現地時間11月20日に行なわれたプレミアリーグ第12節のアーセナル戦で、76分に交代出場し、その数10秒後にファーストタッチでチームの4点目を決めたリバプールの南野拓実。それは、2020年1月に「レッズ」に加入した日本人アタッカーにとって、本拠地アンフィールドでの初ゴールだった。

 今夏、オフの親善試合でゴールを重ねるなど良い状態で開幕を迎え、全先発出場を続けているカラバオ・カップでは2試合で3得点、そしてプレミアリーグでは長くベンチを温め続けてきたものの、3試合目の交代出場(プレー時間では16分目)にして、ここでも結果を残してみせた。

 ユルゲン・クロップ監督はアーセナル戦後、南野について「私がどれだけタキに満足しているか想像できないだろう? 彼は今、素晴らしい時間を過ごしている。実際に4つのポジションを変える解決策だったと思う。彼は、8番と3トップの全てでプレーできた。彼は本当に良い状態にある。日本代表として戦った後、クラブに戻ってきて、我々にとって非常に重要な存在になっている」と賛辞を贈り、「これからももっとプレーすることになる。その事実に何の疑いもない」とポジティブな展望を示している。
  これを受けて、英国の日刊紙『Daily Mirror』は「指揮官が南野の多様性を明らかにしたことで、リバプールの冬の移籍市場はさほど忙しくはならないことを示唆したかもしれない」と報道。夏にジョルジニオ・ヴァイナルダムがバルセロナに新天地を求めた後、新たなMFの獲得が確実視されたものの、クロップ監督は現有戦力を信頼し、さらに南野への称賛によって「チームにはさらに“深み”があることを示唆した」という。

 リバプールの前線といえば、モハメド・サラー、サディオ・マネ、ロベルト・フィルミーノ、ディオゴ・ジョッタの「ビッグ4」が君臨し、圧倒的な得点力を誇っているがゆえに、南野、ディボック・オリギら「バックアップ組」はともにカップ戦で結果を残しながらも、プレー機会が制限されている。ただ、ここにきてフィルミーノはハムストリングス、ジョッタも膝を負傷。さらに、来年1月にはアフリカネーションズ・リーグ(AFCON)でサラー(エジプト)、マネ(セネガル)が長期離脱することが確実という。
  このような状況で、同メディアは「タキがゴールを決めて、我々は幸せだ。このプレーは、彼がどれだけよくトレーニングしているかを反映している」と語ったドイツ人指揮官により、「1月にマージ―サイドに誰かが到着するのか、あるいはミナミノがファンの悩みに対する“解答”となるのかは、まだ分からない」としながらも、「26歳のチャンスは間近に迫っている」とポジティブに綴っている。

 アーセナル戦でサポーターが合唱した、アバの名曲「マンマ・ミーア」の替え歌である南野のチャントを取り上げ、「ミナミノのゴールにサポーターが感謝の意を示した」と報じたリバプールの地元紙『Liverpool Echo』では、「コップの王様は誰か?」と題された、番記者が試合ごとに十傑を選出する企画において、南野はトレント・アレクサンダー=アーノルドに次いで2位にランクイン。寸評では「サラーとマネがAFCONに出場するなら、2022年はこれまで以上にミナミノが必要になる」と、その存在の重要性が強調された。
  リバプールの専門メディア『ROUSING THE KOP』も、「ミナミノは(出場機会に恵まれないことから)チームを去るといわれていたが、“舞台裏”で静かに活躍しており、プレー時間の少なさにもかかわらず、印象的なスピードでゴールを重ねている」「ここまで4ゴールだが、わずか242分しかプレーしておらず、60.5分に1点を挙げている計算となる。クロップ監督にとっては、素晴らしいオプションのひとつだ」と評している。

 さらに、南野のボックス内やライン間での動きが的確であること、それを活かすパスを出せるチームメイト(アレクサンダー=アーノルドら)の存在があることを指摘した上で、「サラーとマネがチームを空ける1月、ミナミノやオリギのような有用な控えのアタッカーが輝くところを見られるのは素晴らしいことだ」と期待を寄せた。

 なお、今週は24日にチャンピオンズ・リーグ(CL)のポルト戦がアンフィールドで行なわれるが、フィルミーノ、ジョッタ、オリギが負傷ということで、「今季最初のCLでのスタメンを手に入れることができるかもしれない」と綴った『Liverpool Echo』の他、多くのメディアが先発出場の可能性を示唆している。

構成●THE DIGEST編集部