣言。エギントンTDも「まだ2つレースが残っており、チャレンジングではあるが、我々の目標は変わらない。できるだけ多くのポイントを獲得するために、懸命に取り組みたい」と語っている。

 これに対し、アルピーヌのロッシCEOは「25ポイントのリードは大きなアドバンテージではあるが、先走りをするつもりはない。まだ2レース残っているし、F1では何でも起こり得ることを我々はこれまで見てきた。これまでの安定したパフォーマンスをさらに強化し、最終的に5位の座を獲得することを狙っている」と、一切の慢心もなく、ライバルへの警戒も解いていないようだ。

 アルファタウリにとっては予想外の厳しい状況となったが、ジェッダとアブダビでのレースでいかなるパフォーマンスと結果を残すかは、今季のチャンピオンシップの行方だけでなく、来季にも影響するだろう。とりわけ、ルーキーの角田にはより大きな自信を得るチャンスであり、最後の正念場となるはずだ。

構成●THE DIGEST編集部