F1引退説も囁かれるハミルトンに多くの関係者が見解!フェルスタッペンとの“ライバル関係継続”を希望
ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)のクラッシュによるセーフティーカー(SC)導入で両車のタイム差はなくなり、さらにレースコントロールが両者の間にいた周回遅れの5台だけをSCより先行させる特別な措置を採ったことで、ソフトタイヤに履き替えていたフェルスタッペンが一転有利な状況となり、レース再開となったファイナルラップでハミルトンを抜き去り、大逆転で史上34人目、オランダ人としては初の世界王者に輝いた。
劇的な結末は、大きな物議を醸すものとなり、当然ながらメルセデスは結果の無効を求めたが(後に上訴を取り下げ)、これと対照的に、ショッキングな敗北を喫す羽目となったハミルトンは、SC出動中の無線では「信じられない」と愚痴をこぼしたものの、レース後は潔くフェルスタッペンやレッドブルを称えたことで、その姿勢を称えられることとなった。しかし彼はレース後の会見、16日に開催されたFIA主催の年間表彰式をチームとともに欠席した他、自身のSNSも含め、一切の声明も出していない。
こうしたことから、彼が今回の件で相当なショックや失望を受け、F1に幻滅したことで引退を検討しているのではないかとの憶測が流れている。そして、これに対して多くの関係者が言及し、15日に「モータースポーツにおける多大な功績と貢献」によってナイトの爵位を受勲したばかりのハミルトンに対し、ステアリングを握り続けることを期待している。
メルセデスのトト・ヴォルフ代表は16日、ハミルトンが現役を続けるかどうかが不透明であることを示し、「日曜日(決勝レース)で起きたことを消化するには、長い時間を要するはずだ。(当事者であるドライバーの)ハミルトンはなおさらだろう。彼は史上最高のドライバーであり、レースを続けてほしいと本当に願っている。彼の心は、続けるべきだと自身に語りかけているだろう。なぜなら、そのキャリアにおいて今がベスト時だからだ」と語っていた。
また、1年を通してハミルトンと異次元レベルの争いを展開し、熾烈を極めた結果、時には互いに激しく非難もし合った新王者フェルスタッペンは、「ルイスは自分が成し遂げたことにのみ、目を向けるべきだ。そのことが彼自身を慰め、レースを続けるための活力を与えてくれるだろう。彼は来年、8度目のタイトルを目指して戦うことができる。諦めたり、辞めたりする理由は何もないと思う」と、ライバル関係の続行を願っている。
OBたちも同様の希望を示しており、1996年にウィリアムズで世界王者となった英国人のデイモン・ヒルは、かつての自身とミハエル・シューマッハー、アイルトン・セナとアラン・プロストのように、長く遺恨を残すような「醜い」関係をフェルスタッペンとハミルトンには望んでおらず、「ルイスは敗北を喫したものの、(その後の態度で)尊厳を示した。そして、彼はマックスの素晴らしさを認識し、マックスもルイスを認めた。彼らは改めて、互いに価値のある相手を見つけたのだ」と、彼らの関係の継続に期待を寄せた。
そのヒルとウィリアムズでコンビを組み、後にマクラーレン、レッドブルで活躍したデイビッド・クルサードは、「ルイスは来季もF1で走るはずだ。彼は2023年までの契約を残している。チームプレーヤーである彼が、チームを裏切ることは絶対にしないと思う。今は失意のどん底にあるだろうが、これまで何度も逆境を乗り越えてきたように、彼は再び前を向いて歩き始めるだろう」と、ハミルトンの8度目の世界制覇挑戦を確信している。
一方、2009年にブラウンGP(後のメルセデス)でタイトルを手にしたジェンソン・バトンは、マクラーレンではチームメイトだった同胞の後輩の去就について「スポーツにおいては、我々が知っている通り、何でも可能だ。我々は大いなる情熱を持って走り続けている。最近のルイスのことは知らないが、僕が知っている以前の彼であれば、タイトルを失ったまま去ることはないと思う」と語った。
また、下部カテゴリー時代は親友同士であり、メルセデスではライバルとして競い合い、2016年にハミルトンを抑えて世界の頂点に立ったニコ・ロズベルグは、「僕はルイスが来季もグリッドに戻って来て、奪われた王座を取り戻し、8度目の世界王者となるために戦い続けると思っている」との予想を示している。
各国メディアがハミルトンの去就を探る中、F1専門メディア『GPBLOG』は彼がSNSでF1公式サイト『F1.com』のフォローを外した他、フェルスタッペンもフォロワーのリストに含まれていないことを紹介して、彼のF1(の統括機関)への不信感や結果への不満が相当に大きいと報じているが、果たして史上最強のドライバーは、どのような決断を下すのだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
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