昨季、F1でのルーキーイヤーを過ごした角田裕毅。開幕戦バーレーン・グランプリでいきなり9位入賞、最終戦アブダビGPでは自己最高の4位と、最初と最後は満足のいくものとなったが、その間には激しいアップダウンがあった。

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 角田は1月7日に行なわれたオンラインでの会見で、「ひと言でいえば、学びのシーズンだったと思います」と最高峰レースでの初年度を表現し、「良いこともありましたが、苦戦することが多かった中で、葛藤しながら、学ぶことが多かったです」と振り返っている。

 シーズン前の合同テスト、開幕戦でうまくいったことで「F1を少し甘く見るようになり、自信を持ち過ぎてしまいました」というルーキーは、しかし「2戦目(エミリア・ロマーニャGP)で大きなミス(各セッションでスピンやクラッシュ)を犯したことで崩れ始め、クラッシュも重なったりして、自信が失われていきました。負のスパイラルに陥ってしまいました」と明かす。
  その後、クラッシュを避けるためにペースを落とし、地味なレースが続いた後、トルコGPでシャシーを変えたことで状況が良化し、サンパウロGPで自信を取り戻したという角田は、この1年を「キャリアの中で一番大変だった」と告白し、2年目となる今季については、「もう、言い訳は通じません。結果を求めて毎戦、死に物狂いで戦っていきたいと思います」と、飛躍を誓った。

 1年目を「学びの年」と語り、チームメイトのピエール・ガスリーや他のベテランドライバーたちの仕事に対する姿勢から感銘を受け、「全てのことが収穫になった」という角田について、アルファタウリのフランツ・トスト代表は「成長した」と、若き日本人ドライバーの1年をポジティブに評価している(英国のモータースポーツ専門メディア『THE RACE』より)。

 そして彼は改めて、F1が初心者にとっては非常に難しいものであることを強調し、「ユウキの1年は、ルーキーのシーズンがどのように進行するかを示す最適な例となった」とコメント。そして、「彼に何が起こったかは、簡単に説明できる」として、以下のように続けた。
 「我々と秋のテストを行ない、ミサノ、イモラでの幾つかのプライベートテストで車、スピード、ブレーキに慣れた彼は、非常に速く、全てが正常だった。そしてバーレーンでの合同テストでも彼は速く、開幕戦では9位入賞と、全てが素晴らしかった。しかし、彼はこの時、限界を越えていた。だから、すぐにクラッシュが起こるのは明白だった」

「それは、これまでのどの若いドライバーにも見られたことだ。我々は彼に、『君は限界点にいる』と伝えたが、この時のユウキの心の内はすぐに分かった。彼は『F1はそれほど難しくない』と考えていた。そして、彼は(第2戦の)イモラで良い車に乗り、さらにスピードを出して、クラッシュした。それは私にとって、辻褄の合うものだった」

「さらに決勝レースで、彼はドライラインにいたルイス・ハミルトン(メルセデス)をウェットラインで追い抜こうと仕掛け、言うまでもなくスピンした。これは、経験のない若いドライバーがやりがちなことだ。経験豊富なドライバーであれば、相手がハミルトン(もしくはメルセデスのドライバー)であれば、注意深く様子を見るものだ。しかし、ユウキには、『ただ追い抜きたい』という思いしかなかった」
  トスト代表は、印象深かった場面としてモナコGPを挙げ、「FP1でユウキが素晴らしいパフォーマンスを見せた時(最高タイムが9番手)、『FP2では気を付けるように』と注意したところ、彼は『もっと速く走れる』と答え、それに対して我々は『いや、より速く走れば、君はウォールに当たる』と警告したが、案の定、彼はクラッシュした。ここで彼は、『F1は思った簡単ではない』と考え始めた。何かを変えなければならない時だった」と振り返る。

「ユウキはショックを受け、F1が彼にとって速すぎるのか、複雑すぎるのか、悩んだようだが、これは全てのドライバーが経験するものだ。マックス(フェルスタッペン/レッドブル)も2015年のモナコでクラッシュを経験しており、それは正常なものだ。必要なのは何が悪かったのかを理解すること。そして、ミスをせずに多くの周回を重ねることで、自信を取り戻すことだ。ユウキもそうして立ち直った」

 ガスリーもまた、角田の1年目を「ルーキーにとって楽なシーズンではなかった」と振り返った上で、「彼はアブダビGPで良いペースを示した。2年目のF1は、ほとんどの場合、ドライバーにとってはより簡単なものとなる」と楽観的な展望を示し、コンストラクターズランキングの争いにおいては、2人のドライバーがコンスタントに結果を残す必要があるとして、「ユウキを信じている」とチームメイトに信頼を寄せている(オランダのF1専門メディア『FORMULE1』より)。

 幾らか高い授業料となったかもしれないが、明らかに無駄ではなかったと思われる経験を経て、真価を問われる2年目に臨む角田。昨季の良さを保ちながらも、経験を感じさせるパフォーマンスでチームに貢献できるか、注目したい。

構成●THE DIGEST編集部

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