来たる12月26日、第66回を迎える暮れの大一番、有馬記念(GⅠ、芝2500m)が中山競馬場で行なわれる。

 今年一番の見どころは、ここを引退レースと定め、史上初のファン投票レース4連覇をかけて臨むクロノジェネシス(牝5歳/栗東・斉藤崇史厩舎)と、19年ぶりの3歳馬による天皇賞・秋(GⅠ)制覇の勲章を引っ提げて参戦するエフフォーリア(牡3歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)の、最初で最後となる直接対決だ。

 まずクロノジェネシスの、今年の戦績を振り返ってみる。

 有馬記念制覇から約4か月ぶりの実戦となったドバイシーマクラシック(UAE・GⅠ、メイダン・芝2410m)を英国のミシュリフ(Mishriff)にクビ差の2着と健闘(先日引退したラヴズオンリーユーにはクビ差先着)。それから3か月の休養を経て出走した宝塚記念(GⅠ、阪神・芝2200m)では、前年同様に直線で独走態勢に持ち込む強い勝ち方で連覇を達成した。
  その後は夏を休養に充て、10月に念願だった凱旋門賞(仏GⅠ、ロンシャン・芝2400m)に挑戦する。しかし、「タフと言っても、日本のそれとは比べ物にならない」(斉藤調教師)というロンシャンの重馬場に苦しめられて7着に敗退。約3か月という十分な休養をとって臨むのがラストランとなる有馬記念となる。

 かたやエフフォーリアは、共同通信杯(GⅢ、東京・芝1800m)で重賞初制覇を遂げると、続く皐月賞(GⅠ、中山・芝2000m)では、のちに菊花賞(GⅠ、阪神・芝3000m)をせいすることになるタイトルホルダーを3馬身も千切る衝撃的な強さで圧勝。二冠目を狙った日本ダービー(GⅠ、東京・芝2400m)では、シャフリヤールとの競り合いにハナ差遅れて2着に惜敗した。

 その後、陣営は菊花賞の3000mは距離不適とみて、秋のターゲットを古馬との激突となる2000mの天皇賞に定めた。すると前年の三冠馬コントレイル、マイルの女王グランアレグリアらを堂々と降して快勝。一気に中距離の頂点へと駆け上がった。
  この2頭に序列をつけるのは難題中の難題だ。

 調整過程を見ても、クロノジェネシスは帰国後の回復も順調で、CWコースでの追い切りでは自己最速のタイムを計時。斉藤調教師は「いいときと比べると物足りなさが残る」とコメントしているが、厳しいジャッジは要求水準の高さの裏返しでもある。

 短期放牧に出て、天皇賞から約2か月という十分な間隔をとったエフフォーリアも、追い切りでこの馬らしい活発さを見せた。横山武史騎手は「前走と比べると少し落ちるかもしれない」としたが、鹿戸調教師は「動きは満足がいくもので、力を出せる状態」と譲らない。
  あえて序列化するならば、5歳の秋とベテランの域に入っているクロノジェネシスよりも、3歳でまだ成長の余地を残すエフフォーリアを上位に取るべきか。

 この2頭が築く壁はかなり高いが、その一角崩しを狙うのは、菊花賞馬のタイトルホルダー(牡3歳/美浦・栗田徹厩舎)、皐月賞と日本ダービーをともに3着としたステラヴェローチェ(牡3歳/栗東・須貝尚介厩舎)の”強い3歳”勢となる。

 ただし、前者はスタート位置の問題から不利と言われる大外の16番枠を引いたことが厳しく、後者はGⅠの舞台での決め手の甘さが気になるところだ。

 そこで”穴馬”として推奨したいのは、今年の天皇賞・春(GⅠ、阪神・芝3200m)で2着となり、フランス遠征の際にはフォワ賞(G2、ロンシャン・芝2400m)を制してファンを驚かせたディープボンド(牡4歳/栗東・大久保龍志厩舎)か。持ち前の豊かなスタミナを活かせる厳しい流れになれば、上位争いに食い込んでくるシーンが見られるかもしれない。

文●三好達彦