この1年もテニス界にさまざまなニュースが飛び交ったが、今回はそのなかで強いインパクトを残した“5大トピック”にクローズップ。来季の開幕を前に、2021年シーズンを振り返ってみる。

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◆メンタルヘルス問題に一石を投じた大坂なおみ

 今年を語るうえで外せないトピックのひとつに、アスリートの“メンタルヘルス問題”がある。その流れを作るきっかけとなったのが、6月の全仏オープンで「人々がアスリートのメンタルヘルスについてあまり考えていない」と指摘し、記者会見をボイコットした大坂なおみだ。

 2月には全豪オープンで4度目のグランドスラム優勝を果たし、幸先よくシーズン発進を決めていた大坂。しかし全仏開幕直前に「負けた選手をあのような場で問い詰めるのは、落ち込んでいる人を蹴落とすようなもの」と記者たちへ苦言を呈すと、これが物議を醸し、自ら2回戦を棄権するという想定外の騒動にまで発展した。

 さらに、SNSでは約3年にわたってうつ状態に苦しめられていることを明かし、ウィンブルドンの欠場を発表。その後、体操女子のシモーネ・バイルズ(アメリカ)が五輪を棄権し、NFLのレーン・ジョンソン(フィラデルフィア・イーグルス)らもメンタル不調で離脱するなど、この一連の騒動がスポーツ界に与えた影響は計り知れない。

 これまでにも、黒人差別反対運動「ブラック・ライブズ・マター」に賛同するなど、社会に対して積極的な問題提起を続けてきた大坂。1月には初のグランドスラム2連覇がかかる全豪オープンを控えており、その言動とともに注目が寄せられる。
 ◆57年ぶりの東京五輪開催

 新型コロナウイルスの感染再拡大が危ぶまれるなか、7月には東京五輪が異例の無観客開催を迎えた。

 まず、テニス界を盛り上げたのは、競技スタート前日の開会式だ。セレモニー終盤の最終聖火ランナーに登場したのは、なんと大坂。見事に大役を務め上げ、それから一夜明けたSNSでは「間違いなくこれまでに経験したことのない最も偉大なスポーツの名誉と成果です」と心境を記していた。

 そして競技がスタートすると、男女ともに波乱の展開が続いた。女子シングルス世界1位のアシュリー・バーティー(オーストラリア)が初戦敗退を喫し、大坂も3回戦でストレート負け。男子も金メダル最有力のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が表彰台からこぼれ落ちた。

 最終的に頂点に駆け上がったのは、女子がベリンダ・ベンチッチ(スイス)、男子がアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ)だ。ともにジュニア時代からの期待どおり着実な成長を見せていた24歳だが、ここにきてついにビッグタイトル獲得となり、来年のグランドスラム初優勝も十分視野に入ってくるだろう。

◆全米オープン女子決勝で22年ぶりの10代対決

 一体誰がこのカードを予想できただろうか。9月に行なわれた全米オープンの女子シングルスで決勝まで勝ち上がってきたのは、18歳で150位のエマ・ラドゥカヌ(イギリス)と、19歳で73位のレイラ・フェルナンデス(カナダ)だった。

 このフレッシュな対決を制したのは、年下のラドゥカヌだ。同大会では予選3試合を含め、全10試合でストレート勝ち。予選出場からのグランドスラム制覇は男女を通じて史上初の快挙であり、グランドスラム本戦2大会目での優勝もオープン化以降で最短の記録となった。

 一方のフェルナンデスは、ディフェンディングチャンピオンの大坂を含む、3人のトップ10プレーヤーを撃破。ラドゥカヌとは対照的に3回戦から4試合連続でフルセットにもつれる接戦を制し、観るものにハートの強さを印象付けた。

 このティーンエイジャーによる快進撃は、女子テニス界に新風を巻き起こしただけでなく、多くのファンにインパクトを残したことは間違いない。まもなく開幕する2022年シーズンも彼女たちのさらなる活躍に期待したい。
 ◆ジョコビッチの年間グランドスラム(1年で全ての四大大会を制覇すること)ならず

 今季の男子テニス界は序盤から、BIG3のラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)が苦戦を強いられるなか、前半3つのグランドスラム(全豪、全仏、ウインブルドン)をノバク・ジョコビッチ(セルビア)が独占した。

 これにより、男子史上初の「年間ゴールデンスラム」(1年で四大大会とオリンピックを制覇)に大きな期待がかかったジョコビッチ。しかし、シーズン終盤は若手選手たちに快挙を阻まれる形となった。

 迎えた東京五輪では、シングルス準決勝でズべレフに逆転負けを喫すると、パブロ・カレノブスタ(スペイン)との3位決定戦でも調子が上がらず、まさかの連敗で表彰台からこぼれ落ちた。

 さらに、「年間グランドスラム」がかかった全米オープンは決勝まで順当に勝ち上がるも、今度はダニール・メドベージェフ(ロシア)にまさかのストレート負け。最終戦の準決勝ではズベレフに再び苦杯を喫し、世界ランク1位でシーズンを締めくくったものの、終盤は世代交代が一気に加速した印象だ。
◆ペン・シューアイの失踪騒動

 シーズン終盤に世界を揺るがしたのが、女子ダブルス元世界1位のペン・シューアイ(中国)を巡る失踪騒動だ。11月初旬に中国前副首相から性的暴行を受けていたと告発すると、中国当局によってソーシャルメディア上の投稿が削除され、本人の消息が不明となった。

 このニュースは、やがて世界規模の事案へと発展した。WTA(女子テニス協会)は、多大な利益をもたらしていた中国のビジネスから撤退すると表明。その一方、IOC(国際オリンピック委員会)は「ペンと2度のビデオ通話を行なった」と発表しているが、一連の問題はいまだ解決へと至っていない。

 その後は度々公の場に登場していることが報じられているペン。安否は確認できたとされているが、はたして今後はどのような展開を見せるのだろうか。一刻も早い騒動の収束を願うばかりだ。

構成●THE DIGEST編集部

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