青山学院大が2年ぶり6度目の優勝で幕を閉じた「第98回箱根駅伝」。戦国駅伝とも予想されて迎えた今大会だが、蓋を開けてみれば2位順天堂大と10分51秒差と圧勝劇が繰り広げられた。では、各大学の実力差は、どれほどのものだったのか。シード権を獲得した10位までの大学を「区間配置」、「山対応」、「駅伝力」で採点(S、A、B、C、D)し、違いを比較した。

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1位 青山学院大:総合評価S(区間配置S、山対応S、駅伝力S)

 第98回箱根駅伝は2年ぶり6度目の総合優勝を飾った青山学院大の独壇場となった。往路、復路ともに制し、10時間43分42秒と大会新記録で完全優勝。総合評価は文句なしのSだ。区間配置は的確そのもの。3区から首位を独走し、ミスなく襷をつないだ。3つ(9区、10区は新記録)の区間賞を含む、8区間で5位以内でまとめた安定感は抜群だった。山の対応も5区に抜擢した1年生の若林宏樹が好走し、2位と2分37秒差をつけた。6区からは5人全員が一人旅となったが、ペースを落とさずに復路新記録を更新。あらためて駅伝での強さを示した。「過去最強軍団」と評した原晋監督の言葉も素直にうなずける。

2位 順天堂大:総合評価A(区間配置A、山対応S、駅伝力A)

 大躍進で話題をさらったのは順天堂大。総合優勝した2007年以来、15年ぶりのトップ3入りで、総合評価はSに近いAだ。数少ないマイナス材料は、1区で18位と大きく出遅れ、東京五輪の3000m障害で7位入賞したエースの三浦龍司(2年)も2区で区間11位と持てる力を発揮できなかったこと。3区以降は流れを引き寄せ、復路で猛追撃した駅伝力は圧巻。山下り6区の牧瀬圭斗(4年)と8区の津田将希(4年)は区間賞を獲得した。2人の貯金で後ろから迫る駒澤大からも逃げ切った。
 3位 駒澤大:総合評価B(区間配置C、山対応B、駅伝力B)

 2連覇を狙った駒澤大は3区の安原太陽(2年)と8区の鈴木芽吹(2年)がブレーキとなり、3位が精いっぱい。前哨戦の全日本大学駅伝を制するなど、期待値が高かっただけに総合評価はB。留学生の集まる2区で区間賞を獲得した田澤廉(3年)が貯金をつくり、不安視された山区間も5区で金子伊吹(2年)が区間4位と健闘するなど、要所で前回王者の強さは見せたが、区間配置に苦しんだ。大八木弘明監督が「私の采配ミス」と認める通り、“凸凹駅伝”になった感は否めない。負傷を抱えていた鈴木を起用せざるを得なかった層の薄さも響いた。
 4位 東洋大:総合評価B(区間配置B、山対応C、駅伝力B)

 最終10区で総合3位の駒澤大に2秒差まで迫った東洋大の追い上げは目を見張った。往路9位から復路で総合4位まで浮上した。総合評価はBとしたが、復路2位の襷リレーは4度の総合優勝を誇る“鉄紺”の意地。残念なのは4区で12位まで順位を落とすなど、往路で流れをつくれなかったこと。勝負を懸けた山でも5区の区間記録を持つエースの宮下隼人(4年)が区間8位と本来の力を発揮できずに苦しんだ。往路で出雲駅伝、全日本大学駅伝で連続区間賞を獲得した石田洸介(1年)を起用できていれば、また違った結果になったのかもしれない。ルーキーのコンディション不良は悔やまれる。

5位 東京国際大:総合評価A(区間配置A、山対応C、駅伝力A)

 昨秋の出雲駅伝で初優勝を飾った東京国際大の総合5位は価値あるもの。総合評価はA。過去最高の成績を残した点を加味した。「チーム力はついた」と大志田秀次監督が語るとおり、2区を走った留学生イェゴン・ヴィンセント(3年)頼みではなく、日本人エースの丹所健(3年)が3区で区間賞を取るなど、底力は本物。復路でもしっかり粘り、7区以降は全員が区間一桁で走りきった。大きなミスなく、うまくまとめた。
 6位 中央大:総合評価A(区間配置A、山対応B、駅伝力A)

 総合6位の中央大は古豪復活を印象づけ、大会を沸かせた。10区途中まで3位を走るなど大健闘。10年ぶりにシード権を確保した。予選会から出場し、大躍進したことを踏まえ、総合評価はA。1区の吉居大和(2年)は15年ぶりに区間記録を更新し、大会MVPまで獲得した。チームとしても、ミスをしっかりカバーした区間配置と駅伝力は評価に値する。

7位 創価大:総合評価B(区間配置B、山対応B、駅伝力A)

 前回大会で旋風を起こし、総合2位となった創価大は7位に踏みとどまった。そつない区間配置で襷をつないだ。1区の出遅れは、2区の留学生フィリップ・ムルワ(3年)がフォロー。4区では嶋津雄大(4年)が区間賞に輝くなど、見せ場もつくった。9位で襷を受けた10区の松田爽汰(3年)が攻めの走りで7位まで順位を押し上げるなど、随所で駅伝力を発揮。安全圏内で3年連続のシード権を手中に収めた。昨年ほどのインパクトはないが、そつなくまとめる安定感はあった。総合評価はAには少し届かないBといったところ。
 8位 國學院大:総合評価B(区間配置B、山対応C、駅伝力B)

 4年連続シード権を手にした國學院大は土壇場で底力を見せた。7区の木付琳(4年)が故障の影響で失速して10位まで落ち込んだが、裏のエース区間と言われる9区の平林清澄(1年)が主将のブレーキをカバー。ルーキーが5人抜きで5位まで押し上げ、チームを救った。出雲駅伝、全日本大学駅伝で区間上位で走っていた実力者を復路に置く区間配置がなければ、シード圏外に沈んでいた可能性もある。自信のあった山区間は5区の殿地琢朗(4年)が区間9位と本来の実力を発揮できなかったのは想定外。ただ、主力の島﨑慎愛(4年)が急きょ欠場するというアクシデントを乗り越え、踏ん張った力は本物だろう。限られた戦力での総合8位は、悪い結果ではないはず。総合評価Bが妥当だ。

9位 帝京大:総合評価C(区間配置C、山対応B、駅伝力C)

 帝京大は5年連続でシード権を死守したが、あまりに往路と復路の落差が大きすぎた。山上りの5区で細谷翔馬(4年)が2年連続区間賞となる快走を見せ、往路は過去最高の2位でフィニッシュ。しかし、復路はまさかの大苦戦を強いられる。ずるずると順位を下げて、シード圏内ぎりぎりの総合9位に。復路順位は17位。往路の貯金で持ちこたえたが、区間配置は噛み合わなかったか。往路だけの評価はAになるが、復路で大きく沈んだ印象が強く、総合評価はCとした。
 10位 法政大:総合C(区間配置C、山対応B、駅伝力C)

 3年ぶりにシード権を獲得した法政大は、評価が難しいところ。山下りの6区で武田和馬(1年)が区間2位の力走もあったが、5区以降はシード圏外で襷をつないだ。最終10区の残り1kmで11位から10位に順位を上げ、奇跡の逆転。評価項目で計れない運を持ち合わせていたのは確か。東海大のアクシデントが重なり、アンカーの川上有生(3年)は区間11位のタイムながら大仕事をやってのけたのだ。総合評価はCとしたが、ドラマ点をプラスできるならAにしたい。これだから、箱根駅伝は面白い。

文●杉園昌之

【PHOTO】青山学院大が大会新記録で2年ぶり6度目の優勝!第98回箱根駅伝を振り返る