2021年もモータースポーツ界はさまざまなニュースが飛び交った。今回はそのなかから強く印象に残った“5大トピック”を選出し、この1年間を振り返る。

◆2人の天才による歴史に残る大激戦と劇的な決着

 4連覇中の絶対王者ルイス・ハミルトン(メルセデス)に対し、23歳(今季開幕時)のフェルスタッペンが挑戦状を叩きつけた今季、序盤から追いつ追われつの勝負を展開する中で、互いのライバル意識が強くなりすぎた結果、イギリスGP、イタリアGPでは双方があわやの事態に陥るほどの大きなアクシデントに発展。その後も、互いに譲らない2人は幾度も接触を繰り返した。

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 コース上では限界ぎりぎりのバトル、コース外ではチームをまじえての舌戦を繰り広げながら、他ドライバーの追随を許さない異次元のマッチレースは、1974年以来2度目となる同ポイントでの最終戦決着に持ち込まれ、ポールポジションのフェルスタッペンを抜いたハミルトンが盤石の走りでタイム差を広げたが、終盤でのセーフティーカー導入で、タイヤを履き替えたフェルスタッペンが形勢逆転、ファイナルラップでトップに立つという劇的すぎる形で、史上34人目、オランダ人としては初めてのワールドチャンピオンに輝いた。

 フェルスタッペンにとっては「奇跡」、一方のハミルトンにとっては「悪夢」の結末となったが、「ルイスは素晴らしいドライバーであり、それに疑いの余地はない。我々は素晴らしいレースを戦った」「マックスと彼のチームにおめでとうと言いたい」と互いを称え、ファンは稀代の天才ドライバー同士のライバル関係の継続を望んだ。
 ◆ホンダ、F1第4期最終年の王座獲得で有終の美

 昨年10月に、カーボンニュートラル実現に向けた会社の方針転換ために、2021年限りでのF1撤退を発表したホンダ。2015年に始まった第4期のF1活動においては、マクラーレンとのジョイントで厳しい3年間を過ごした後、2018年にトロロッソ、その翌年からはレッドブルともパートナーシップを結び、年々競争力を高めて迎えた最終年、オフシーズンから気合十分に準備を進めて、強力なパワーユニット(PU)を作り上げた。

 果たせるかな、グレードアップしたレッドブルのマシンは、フェルスタッペンの卓越したドライビングによってライバルを大いに苦しめ、最終戦の劇的な結末によって、1991年以来のドライバーチャンピオンシップ制覇に貢献。コンストラクターズ王座はメルセデスに譲ったものの、22戦中で12勝(フェルスタッペンが11勝、セルジオ・ペレスが1勝)を挙げ、ホンダが有終の美を飾るに相応しい結果だった。

 この第4期の活動においては、異なる2チームで優勝を飾った初のPUサプライヤーの名誉も手にしたホンダ。ここまで、サプライヤーとして483レースに参戦し、優勝89回、ポールポジション90回、ファステストラップ76回、ドライバーズ、コンストラクターズともに6度のランキング1位、そして獲得ポイント3409を記録した彼らに、果たして「第5期」はあるのか!?
 ◆究極のドラマに水を差した!? 再三物議を醸した判定

 最終戦アブダビGP、ファイナルラップでのフェルスタッペン逆転優勝は究極のドラマとなったが、周回遅れの車の処理などに関するレースコントロールの中途半端な通達は大きな物議を醸し、「結果を操作した」と批判を受けることとなった。また、イギリス、イタリア、サンパウロ、サウジアラビアなどで起きた、フェルスタッペンとハミルトンによる接触の際にも、その一貫性のない判定が悪い意味で話題となったものである。

「整合性のなさや、帳尻合わせの判定が目立つ」「ドライバーによって判定を変えている」「迷いのある裁定が多すぎる」といった、ドライバーやOB、メディアから批判は主に、今季はレッドブル、メルセデスの首脳との無線でのやりとりが注目を集めたレースディレクターのマイケル・マシに対して向けられたが、レースごとにコーススチュワードのメンバーが変わるF1のシステムに問題があるとも指摘されている。

 運営側が物議を醸した点と言えば、他にも今季より導入されたスプリント予選をめぐっての賛否も分かれたものである。来季は史上最多23レースの過密日程の中、この決勝グリッドを争う小規模レースの開催回数は今季の3回から拡大される予定だ。
 ◆元ワールドチャンピオンやベテランが放った輝き

 3年ぶりにF1復帰を果たしたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は、序盤は新たな環境の適応に苦労して鳴りを潜めたが、新たに導入されたスプリント予選、アゼルバイジャンGPの終盤のリスタートなどで抜群の追い抜き技術を披露し、ハンガリーではハミルトンを数周にわたって見事に抑え込むなど、徐々に元王者の本領を発揮。同僚エステバン・オコンとの連係も良く互いをサポートし合ってチームのチャンピオンシップ5位に大貢献し、自身はカタールで7年ぶりに表彰台(3位)に上がり、復活を印象づけた。

 2007年の王者キミ・ライコネン(アルファロメオ)は、車の問題もあって後方を走ることを余儀なくされ、またクラッシュも少なくなかったが、レースでのタイヤマネジメントの巧さはさすがであり、41歳でもまだ十分にやれることを示したが、9月に引退を発表。2001年にF3も経験せずに最高峰レースに飛び級を果たした天才は、19年間のキャリアで21回の優勝、ポールポジション18回、通算獲得ポイント1873という記録を残してヘルメットを脱いだ。

 4度の世界王者であるセバスティアン・ヴェッテルの、フェラーリからアストンマーティンに新天地を求めた1年目は比較的地味なものとなったが、モナコでの5位、アゼルバイジャンでの2位表彰台は、彼の偉大さを改めて示した。132回のオーバーテイクは今季全ドライバー中最多であり、また新たな勲章が加わることに。ちなみに2位はアロンソ(128回)、3位はライコネン(127回)だった。

 なお、ワールドチャンピオン経験者ではないものの、7回の優勝を記録していたダニエル・リカルドは、新天地マクラーレンで適応に苦しんでランド・ノリスの後塵を拝し続けたものの、イタリアGPではスプリント予選で3番手、決勝ではスタートでトップに立って以降、最後まで順位を守り切って3年ぶりの勝利。若返りを図ろうとしているF1において、彼もベテランの力を見せつけた。
 ◆7年ぶりの日本人ドライバー、浮き沈みの1年目

 小林可夢偉以来7年ぶりとなる日本人レギュラードライバーは、レッドブルジュニアチームで才能を発揮してF3、F2を1年でクリア。アルファタウリで最高峰レースに到達すると、プレシーズンテストで総合2番手、デビュー戦バーレーンGPでも予選Q1で2番手、そして決勝では多くの見せ場を作っての9位入賞を飾るなど、鮮烈な印象を見る者に与え、F1テクニカルディレクターのロス・ブラウンからも「ここ数年で最高のルーキー」と絶賛された。
  しかし、続くエミリア・ロマーニャGPで気負いすぎてオーバースピード、スピン、クラッシュといったミスを繰り返すと、徐々にF1の洗礼を浴びて苦しみ、自信を喪失。すると、レッドブルから本拠地を英国からイタリア・ファエンツァに移すよう命じられ、フランツ・トスト代表直々の指導を受けてレースウィークへのアプローチを見直し、またアレクサンダー・アルボンのサポートを受けることで、徐々にパフォーマンスは改善され、終盤ではフリー走行や予選で好結果を得られるまでになった。

 そして最終戦では、それまで大きく水を開けられていた同僚ピエール・ガスリーを全セッションで上回り、決勝ではファイナルラップでヴァルテリ・ボッタスを抜き去り、3位シャルル・ルクレール(フェラーリ)とわずか0.5秒差の4位というベストリザルトを残してルーキーイヤーを締めくくった。例年よりも走行経験が少ないというハンデを背負い、浮き沈みの激しいF1初年度を過ごしたが、最後には再びそのポテンシャルの高さを示し、真価を問われる2年目に期待を持たせた。

構成●THE DIGEST編集部

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