現地時間1月1日に行なわれたゴールデンステイト・ウォリアーズとユタ・ジャズの一戦。リーグトップクラスの戦績を残す好チーム同士の対決は、同点が8回、リードチェンジ10回という接戦になったが、第4クォーターにウォリアーズが37-25で抜け出し、123-116でジャズをねじ伏せた。

 この試合、ウォリアーズではステフィン・カリーがゲームハイの28得点に6リバウンド、9アシスト、アンドリュー・ウィギンズが25得点、4アシスト、オットー・ポーターJr.が20得点、7リバウンド、8アシスト、3スティールをあげたほか、3選手が2桁得点を奪取した。

 カリーは6本の3ポイントを決めたことで、自身が保持していた157試合を塗り替え、NBA史上最長となる158試合連続で3ポイントを成功。この日は万能戦士のドレイモンド・グリーンが欠場したが、ウォリアーズはフィールドゴール成功46本のうち、39本をアシストで演出と、見事なオフェンスを展開していた。

 昨年12月31日に『NBA.com』へ掲載された今季のMVPランキングトップ5は、5位からルディ・ゴベア(ジャズ)、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)、カリー、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)という布陣だった。
  そんななか、ジャズのクイン・スナイダー・ヘッドコーチはウォリアーズを攻守で支えるグリーンを絶賛していた。

「ステフやルディを軽蔑しているつもりはないし、その資格を与えなければいけないとまでは思わないが、ドレイモンド・グリーンは実にユニークな選手で、いいシーズンを送っている。もし誰かをMVP候補に加えるなら、彼はその1人に入る。数字は他の候補選手に見合わないかもしれないが、ゲームにインパクトを与えている。パスやディフェンスなどでね。それはこのチームのルディもそうで、彼の万能性も素晴らしいが、彼(グリーン)も自分なりのやり方で見事にこなしている」

 グリーンは2日終了時点でリーグベストのディフェンシブ・レーティング(102.1)を残すウォリアーズでディフェンシブアンカーを務めており、1対1やカバーリング、チームメイトたちへの指示出しなどで絶大な存在感を放っている。

 NBAキャリア10シーズン目の31歳は、ここまで平均8.4点、7.9リバウンド、7.5アシスト、1.4スティール、1.2ブロックとマルチな成績を残しているものの、平均20点を優に超えるMVP候補たちと比較すると見劣りしてしまう感は否めない。

 しかし、フィールドゴール54.7%はキャリアハイのペースで、今季2桁得点をマークした試合でチームは8勝1敗(勝率88.9%)、さらにトリプルダブルを達成した試合では通算30勝1敗(勝率96.8%)と、まさに勝利へ直結した働きを見せている。 新型コロナウイルスの安全衛生プロトコル入りから3試合ぶりの出場となった3日のマイアミ・ヒート戦を前に、グリーンは敵将のコメントに「俺も賛成だ。彼はゲームがどんなものなのか、よく見てくれている」と切り出し、さらにこう続けている。

「俺はカリーやデュラント、ヤニスに対抗して数字を伸ばしてMVPレースに入ろうとしているわけじゃない。だが、俺にはゲームにインパクトを与えるやり方があるし、フロアで多くのことをこなしているんだ。そういったことが勝利にインパクトをもたらせているということ。そう言われてもいいことをやっているのさ」

 今季グリーンが今後も活躍を続け、ウォリアーズがリーグトップの戦績でレギュラーシーズンを終えれば、自身2度目となる最優秀守備選手賞も十分あり得る。
  だが、NBAで平均2桁得点以下だった選手がMVPに選ばれたケースはない。過去の受賞者の中で、最も平均得点が低いのは1969年のウェス・アンセルド(元ワシントン・ブレッツ/現ウィザーズ)の13.8点だが、18.2リバウンドをマークしていることから、グリーンのMVP獲得のハードルは高いと言わざるを得ない。

 それでも、3シーズンぶりのプレーオフ返り咲き、18年以来となる覇権奪取を狙うウォリアーズにおいて、グリーンが鍵を握る選手の1人なのは間違いないだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)