現地時間4月20日、テニス四大大会のひとつである「ウインブルドン」(6月27日〜7月10日/イギリス・ロンドン)が、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、大会からロシアとベラルーシの選手除外を発表。これにATP(男子プロテニス協会)とWTA(女子テニス協会)が「不当な差別行為だ」と反発している。

 ウインブルドンの大会を主催するオールイングランド・ローンテニスクラブ&クローケークラブは、「ロシア政権の指導者の行動のために、ロシアとベラルーシの選手が苦しむことは悲しいことだ」としながら、「前例のない軍事的侵略の状況において、彼らがウインブルドンに参加することでロシア政権が何らかの利益を得ることは容認てきない」と判断。「2022年大会へのエントリーをお断りする」とした。

 また、英国テニス協会もウインブルドンと同様に、英国国内で開催されるウインブルドンの前哨戦において、ロシアとベラルーシ選手のエントリーを認めない決定を下した。

 こうした一連の動きに対してATPはすぐさま反応。「我々のスポーツは選手が個人として競争し、そのランキングに基づいて大会への出場権を得るという公平な基本原則に基づいて運営されている。今回の決定は一方的なもので不当であり、このスポーツに有害な前例を作る可能性がある。国籍に基づく差別は、『選手のエントリーはATPランキングに基づく』とする合意への違反にもあたる」とコメントを発表した。
  一方、WTAも「この決定には非常に失望している。WTAの基本原則は個々の選手の実力に基づいて、いかなる差別もなくプロテニス競技に参加できること。個々のアスリートは出身地やその国の政府の決定によってペナルティを受けたり、競技を妨げられたりしてはならない。今回のアスリートに対する差別はまったく公平なものではない」と反発した。

 ロシアのウクライナ侵攻を受けてスポーツ界でも広がる「ロシア排除」の流れの中にあり、テニス界では「選手の国籍を表記しない」ことを条件に男女ともにロシアとベラルーシ選手のツアー参加を認めていた。

 だが、こうしたテニス界の対応に不満の声も聞かれる。ウクライナ出身の元世界13位で現在は母国防衛隊で活動するアレクサンドル・ドルゴポロフ氏は、「中立であること、国旗を取り上げることだけでは、何も変わらない。テニス界は受け身になりすぎている。戦争反対と言うだけでは十分ではない」と語る。

 ウインブルドンが終わると、今度はシーズン最後の四大大会である「全米オープン」(8月29日〜9月11日/アメリカ・ニューヨーク)と、それに伴う前哨戦の「北米シリーズ」が待ち構える。テニス界にも訪れた「ロシア除外」の波は、果たしでどこまで広がっていくのか。

構成●スマッシュ編集部

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