現地時間1月21日に行なわれた「全豪オープン」(1月17日〜30日/オーストラリア・メルボルン/ハードコート/グランドスラム)のシングルス3回戦に登場した予選勝者のダニエル太郎(世界ランク120位)はヤニック・シナー(同10位)に4−6、6−1、3−6、1−6で敗退した。

 トップ10プレーヤーを相手に互角の勝負を演じたダニエルには海外メディアからも惜しみない賛辞が贈られている。一方でこの試合中の“あるシーン”をめぐり、対戦相手のシナーにも称賛の声が上がっている。

 事の発端は、1セットオールで迎えた第3セットだ。ゲームカウント1-2でサービスゲームとなったダニエルは1ポイント目のラリーを制して15-0とリード。続く2ポイント目もストローク戦が展開されるが、打ち損じではなかったにもかかわらずダニエルのフォアハンドが大きくアウトした。

 するとシナーはダニエルが最後に打ったボールを主審に返し、それを受け取った主審がボールの空気圧を確認。その後主審は観客へ向けて「皆さん、今のポイントのボールは完全に空気が抜けていました。リプレー・ザ・ポイント(ポイントのやり直し)となります」とアナウンスした。実はこの時、黙っていれば自分に得点が入っていたはずのシナーが自ら「ボールの空気が抜けていたよ」と申告していたのだ。
  そして「ありがとう」とお礼のジェスチャーをしたダニエルに対し、シナーは軽く手を挙げて「気にしなくていいよ」と返答。やり直しとなったポイントでストローク戦を制したダニエルは、そのまま第4ゲームをキープした。

 イタリアテニス界注目の20歳が見せた美しきスポーツマンシップ。SNS上ではこの試合を観戦していた一部のテニスファンから「フェアプレー精神がすごい!」「素晴らしいことだね!」とシナーを絶賛する声が上がっており、なかには「泣きそうになった」との感激のコメントも見られたほどだ。

 弱冠20歳とは思えない落ち着きぶりと器の大きさを示し、苦戦を強いられながらもダニエルを撃破したシナー。4回戦では地元勢のアレックス・デミノー(オーストラリア/42位)と対戦する。

文●中村光佑

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