「彼が戻ってきた。この瞬間がようやく訪れたんだ。僕は鳥肌が立ったよ……もう最高だった」

 現地時間1月9日(日本時間10日、日付は以下同)、ゴールデンステイト・ウォリアーズの本拠地チェイス・センターで行なわれたクリーブランド・キャバリアーズ戦。スターターが発表され、ステフィン・カリーが冒頭のように振り返ったように、ウォリアーズの先発にはドレイモンド・グリーン、アンドリュー・ウィギンズ、ケボン・ルーニー、カリーに続いて、クレイ・トンプソンの名が呼ばれた。

 2019年のファイナル第6戦から約2年半。リーグ屈指のシャープシューターが、941日ぶりにNBA公式戦復帰を飾ったのである。

 試合開始直後、左ふくらはぎの張りのため本来は欠場予定だったグリーンは、わざとファウルを犯してコートを後にし、残りの試合時間はそのままベンチで応援。トンプソンの復帰戦に花を添えるべく、ティップオフの瞬間を同じコートで迎え、長年のチームメイトの復活を祝福した。
  そのトンプソンは、チーム最初のポゼッションでドライブからフローターを見事成功。その後は得意の3ポイントを3本連続で落とすも、第2クォーター残り約3分に右エルボーからジャレット・アレンをクロスオーバーで振り切り、2人のディフェンダー越しに強烈なダンクを決めると、前半終盤にはトップ付近から長距離砲を沈めてみせた。

 第3クォーターに入ると、左ベースライン付近からステップバックジャンパー、フリースローライン付近からストップ&ジャンパー、そしてトランジションからキャッチ&シュートで3ポイントをお見舞いすると、アリーナは大盛り上がり。第4クォーター残り約3分にもドリブルからサイドステップで3ポイントをヒット。計19分55秒の出場で17得点、3リバウンド、1アシスト、1ブロックをマークし、ウォリアーズの勝利に貢献した。

「凄く特別な瞬間になった。今夜のことは決して忘れない。ウォリアーズファンの皆が僕らに、特に自分に見せてくれた反応も忘れることはない。これまでずっと調整の日々を過ごしてきたから、どんな瞬間も価値があるものだった。またこうしてやり合えることが嬉しくてたまらないんだ。長い時間がかかったからね」
  試合後にそう話したトンプソンは、フィールドゴール7/18(成功率38.9%)、3ポイント3/8(成功率37.5%)と、確率は決して高くはなかったものの、約2年半ぶりの復帰戦ということを考慮すれば上々のパフォーマンスを披露。

「あれを叩き込んで凄く気分が良くなった。あれは僕も期待してなかったからね」とトンプソンが明かしたように、第2クォーターのダンクがシュートタッチに好影響を及ぼしたようだ。

 ショットが決まるとファンへ向けてジェスチャーをし、自らを鼓舞するかのようにシャウトしていたトンプソン。一見、大人しいイメージもあるのだが、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)は「彼がシャイじゃなかったって?クレイにシャイになれだなんて期待しちゃいないよ。長い間離れていたのに、彼の落ち着きと自信には驚いた。美しい夜になったね」と称賛した。
  バックコートの相棒カリーも、約20分の出場で18本ものショットを放ったトンプソンについて「あれこそまさにクレイ・トンプソンだ」と話し、頼れるシューターの復帰を大歓迎していた。

「僕は辛抱強くやってきた自分のことを誇らしく思う。この復帰がチャンピオンシップを勝ち取ることと同等の価値があるとは言わない。でもね。限りなく近いものだった」

 トンプソン復帰によって、カリー、グリーンとの強固な3本柱を取り戻したウォリアーズ。2018年以来の王座獲得へ向けて、トンプソンの復帰がその勢いを加速させるエナジーとなる可能性は十分ありそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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