長く起伏に富んだF1デビューイヤーを終え、現在は新たなシーズンに向け、日本で英気を養いながらも準備を怠っていない角田裕毅。2年目では、昨季の経験を活かしての大飛躍が期待される。

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 昨季を振り返ると、シーズン開幕前の合同テストや開幕戦バーレーン・グランプリの予選Q1ではいきなり2番手のタイムを出して世界を驚かせ、決勝でも歴代王者たちを次々に追い抜いての9位入賞(日本人ドライバーでは初のデビュー戦ポイント獲得)で各方面から絶賛されたが、第2戦からは経験のなさ、力みや焦りなどもあってか、不必要なミスを繰り返してパフォーマンスも低下、徐々に厳しい声も寄せられるようになった。

 自信喪失に陥ったところで、レッドブル・グループが改善に動き(英国からイタリア・ファエンツァに移住させてフランツ・トスト・アルファタウリ代表の日常的な指導下に置いた)、またレッドブル・リザーブドライバーのアレクサンダー・アルボンが指導役についたことで、終盤戦に入る頃には目に見えて改善を見せ、最終戦アブダビGPでは、それまで大きく差をつけられていた同僚のピエール・ガスリーに全セッションで勝利し、決勝ではベストリザルトとなる4位でフィニッシュした。
  最後を良い結果で締めたことは、来る新シーズンに期待を持たせたものの、彼の1年目に対する各国メディアの評価は、過去のルーキーと比べて事前の走行経験が少なかったというハンデを差し引いても、やや厳しめなものが多かったものである。

 彼の1年目の苦労を、チームメイトとして、先輩として、近くから見ていたガスリーは、「ユウキの言葉から、おそらく彼はF1にやって来る前、これほど苦しむとは思っていなかったようだ。しかし、F1、特に中段での争いは非常にレベルが高く、また本当にハードだった」と、その原因を推測し、いかにアルファタウリが厳しい争いの渦中に置かれていたかを強調している(F1専門メディア『GPFANS』より)。
 「アストンマーティンには4度の世界王者(セバスティアン・ヴェッテル)がいて、アルピーヌにも2度のチャンピオン(フェルナンド・アロンソ)がいる。フェラーリ、マクラーレンも強力なドライバーラインアップを擁し、(車の戦闘力では劣るとされていた)アルファロメオにすら、キミ・ライコネンというチャンピオンがいたんだ」

 このような中で、どれだけ角田をサポートできたかについては、「正直、自分のことだけでも多くのエネルギーを要する状況で、(チームメイトのサポートは)とても難しかった。しかし、彼が言うには、データを見て多くのことを学んだようだし、チームとの働き方も理解したようだ。それに、僕のレースウィークのアプローチの仕方も見ていたようだし」と答えている。
  一方、角田の成長において大きな役割を担ったトスト代表は、彼に対して粘り強く接し、メディアに対してはポジティブな面を強調してきたが、英国の日刊紙『EXPRESS』では、この日本人ドライバーの別の注目を集めた側面、無線での“罵声”に対して、改めて苦言を呈した。

 一躍、F1界の流行語ともなった「トラフィックパラダイス」などはまだ良しとしても、角田は担当エンジニアに対して汚い言葉を吐いて、落ち着くよう促されるなど、精神面の弱さを露呈する場面が多々見られ、オランダの著名なF1ジャーナリスト、ルート・ディマーズからは「最初は面白かったが、彼はいつも泣き言を言っている」と批判され、日本を良く知る元ドライバーのトム・コロネルは「彼の言動は少しばかり失礼すぎる。日本人らしくない」と厳しく指摘された。

 元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーからは「彼が極限状態の中にいることを人々は理解すべきだ」と擁護された無線での言動だが、トスト代表は「彼にはこの行為を止めるよう求めた。叫ぶなら、無線のスイッチを入れてはいけない。なぜなら、それは彼自身のイメージを傷つけるとともに、チームを傷つけることにもなるからだ。冷静でいる必要がある。もちろん、彼の気持ちも分かるが」と語っている。

 レース中の“罵声”については、昨季開幕前にも本人が言及し、これをやった場合には集中力とパフォーマンスが落ちてしまうことを自覚していた。それでも、やはり慣れない環境で感情が爆発してしまったようだが、これも時の経過とともに改善が見られている。新たなシーズンでは、精神的にも向上した角田の姿が見られるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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