今季開幕20試合で18勝2敗(勝率90.0%)と駆け抜けたゴールデンステイト・ウォリアーズ。しかしドレイモンド・グリーン(左ふくらはぎ)が戦線離脱、ジェームズ・ワイズマン(ヒザ)も手術明けということもあって欠場が続くなど、戦力が揃わず徐々に黒星が増えてきている。

 とはいえ、現地時間1月14日(日本時間15日、日付は以下同)のシカゴ・ブルズ戦では4選手が19得点以上を奪取。今季最多の138得点を叩き出す猛攻で、イースタン・カンファレンス首位チームを撃破した。

 とりわけこの試合で目立ったのが、昨年のドラフト1巡目7位で指名したジョナサン・クミンガだ。フィールドゴール成功率83.3%(10/12)、3ポイント成功率50.0%(2/4)、フリースロー成功率75.0%(3/4)と高確率でシュートを決め、ゲームハイの25得点。さらに3リバウンド、3アシスト、3ブロックと攻守で暴れ回った。

 コンゴ民主共和国出身の19歳は、13日のミルウォーキー・バックス戦でも15得点、7リバウンドをマーク。といっても、15日終了時点で30試合(うち先発は2試合)に出場して平均10.5分、5.9点、1.9リバウンドとまだまだ発展途上で、優勝候補チームでローテーション入りも飾れていないというのが現状だ。
  それでも、ステフィン・カリーは「どんな布陣であろうと彼を投入することはできる。それは彼の努力と激しさがあるからこそなんだ。彼はもの凄くアスレティックで、信じられないほどの可能性を秘めている。でも彼が最も輝くのは、ハードにプレーしている時だね」と、15日に『The Athletic』へ掲載された記事のなかで評している。

 そしてスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)は、クミンガをオールスター選出4度を誇るレジェンドと比較していた。

「彼について、我々が重点を置いていることはフロアをハードに走ること。彼が持つ能力を使って、毎回フロアを全力疾走してもらっている。私がフェニックス(サンズ)でGM(ゼネラルマネージャー)をしていた頃、あのチームにはショーン・マリオンという男がいた。リーグでもベストなアスリートの1人だったよ。彼は毎晩ハードにフロアを走り抜けていた。素晴らしい3ポイントシューターでも、最高のパサーでも、かといって最強のボールハンドラーでもなかった。けど彼は一生懸命プレーしてきたことでオールスターに選ばれていた。フロアを全力疾走することで、いいことが起こるものなのさ」
  高い身体能力が最大の強みだったマリオンは、キャリア16シーズンのうち約9シーズンをサンズでプレー。201cm・99kgのサイズながらパワーフォワードを務めてコートを暴れ回り、サンズ時代に平均18.4点、10.0リバウンド、2.0アシスト、1.9スティール、1.4ブロックをマークした。

 オールスターに4度、オールNBA3rdチームに2度も選ばれたマリオンは、その摩訶不思議かつ神出鬼没な動きから“マトリックス”の異名も持ち、プレーオフ常連となったサンズに不可欠な男として攻守両面で活躍してきた。

 カーHCはフロアを全力疾走することこそクミンガの「第一歩」だと見ており、こう続けている。
 「彼には恵まれたものがあり、それがユニークな身体能力だと理解することだね。今は基盤を構築している段階で、彼の持つギフトによって有利に立つことができている。ここをスタート地点として、シュート力が向上し、ゲームへの理解度やスキル全体がレベルアップしていくと思う。でもこの2連戦で私が気に入っているのは、彼が2夜連続してコート上をハードに走り抜けたことだ」

 カリー、クレイ・トンプソン、グリーンを擁するウォリアーズは、今季の優勝候補にも挙がるリーグ屈指の戦力を有していることは間違いない。

 ただ、プレーオフが幕を開ける4月中旬に、クミンガがマリオンのような選手へと急成長を遂げている可能性はさすがに低いだろう。だが指揮官は中長期的な視野を持ってこのフォワードを育成しており、近い将来この男がウォリアーズの主軸の一員となり、いずれチームを背負っていくことになると大きな期待を寄せているはずだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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