ゴールデンステイト・ウォリアーズは2014年のスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)就任後、19年まで5年連続ウエスタン・カンファレンスを勝ち上がり、NBAファイナルへと駒を進めた。

 そのうち15、17、18年と、3度のチャンピオンに輝いたが、彼らがプレーオフの重要な試合を勝ち抜くうえで代名詞となっていたのが“デスラインナップ”だった。

 15年はステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ハリソン・バーンズ(現サクラメント・キングス)、アンドレ・イグダーラ、ドレイモンド・グリーンという5人、17、18年はバーンズに代わってケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)を送り込んできた。全員が複数のポジションをこなしつつ、スイッチしてガードすることも可能で、ボールハンドリングもこなせる5選手をコートに送り込み、相手を翻弄した。

 その後ウォリアーズは19−20シーズンにリーグワーストの15勝50敗(勝率23.1%)、昨季はウエスト8位の39勝33敗(勝率54.2%)を残すもプレーイン・トーナメントで2連敗を喫し、2年連続でプレーオフ進出を逃した。

 だが今季3年ぶりにプレーオフの舞台へ戻ってきた元王者は、現地時間4月18日にデンバー・ナゲッツを126−106で下してファーストラウンド2連勝をマーク。
  この試合では左足の靭帯捻挫から復帰して2試合目となったカリーがゲームハイの34得点に3リバウンド、4アシスト。ショットクロックが導入された1954−55シーズン以降、プレーオフの試合で22分57秒のみの出場ながら30得点以上を叩き出したのは史上初という圧巻のパフォーマンスを見せた。

 さらにジョーダン・プールが29得点、5リバウンド、8アシスト、2スティール、トンプソンが21得点、アンドリュー・ウィギンズが13得点、8リバウンド、グリーンが6アシスト、3スティールをマーク。

 ウォリアーズはこの試合の第2クォーター残り約7分から第3クォーター終了時までの約20分間で70得点を奪う猛攻を見せたが、第2クォーターに新たな“デスラインナップ”を送り込み、22−8のランで流れを一気に引き寄せた。

 最新版の“デスラインナップ”はカリー、トンプソン、グリーンの3本柱にプール、ウィギンズを加えた5人。ここまで2試合で約10分間のみの起用ながら、その時間帯にナゲッツを42−14と圧倒。オフェンシブ・レーティングで204.3、ディフェンシブ・レーティングでも75.0と、攻守両面で驚異的な数値を叩き出している。

 敵将マイケル・マローンHCはカリーを「フロアで最も危険な男」と評しつつ、「問題なのはそのうち3選手(カリー、トンプソン、プール)が30、40得点する力があるということ。そんな選手が3人もいるんだ。しかも彼らは互いのためにパスを捌き、動き回って、プレーメーキングもこなしてしまうんだ」と頭を悩ませている。
 「ステフ用のゲームプランを練り、クレイのためのゲームプランも、さらにはジョーダンのためのゲームプランも練らなきゃいけない。それぞれが異なるビーストなのさ」(グリーン)

「(僕らに対して)ゲームプランを練るのは難しいだろうね。どれかを諦めないといけない。それだけ数多くのオプションがあるということ。特に僕らが速くプレーしている時はもの凄く難しいと思うよ」(カリー)
  新生ウォリアーズの得点源となっているのはカリー、トンプソン、プールの3人。ナゲッツとのシリーズ2試合を終えて、このトリオはフィールドゴール52/93で成功率55.9%、3ポイントでも26/51で成功率51.0%と猛威を振るっており、相手からすれば悪夢でしかない。

 エースのカリーがさらに調子を上げれば、プールあるいはトンプソンを控えに回すかもしれないが、カーHCをはじめとするコーチ陣にとっては贅沢な悩みでしかないだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)